筋肉痛とやる意味
朝日が差し込み目が覚める。
グッギッッギッ…体が僕のものではないようだ…
はぁ…体が痛くて、すぐに起き上がるこができません…全身筋肉痛のようです…。
体を横に寝返りをする要領で倒し、腕の力でどうにか起き上がる、少し動くたびに動かした体の部位が痛む、ゆっくりゆっくりと体を起こすことに成功して、歯を食い縛り気合いを入れて立ち上がる。
部屋を出ると待ち構えているのは…地獄の階段だ…でも上りよりも下りなので多少辛さは軽減されるんじゃないかな?
一歩一歩ゆっくりと壁と腕で体を支えながら降りていく、台所からはいいにおいがするので朝食は出来てるみたいだ。
リビングに到着するとテーブルにはスープとパンが並んでいた。
「ヴァンおはよう、遅いから呼びに行くところだったぞ。」
「マークさん…おはよう…ございます…。」
「だいぶ辛そうにみえるんたが?何があった?」
「全身筋肉痛で…動くのもやっとです…」
顔を歪めて返事をするとマークさんは僕の隣までやって来て肩に手をあて「ヒール」と唱える。
すると徐々にだが体の痛みがなくなっていく、驚きに目を見開きながらマークさんをみる、得意気な顔が癪に障るが頭を下げてお礼をする。
「ありがとうございます。」
「今回だけだぞ、LVが上がれば筋肉痛なんて無くなるからな、本当なら自己回復力に任せて治す方がいいんだけどな。そんな状態じゃ飯も食えないし、今日のノルマの洗濯に薪割りも出来ない、LVも上がらないと悪循環で一日を無駄にしてしまうからな。さっさと飯食べるぞ。」
朝食を食べ終え、マークさんの予定を聞くと、夕方には帰ってくるみたいだ。お昼にはサンドイッチが準備してあるからとのことだった。
マークさんを見送り、洗濯を、あっちの世界のように洗濯機なんてないから、井戸で水を汲み、たらいにためて、洗濯板に圧力をかけて擦る。水が汚れたら取り替える。この繰り返し洗った洗濯物は木と木の間に張った紐に引っ掻けて干す。
これを繰り返し午前中が終わる。
なぜ「クリーン」の生活魔法があるのになぜ洗濯をするのかは帰ってきたら聞いてみることにしよう。
お昼を食べて薪割りへ昨日の言われたことを守り作業する。
肩幅に足を広げて、振り上げ、振り下ろす、腰も落として、狙いは真ん中手前…パカーンよしうまくいった。
午後はこの作業をひたすら繰り返す。
ノルマが終わる頃には夕方に今朝の反省をいかして午後の途中で休憩をして、そのついでに洗濯したものを取り込んだりもした。あっという間の一日だった残すは解体なんだけど、マークさんも帰ってきた。
「ヴァンそっちも終わったようだな、最後の解体だなんで今日してもらおうと思うのが、こいつだ。」
背負っていたリュックからは到底入りきらないサイズの魔獣が出てきた。見た目はナマズみたいだ…それよりもマークさんの持ってるリュックはよく小説に出てくるマジックバックってやつじゃないんだろうか?
「マークさん、そのリュックってマジックバックですか?」
「ああ、そうだ。知ってるってことは向こうの世界にもあったのか?」
「そんな不思議なバックはありませんでしたよ。空想の物語の中で出てきていたんですよ。ちなみにそのリュックにはどんな効果があるんですか?」
「そうか。このリュックは、空間拡張と重量軽減の魔法がかけてある。見た目よりもかなりの物が入るし、重さもほとんど感じない便利な魔導具なんだ。それよりも、このオオナマズの解体をするぞ!今日の晩飯だからな。」
頷き、解体を始める、マークさんが主体となって僕は指示された行程をこなす。マークさんに指導されながら解体を終わらすのだった。
ちなみにオオナマズの買取は魚肉と魔石になるそうだ。ダイヤウルフと違い魔石が青色をしていたのはきっと属性なんかがあるからだろう。
夕飯はオオナマズを刺身のように切り、あたためた鍋にさっとくぐらせ、塩を付けて食べたのだった、いわゆるしゃぶしゃぶだ。泥臭くなく、淡白な味、程よい脂があって、美味しかったです。
食後に気になったことをマークさんに訪ねてみた。
「なぜクリーンの生活魔法があるのに洗濯を僕にやらせたのですか?」
「そのことか、今回ヴァンにやってもらってる、掃除に洗濯はクリーンの生活魔法の習得の近道だ。薪割りもヴァンの種族がダンピーラ、ヴァンパイア関連の怪力無双なんてあるから、力がつくような作業ということでやってもらってるんだ。これでも考えてるんだ。」
「そうだったんですね。ありがとうございます。」
(いろいろと考えてくれてるのがすごくうれしいね。)
「とりあえずクリーンを覚えたら、次はファイアの生活魔法習得のために火起こしをしてもらおうと思ってる。そうすれば自然とウォーターやライトの生活魔法が覚えられるはずだ。あせらずゆっくり覚えればいいさ!」
「はい、頑張ります!」
自室にて
今やっていることにすべて意味がある事を知った僕は、LVが上がり、生活魔法習得した姿に思いを馳せその日を終えるのだった。
お読みいただきありがとうございます。