午後は狩りと実験
河川工事現場監督には信用してもらえなかったけどやることはやった!!
お腹を空かせたジョージと昼食を食べ、腹ごなしにビックトード狩りをしようではないか!!
ちなみに馬車の停留所? に荷馬車も来ていて、そこに持っていけばギルドまで運んでもらえるらしい。
マジックバックなどの運び出す手段がない冒険者用に準備されているものと聞いている。
僕はマジックバックがあるから問題ないけどね。
魔力感知を発動し、周囲の反応を確かめる、魔獣が居るにはいるのだが、人もいっぱい居る。
「ジョージ、ここら辺に魔獣の反応はあるかな?」
「(ん~、ある、けどたたかってる。)」
「やっぱりそうだよね、この付近はダメみたいだから、ランニングもかねて走りながら探そうか!!」
「(しゅっぱーつ♪)」
しばらく走って人気のいないところで魔獣一匹が移動してる反応があった。
走るのをやめ、武器を取り出す。
ゆっくりと近づくと解体場でみた物とは色が違うのだ、解体場に運ばれてきていたのは赤茶のヒキガエルのような色だったが、今目視できているビックトードはアマガエルのような緑色だ。
近くから一撃で仕留めるために身を屈めて近づく、パキッと足元にあった木を踏んでしまったようでビックトードに気がつかれた。
ここでビックトードに変化が現れる、体の色が緑から赤茶へと変化している。自分は危険な生物だと威嚇しているようにも見えるが……気がつかれてしまったので即攻撃に移る。
今日の戦闘は槍でおこなおうと準備してきた。
先制攻撃はビックトード、口か開くと長い舌が鞭のように僕を攻撃する。
その舌攻撃も速度が遅く、右へ半歩移動しながら切り上げる、舌を両断し、攻撃の手段を奪った。
さらに舌を切られ痛みから動きが止まった所をジョージが地面へ叩きつけるようにビックトードの頭を潰して終了。
これも修練努力の賜物であると自画自讃したくなるが、どんどん次へ行こう!!
倒したビックトードから魔石を取り出す、青みがかっているので水属性の魔力がある魔石のようだ。
頭のつぶれたビックトードをマジックバックにしまう。
次の獲物を探してまたランニング、人から離れていけば多少ビックトードとの遭遇も増えるのだが、雨季が近いと言うことで連日冒険者達が討伐しているので数か少なくなっているのかもしれない。
これだけ人が近くにいないなら実験しようと昨日読んでいた闇魔法の本を取り出し、巻末おまけの魔法を使ってみることにした。
「闇よ、螺旋の流れ、独立した器を形成す、闇収納」
作者の書いてあるイメージを元に闇の魔力を体内で作り出す、何て言えばいいのだろうか、モヤッとした魔力なのだが……それを体外へと出すと渦へと変わる、直径30センチ程の闇の渦だ。魔力を切らすと消えてしまうそうなので、維持する。
魔力消費も発動に比べて少量なのでじっとしてる分には魔力消費よりも回復の方が上回っていると思う。
一度で成功させることが出来たのは闇属性が一番素質あることと、やはり元日本人、小説なんかに出てきたアイテムボックスやストレージなんていう便利な魔法があれば!!ファンタジーの世界なら是非欲しいと思っていたのが一番の理由な気がする!!
「(ばん、それ、なんかへん。)」
「変ってどういうこと?」
「(わかんない、でも、なんかへん)」
ジョージのなんか変とはどういうことだろうか? 中身もいれていないし、消してみるか? 魔力供給を絶つと渦はその場から霧散して消えていった。
「ジョージ、これでどうだろう?変なの消えた?」
「(ぐるぐる、なくなったら、きえた!!)」
消えたとなるとやはり闇収納が原因か、でも実験をしたいからもう一度出させてもらう。
「さっきの変なの出してもいいかな? 実験もしたいし。」
「(いいよぉ~)」
変ではあるが嫌な感じではないのだろうか?
