月一回……
エディさんからは土魔法とキングトード討伐してきたことから、現在のランクが適正ではないと、途中乱入のグランデさんも解体場でヴァンの持ってきたマジックバックから出現したキングトードを見てギルドマスターに直談判をしに来たようだ。
今までの努力が認められたようで嬉しい。しかし現実は
「ヴァン君の能力は登録のときに見せてもらいましたがそのときですでにDランクの冒険者達と変わりありませんでした。」
「「だったらなぜ!!」」
二人の声が揃った。
ダグギルドマスターはそんな二人の圧を受け流すと。
「だったらもなにも冒険者一人に特別な配慮をしてしまう、今回の件で言えば能力だけで、ランクをあげると言う例外を作ってしまうと今後もそう言った者が出てきたときに毎回貴方達は私のもとに来てあげろと騒ぐのですか?」
普段とわかりない表情なのだが、声のトーンがいつもより低い気がするな……
「さらに言いますと、ヴァン君がそのような事で目立っても回りからのやっかみで彼の妨げになる可能性を考えましたか? ヴァン君はすでに珍しい魔獣を従魔にしています、今は実力もつけている段階でしょう、貴方達が心配しなくてもこの子達なら自然と高ランクに駆け昇っていきますよ!!」
そこでお茶を飲み喉を潤してから、視線が二人から僕の方へと。
「それにヴァン君ももう少しギルドの依頼を受けてくれると助かるんですけどね、ギルドに登録してから約8ヶ月になりますが……」
言葉を切って、ダグさんは立ち上がり自分の机へと移動し、書類の中から一枚の紙を持ってきた。
「ギルドで管理している冒険者事のいわば履歴になりますね。見ていただけるとわかると思いますが、依頼を受けた数と達成数、その変わりに持ち込んだ物の差があるとギルド職員からも私に報告が上がってましてね、その処理も私がしてます。」
苦労してるのわかりますよね? といった感じで見てくる。
確かに報告書には僕の名前とランクに登録した場所そして依頼を受けた回数が乗っていた。
報告書
・ヴァン・アルカード
・Eランク
・ルダボスカ冒険者ギルド所属
・依頼受注回数9回
内容 ギルド解体補助4回、魔石納品3回、討伐依頼1回、修繕依頼1回
・成功数7回、失敗数0回、未報告2
・備考持ち込まれた解体および魔石はどれも高ランクの物が混じっているため、審議中。
えっともうすぐ冒険者になって9ヶ月、一月に一回のペースでしたか依頼を受けてないことになるな……
審議中とは偽装しているとか不正をおこなっているのかって疑われているようだ。
「見ていただければわかると思いますが、依頼受注があまりにも少ないんですよ、そして内容も半分が解体なんですよ、この中に採取依頼や討伐依頼、雑務系依頼なんかを受けてもらうとこちらとしてもギルドランクをあげることも出来るんですよ!! ヴァン君町に来たときは依頼を受けて成功させてくださいその回数が貢献度として蓄積されランクをあげれますから、お願いしますよ。」
「……はい。」
「私もヴァン君には期待していますし、不本意な目立ち方をして欲しくありません、そういうことなのですが、エディさん、グランデわかってもらえますか?」
「お、おう。」
「わ、わかった。」
二人ともダグさんに言い負けた感じだった。
一番の被害者はほとんど絡みの無かったパドックさんだったのではないだろうか?
「私の言いたいことも言えましたから、報酬の件に関していつも通りでよろしかったでしょうか?」
すこしストレス発散になったのかどことなく晴れやかなダグギルドマスター。
「キングトード討伐の褒賞はいつも通りでいいと思うその報告はマスターから領主へ伝えてくれ、河川工事もヴァン君のおかげで大部はかどった、少し工事の予定を広げていこうと思うこの依頼は雨季が来るまでは依頼を継続してくれると助かる。」
「わかりました、私の方から伝えておきましょう。ビックトードの討伐はキング討伐で数か減るでしょうから、あと二、三日で終了いたしますが、工事の件は引き続きということでスタッフに伝えておきます。」
エディさんからの要望を書き出していく、グランデさんもその件で話があるようだ。
「ダグマスター、オデ達の方からもお願いだ、キングが倒されたので解体職員の休みをやってくれないか? この時期用に無理言って出て来てもらってるやつらがほとんどで疲労困憊だ交代でかまわないから、どうだろうか?」
「その件に関しても、元凶のキングが倒されましたから明日から通常業務として人数は減らして構いません。」
「了解。ありがとうございます。」
我らが兄弟も相当な苦労があったようだ、ギルド解体場の繁忙期だったのかもしれない。
キングトードを倒して、良かったかなみんないい人たちだし倒れる……ところは想像できないけどお休みリフレッシュは必要だよね。
「他になにか報告などありますか?」
「マスターこれを受け取ってください。今日の河川工事の各冒険者の働きの具合が書いてありますので。」
最後はパドックさんがダグギルドマスターに渡していた。
「これで我々は失礼します、お忙しいところお手数お掛けしました。」
皆で立ち上がり退出しようとしたのだが、
「ヴァン君すみませんが残ってもらっていいですか?」
「僕ですか?」
ダグギルドマスターはうなずいたので残ることに他の人たちは退出していった。
「ヴァン君、君達に頼みたいことがあります、これは正式な依頼ではありません、マークさんにもお願いする予定なのですが……」
「えっと、師匠も関係していると言うことですか?」
「そうですね、マークさんがどうするかはわかりませんが、住んでいる場所に関係があります?」
「師匠の家ということですか?」
「はい、依頼というのも竜血樹の樹液の採取をお願いしたいのです。」
リュウケツジュとは?
いつもお読みいただきありがとうございます。
先日ストーリー評価、ポイント評価をしていただきました。ポイントが増えると嬉しくなりますね。
今後も頑張りたいと思います。




