闇魔法の本
次のページをめくってみると帝国語でいきなり魔法名が書かれ、説明だった。
目次のようなものは無いらしい、帝国語では真面目にどういったものか書かれている。比較するためにも一頁目は見てみるか。
・ダークボール
初級魔法である。
闇属性魔法でも例外無くボール系魔法からの習得がやり易いだろう。
このダークボールも基本四属性と同じ球体の魔力の塊を相手へとぶつける単体攻撃魔法になる。
詠唱は下記に記す
『闇よ、集いし闇の塊よ、敵を射て、ダークボール』
これがダークボールの詠唱である。
詠唱短縮で『闇よ、ダークボール』詠唱破棄で『ダークボール』となるこの詠唱は基本の四属性と同じとなる。
またダークボールの特徴として他の属性よりダメージが少ないが、当たった敵の動きを鈍くする効果がある。
これが帝国語次のページが魔族語
・ダークボール
子供が使える、闇の素質があれば誰でも
基本的に闇属性を覚えられるものは基本四属性のボール系よりダークボールが得意なはずだ。
単体攻撃魔法弱いので使わない。
詠唱は下記に記す
『闇よ、集いし闇の塊よ、敵を射て、ダークボール』
これがダークボールの詠唱。
短縮詠唱も、詠唱破棄も覚えなくていいレベル。
他の魔法を覚えた方がいい。
子供たちの狩りで重宝するか? 動きが悪くなるからなダークボール。
同じ魔法を説明してるはずなのに別人が書いているようだ翻訳がうまくいかなかったというレベルではない。
魔族語の方には疑問系で読み手に聞いてきているし……
そのあとも攻撃のアロー、バレット、カッターなどの単体攻撃魔法の説明が続いた。ウォール魔法は光と闇には無いらしい。
拘束魔法のバインドももちろんあった。
次のページをめくると魔法の紹介ではなかった。
ここまで説明してきたのが基本四属性にもある攻撃やバインドと言った拘束魔法だ。
ここから説明するのが中級魔法とでも分類し仮定しよう。
中級魔法はその属性の影響が大きく表れ、対象の範囲が広くなる魔法と説明するのが良いだろう。
各属性の例を出すならばこのような魔法になるだろうか?
・火属性
フレアバースト、これは小規模な爆発を起こす魔法。
・水属性
ウォーターフォール、こちらは大量の水により押し潰す魔法。
・風魔法
ブラスト、突風を巻き起こす魔法。
・土魔法
ストーンフォール、頭上より岩を落下させる魔法。
・光魔法
エリアヒール、指定する範囲の傷を癒す魔法。
・闇魔法
ブラインド、闇で覆い光を奪う魔法。
このような形で例を出したが、単体から範囲を攻撃する魔法である四属性魔法。
光と闇はどうだろうか?
攻撃魔法よりも、補助するような魔法になっている。光と闇は少し別の方向へと変わっていく。
この書は闇魔法をより詳しく掘り下げていこう。
闇魔法の特徴としては状態異常を引き起こすものが多くなるだ。
逆に光魔法は対となしている、回復させる魔法や能力をアシストするような魔法が多くなる。
魔法名とともに説明していこう。
魔族語の方を見てみると中級魔法の説明までは同じだったが、その後の説明は雑だ。
上記のを見ればわかるだろう?単純に魔力を消費して馬鹿みたいに攻撃する四属性と戦況を変える頭脳が合わさる闇と光となるわけだ。
闇と光は打ち消し合うように存在しているのだろ、これが原因とは言わないが、魔族と人族は戦っていた原因の一つではないかと思うのだ。今でこそこうして交流が出来ているが、魔族の中には人族を未だによく思っていない者も居るのだ。
おっと変な方向に話がそれてしまったが、闇魔法は相手を弱体化する魔法だ!! と言ったが魔族が見れば何を当たり前の事を言われるだろう。
中級と分類された闇魔法、この本に紹介されているのは、全てが状態異常をかけるものだった。
麻痺に始まり、毒、混乱、暗闇、沈黙、睡眠、魅了、激怒、恐怖、幻覚とさまざまな紹介をしていた。
上級魔法に関しては書かれていなかった。上級魔法書かれた本を頼むか、闇属性魔法を上級まで使える人を探すかしないとダメかもしれない。
あとがき
この闇魔法を綴るを最後までお読みいただき感謝する。
これで初級から中級までの代表的な闇魔法について知ることができたのではないだろうか?