「闇よ、螺旋の流れ、独立した器を形成す、闇収納」
闇の渦を発生する、実験といっても実際に収納したりするだけだ、マジックバックから討伐したビックトードを取り出し、渦へといれる、渦の大きさよりも大きいビックトードは渦に飲み込まれるように中へと入っていった。
入り口の大きさと入れるものの大きさは関係ないと、次は取り出すときのデメリットの確認だ、あとは僕の特殊スキルの健康体がどう影響するのか。
スキルで状態異常にはかからないとわかっているのだが、恐る恐る渦のなかに手をいれる、肌がピリピリとした違和感があるが、特に問題はないようだ。
問題なくビックトードも出てきたので取り出すことにも成功した。
渦の位置について今は胸の高さにあるのだが、位置の変更目線まで高くしたり、地面スレスレまでと移動することも可能だった。
入口の大きさ、今の30センチ程の大きさは見た目的に目立つのでどうにか出来ないかとやってみるとこれまたあっさりと成功した。
色々と試したが特に問題となるようなことはないと思っていたのだが、
「(ばん、ぴょんぴょん、いっぱいきた!!)」
ジョージに言われて魔力感知に意識を持っていくと回りに20ではすまない魔獣の反応があるではないか!!
そこで本の魔を呼び寄せてしまうようだの部分がこの事であると判明する。この闇収納は魔獣を呼び寄せるなにかを発しているのだろう、状態異常で考えるなら魅了系の副作用とでも言えばいいだろうか?
闇収納を霧散させ、回りのビックトードの討伐といこうではないか!!
「ジョージ!! 全力で暴れていいからね!! 師匠の訓練とやることは一緒!! 常に次を考えて、一対一を常に作り続けるんだ!! 僕は右へ!!」
「(うきー!!)」
僕とジョージは互いに身体強化で左右に別れ敵の中へと突撃する、舌の攻撃か、脚力を活かした突進、高くジャンプしてからのボディプレスなんかが主な攻撃なのだが、Eランクが受ける程度の魔獣だ、攻撃に移るが速度も威力も低いので、問題なく討伐していく。
囲まれてしまったのも闇収納に夢中になりすぎてしまったから、常に気を張っていなくては、ランクの高い魔獣であったら、危険だったこの反省は今後にいかせるようにしようと思う。
敵対するビックトードに槍をたくみに使い、舌には回避からの切り上げ、突進には凪ぎ払い、ボディプレスには突きで対応しながら臨機応変に仕留めていく、5分もかからずに討伐を終えた。
ジョージが13体、僕が24体合計37体の討伐だ。
「ジョージお疲れ様、魔石回収するから近くに持ってきてくれると助かる!!」
倒したビックトード達から僕が魔石を回収し、ジョージが近くまで運んでくれる……いや放り投げてくれてる。
ズシン……ズシン……と何かの移動する音が聞こえる。
「(ばん、でっかい、ぴょんぴょん、きた!!)」
それはビックトードをはるかに上回る巨体の蛙だ……この際だからキングトードとでも名付けてしまってもいいかもしれない。
体長は3メートルほどだろうか?
跳び跳ねる度にズシンと地面が揺れる、僕たちとの距離10メートル程だろうか? そこで動きを止めると鳴嚢が膨らみ、ゲゴゲゴゲコと鳴き始める、緑色から赤へと変化していく。
鳴嚢が元に戻ると口を開けて舌が伸びてくるが標的は僕らではなく近くに転がるビックトードの死体だった。
舌がビックトードをとらえ、丸呑みする。
ビックトードより明らかに速いその舌に警戒し、武器を構える。
ジョージが走り出したのと同時に僕もキングトードへと走り出す。闇魔法のためしうちだ。
「闇よ、対象なき知覚、外界を幻視させよ、幻覚」
闇魔法特有の黒い魔力にキングトードは覆われる。
僕らを見ていたはずのキングトードは舌を伸ばし攻撃してくるが見当違いの場所を攻撃している、勝ち誇ったかのように舌を戻し飲み込む。
キングトードはきっと僕らを飲み込み満足しているに違いない。
そんな間にジョージがキングトードの真下へと移動し前足をその勢いのまま飛び蹴りしへし折る。
キングトードはバランスを崩し前のめりに倒れたところを僕が上空より槍の投擲!! 槍によりキングトードの頭部を地面に縫い付けてやることに成功。 槍の攻撃を受けた瞬間は暴れたのだがやはり頭部への一撃、その後動かなくなったのだった。
討伐を確認した僕の元にジョージが走りより。
「(いえーい!!)」
とハイタッチをした、ナイスコンビネーションと言ったところだろうか? ハイタッチもバレットさんに教わってたな。
キングトードより魔石を取り出す。これも一苦労だ、すべてにおいて大きいキングトード、引っくり返すのに身体強化を使ってなんとか転がし、小山のような体の上に登り心臓部分の魔石を取り出したのだ。これまた大きさもそこそこあり20センチ程の大きなものが出てきた。ギルドに納品すればお金がもらえるだろうとウキウキしてしまう。
マジックバックに収納し、町へ戻るためにジョージを背中に装備して歩きだすのだった。
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