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まさかのプレゼント

 解体カウンター横を抜けて、解体場へと入っていくといつものムキムキタンクトップのおじさんたちが出迎えてくれた。


「ヴァンとジョージじゃねーか!!」「久しぶりだなぁ~」「今日は大入り出るんじゃねーか?」「兄弟、お前専用のエプロン準備したんだ!!」「雷騰シフトってことか?」「ジョージまた頼むぞ。」「ウキー♪(はーい♪)」


 とても暖かく迎えてくれる解体職員達(タンクトップズ)とそれに答えるジョージ、そして現れるはラスボス……違ったがグランデさん。


「全員揃ったな、ここ最近の解体の量も増えてはいるがお前ら雨季が来るまで倒れるんじゃねーぞ!! さらに見ればわかると思うが、ヴァンとジョージが来たってことはすぐに雷騰シフトにするからお前ら頼むぞ!!」


「「「「「へい!!」」」」」


 掛け声と共にあわただしく動き出す。

 肩をトントンと叩かれ振り向けばいつかのアザだらけで道端で寝ていた一人だ。


「ほい、ヴァン君の専用エプロン皆からのプレゼント!!」


「あ、ありがとうございます?」


 なんだろうかプレゼントは嬉しいのだが……だが、これではない感が半端ない……まぁでもユニホームだってタンクトップ渡されるよりはいいか。


「おい、ヴァン!!ぼさっとしてねーでそのエプロンつけて三番テーブルで解体頼むぞ、ジョージお前はあっちの血抜き班に行ってくれ、頼んだぞ!!」


「ウキー!!」


 とグランデさんに門で覚えた敬礼をして、僕の指示なく血抜き班の元へと向かっていった。

 契約者とはいったいどのような存在なのだろうか……


 用意されたテーブルへと向かいエプロンを着けて解体を開始する。


 最初に僕のテーブルに運ばれてきたのはディアンカだ、小鹿亭へと納品するものも含まれているので師匠の森で討伐したときはすぐに血抜きしてそれからマジックバックに入れる。

 どのテーブルにもディアンカから運ばれている。


 血抜きされたディアンカ、内臓類を取り出し、生活魔法(クリーン)で解体中のディアンカを綺麗にしてここでギルドの解体場では珍しい魔導具があるのでそれを使う。

 冷却の魔導具だ!!魔法では水から氷に変化できないのだが、魔導具開発で最近導入されたのだと自慢していた。

 この冷却の魔導具を使うことで肉から熱を取り、肉の劣化を防ぐのだ!!すると美味しいお肉に一歩近づく。

 革を剥いで、角を取ればディアンカを部位事保管担当のタンクトップに渡していく。


 その後も出てくる出てくる、各種ウルフ系、タートルタイガー、鳥兎(ヴォルパーティンガー)、ベア、ボア、メガテリーム何て言う大物まで出てきた。それからひたすら解体を行った。


 あるときから蛙に変わったのだ。受付の人に確認をした領主の依頼の魔獣だろう。

 ビックトードを観察してみると地球に居た蛙とサイズ以外は変わらないように思える、槍か何かで頭を一突きされている物が目の前には居る。

 体長が目の前のものは1メートル程あるだろうか……でかくて気持ち悪い、口を開けると長い舌が収まっており、伸ばしてみると体長の約二倍ほどになった、若干だが肌はヌメヌメしてる気がする……手足にはしっかりと水かきがついているので水の中でも行動が可能なのだろう。死体とし運ばれてきているのでどのような動きをするのかわからないが、解体現場で現物を見れたのは明日の討伐依頼を受ける予定なのでラッキーだったと思う。


 未知の生物ほど怖いと思う。知っている知っていないの知識としてあるかないかでも対処が変わるだろうからね。

 師匠もよく観察して、相手を知ることを怠るなって言ってるからね。


 いざ解体と思ったのだが、ビックトードやフロッガーと呼ばれる蛙系魔獣の解体がはじめてなので回りをみているとグランデさんが来る。


「おいどうした? 手が止まってるぞ。」


「すみません、この魔獣の解体が初めてだったもので処理のしかたがわからなかったんですよ。」


「そういうことか、どれ俺が手本を見せてやる!! と言ってもこいつら使えるのは舌と後ろ足ぐらいだからそこまで丁寧にやらんでもいいんだ。」


 いうやいなや、解体のテーブルに備えてある解体ナイフで腹を開き、胃の中のものを全て出す、何でも食べているようで、魚、雑草、ネズミ、野菜など色々と出てくるのだ……そしてその状態はほぼ丸のみのようだ……

 クリーンで綺麗にして、皮を剥いでいく、剥き終わるとピンク色の鳥の魔獣と同じような見た目になる。

 後ろ足の一番太い部分をフライドチキンみたいに切り分けて終了らしい。

 後ろ足以外は全て破棄らしいのでテーブルの上に残ったビックトードの残骸をポイして終わり。


「まぁこんなもんだ、あとは解体してるときに注意してほしいんだが、稀に腹に斑点のある奴が居る、それはポイズントードだから食用ではない、食ったら痺れ、毒素が強いやつになると意識を失うこともあるから頼んだぞ。」


 グランデさんまた別の場所に移動しながら指示を出していく。

 解体職員の長は円滑に回すように見た目と反して細かい気配りの人である。


 僕も自分でビックトードの解体をする、慣れてしまうと必要な部位が少ないので大胆に処理していく事で時間の短縮となり、そしてビックトードの波が終わった。


「ヴァンお疲れさん、晩飯はどうする?」


 仕事が全て終了したようで、グランデさんからお誘いだ。


「宿に戻ります。出てくるときに頼まれた買い出しの物もあるので、次回来たときはご一緒させてください。」


「そうかそうか、次も指名依頼出しとくから、頼んだぞ!!」


 と背中をバシバシと叩かれる。

 ジョージもこちらに向かってきているのだが……なぜかブカブカのタンクトップを着ている……完全にあちらの世界が気に入った様子だ。


「ジョージ帰るよ!! そのタンクトップはどうするつもりなの?」


「(もらった♪ つぎは、こども、じゅんびする、だって!!)」


 僕のエプロンみたいなものかな……というよりも毎回手伝いが決まったような気がするのは気のせいだろうか?

 解体の技術もあがるし、冒険者ランクの貢献度ももらえる、もちろん報酬ももらえるから、一石三鳥って感じだね。


「そっか、良かったね!! じゃあ宿に戻ろう。その前に。」


 生活魔法(クリーン)を使って僕とジョージを綺麗にして解体場を出ていく。

 宿に早く帰って、今日買った本を読むとしよう。


いつもお読みいただきありがとうございます!!

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