基本属性との違いは状態異常、戦況を有利に進める補助魔法として優秀である。
闇魔法は人族にとってなぞが多い魔法だったのではないだろうか?
この書を通して理解していただけることを祈る、また闇魔法の使えるものとパーティーを組む際にはさまざまなサポートが見込めるのではないだろうか?
闇魔法の素質を持つものは魔力量も多い傾向にあることもここに付け加えておこう。
と書かれていた。
問題の魔族語の方はというと。
あとがき
帝国人に言われ書いてみたが、闇魔法はかなり卑怯、いや狡猾な魔法と言うことにしておこう。
魔獣の狩りをおこなう上で相手を弱らせ一方的に勝つ、魔力量、身体能力ともに人族より優れた魔族にふさわしい魔法であると思うのだ。
帝国語では書いていないが、扱うものが優れていればどんな魔法でも化けるのだ。ぶっちゃけ言えば闇魔法の詠唱などどういう結果になるのかさえ解っていれば、適当でも発動するのだ。魔法とは尊大で格式ある文言を唱えなくても発動する、詠唱など言わば様式美的な物だ! と私は思っているがな、はっはっは。
あとがきに関しては……まぁいいか……てか最後文章なのに笑う表現を記入する必要はあったのだろうか?
闇魔法について不思議な人が書いたのだとあっという間に読んでしまった。これでなぞだった闇魔法の訓練も出来るなと本を閉じようと思ったのだが、もう1ページ残っていることに気がつく、めくってみると。
巻末おまけ
これは私が独自に編み出した魔法である。
この書を魔族が見たなら有効活用できるかもしれない。
魔力量が多くなければ発動しないがな、私がこの魔法を研究し発動させる事になった経緯を説明しよう。
私は荷物を持って移動することが嫌いだ。どこへ行くにもできる限り荷物は持ちたくない、手ぶらで移動が最良だと考える。
そこで思ったのだ闇の魔法を見ていてその闇はどこまで広がっているのだろうか? その闇のなかに荷物を入れることができれば、どこに行くにも楽ができるようになる。
すぐさま闇魔法の研究に乗り出しだ。
まず闇の中に物を入れられるようにしなくてはと考え闇の渦を作ってみる、試行錯誤で闇の渦は完成した。いざ物を入てみると渦の中に飲み込まれていった……感覚的にどこかへ行ってしまったのだと悟った。
闇の中に入れることは成功したので、次は入れたものを固定しとく事をこの渦に組み込むことを考えた。
魔法には範囲魔法があるのだからと闇の中の範囲を設定してやればいいと考えた。
ここはイメージが重要だった、渦の入り口中に箱作成したことにより物を入れる。中を覗いてみれば箱の中に入れたものが留まっていたのだ。
ようやく闇の収納が完成したとこのときは思ったのだが……入れたものを取り出すときにそれは起こった。
渦の中に手を入れた、するとどうだろう……毒の状態異常にかかったようなのだ……闇の属性の特性が出てしまったのだ。
さらに言えば状態異常はランダムだ。
しかし魔族である私は元々状態異常に耐性が強いので特に気にすることではない、魔族の諸君もほぼ同じだろう。
この渦を常に維持しなければいけないのだ、維持せずに魔力を切ってしまうと、中の荷物も消える。
もう一つの問題が、闇の魔力は魔を呼び寄せてしまうようだ、魔獣がいつもより多く襲ってくるのは何故かと思ったこともあるが、原因として考えられるのはこの魔法くらいなのだ。
このデメリット魔族である私には関係ないむしろ荷物を持たなくていいことの方が私にはメリットが上回っているのだ。
詠唱であるが。
『闇よ、螺旋の流れ、独立した器を形成す、闇収納』
これが一応の完成となる。
使うか使わないかはあなた次第だ。
以上!!
と巻末おまけがついていた、状態異常は僕に関係ない、この魔法は覚えてもいいのではないか? しかし魔を呼び寄せてしまうのは困るので代替え案があれば考えるくらいでいいのではないだろうか? 突然武器が出てきたりしてらカッコいいしね!! 闇魔法大っぴらにはできないが、しっかりと修行に取り組もう!!
隣のジョージはいつのまにか寝ている、本に夢中になって相当時間がたっているようだ。
僕も寝よう明日また考えよう、ビックトード関連の依頼も来なそう。
それではおやすみなさい。
いつもお読みいただきありがとうございます。




