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指名依頼!?

 リカール商会をあとにした僕たちは当初の予定通り冒険者ギルトへと移動していた。約三ヶ月分の魔獣の解体依頼と魔石の納品のためだ。


 冒険者ギルドに入ってまずやることは納品ではなく掲示板の確認だ、どんな依頼があるのか、魔獣を見せたらきっと解体場に運ばれるからだ。誰とは言わない。


 掲示板には


 ・魔石の納品 常設依頼

 ランク不問

 内容・魔獣討伐で入手した魔石の納品

 報酬・魔石ランクにより変動

 場所・指定なし

 期限・無し

 依頼主・ルダボスカギルド

 備考・町への供給のため買取強化中


 ・薬草採集 常設依頼

 ランク不問

 内容・薬草10株ごとの納品

 報酬・種類により変動

 場所・指定なし

 期限・無し

 依頼主・ルダボスカギルド

 備考・薬草知識無くても、ギルドスタッフが教えます。


 常設依頼はいつまのように貼り出されていたので問題ないだろう。

 それよりも気になる依頼があった。


 ・指定魔獣の討伐

 ランクEランクから受付

 内容・ビックトードの討伐

 報酬・一体につき大銀貨1枚

 場所・ルダボスカ北東にあるミーニャ川近辺

 期限・雨季を迎える前までに

 依頼主・ルダボスカ領主

 備考・毎年この季節がやって来た、ビックトードの産卵のため大移動はじまっている、生態系を保つためにも多くのビックトードを討伐してほしい。


 ・土属性魔法使えるもの募集

 ランク不問 土属性魔法が使えるもの

 内容・ミーニャ川、河川周辺の堤防補強

 報酬・出来高払い

 場所・ルダボスカ北東にあるミーニャ川近辺

 期限・雨季を迎えるギリギリまで

 依頼主・ルダボスカ領主

 備考・雨季を迎えるにあたって、ミーニャ川の氾濫などを未然に防ぐ工事、補強を行い町の安全を確保したい。


 この二つとも雨季とミーニャ川という場所で行われるようだ。そして何より討伐数で大銀貨一枚とかなり報酬としては高いと思う、土属性の魔法も使えるので河川工事の方も出来高払いとは心踊る言葉だ。なんせ本を買ってしまったがゆえに稼がなければいけない。

 僕のランクEからでも依頼が受けられることが何よりも助かる!!

 受付の人に聞いてみる価値はあるだろう。このあとは解体場へと行くことになるからな。がっしりとした肩に担がれるのだろう。


 依頼受付の窓口へと向かう。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


「魔石の納品依頼と魔獣の解体買い取りをお願いしたいのと、依頼でミーニャ川の二つの依頼で聞きたいことがあるのですが。」


 受付の人は魔石の納品と解体のところで手元のメモを見ていた。


「かしこまりました、まずは冒険者プレートの提出をお願い致します。」


 すると受付の人はEランクで銀の頭髪、小猿を背負った男の子、魔獣の解体を依頼してきたらとぼそぼそ僕を確認していた。


「プレートの提出ありがとうございます。ミーニャ川の件ですが、こちらの町で雨季を迎えるのは初めてでしょうか?」


「はい、初めてです。」


「かしこまりました、雨季ですが一年を通して一番雨の降る時期となります。ルダボスカ周辺の草原に青い花が咲いていることにはお気づきでしたでしょうか?……」


 それから受付の人は雨季の事を説明してくれた。


 青い花が咲きだすと雨季が近いとルダボスカ周辺では有名な話でその青い花を合図に竜ヶ峰、ルダボスカの東側の森からビックトードが移動を開始し、水位の増したミーニャ川にて産卵するのだとか、青い花をビックトードは産卵期に好んで食べるそうでルダボスカ周辺にやって来るらしい。

 産卵したあとは竜ヶ峰に戻る個体とその周辺に留まるものが居るのだとか、雨季の最中に卵から孵化し川の中の生き物を食い荒らし地上に出てくる、出てきたビックトードの子達は家畜を襲ったり畑にある作物を食い散らかして成長し、竜ヶ峰へと帰るらしい。

 川から出てきたビックトードをみると雨季の終わりを告げると言われているのだとか。


 また河川工事の件も雨季の長さが決まっているわけではなく雨が降り続けることから氾濫した過去から毎年この時気になると補修や補強をするのだとか。

 ここでもビックトードが絡んでいるらしく、ビックトードの中に特殊なものも含まれており作った堤防を溶かしたり崩してしまうのも居るのだとか。


「丁寧に説明ありがとうございます。明日にでもこちらの二つの依頼受けようかと思います。」


「こちらこそ長くなりましたがご静聴ありがとうございました。それとヴァン様はこちらの指名依頼がありますのでお受けいただきたいのですが。」


 指名依頼?それって高ランクの冒険者に来るものじゃないの?


「えっと……僕に指名依頼ですか? 普通高ランクの冒険者に依頼することがあるって聞いたんですけど……間違ってないですかね?」


「かなり特殊なケースの依頼となりますね。確認しますか?」


 受付の人から渡された依頼書にはこう書かれていた。


 ・指名依頼

 Eランク ヴァン・アルカード 登録ルダボスカ

 内容・大量に持ち込まれる魔獣の解体

 報酬・解体依頼と同額

 場所・ギルド解体場

 期限・無いが持ち込まれた時

 依頼主・解体現場監督グランデ

 備考・解体場への通行を許可する。従魔ジョージも特例で許可する。


 と書かれていた……受付の人に顔を向けると苦笑いが帰ってきた。

「拒否することも可能ですが、以前にも連れ去られているところを私も確認していますので、拒否しても連れていかれるだけかと……ただこちらもしっかりとした依頼となりますので終了しましたら依頼達成となりますのでEランクのヴァン様にはお得な依頼だと思いますよ!!」


 なんだろうかとても不憫そうな顔で励ましてくれてるような、そして見逃さない僕の背後それも奥の解体カウンターの方を受付の人がチラ見したのを……


 僕は振り返らない担がれるだけだから、その確たる証拠にジョージが耳元でじゃんぼーみてるよって話しかけてきてるから。


「わかりました……その指名依頼受けることにします。」


「かしこまりました。申し訳ないのですが、冒険者プレートをもう一度預かってもよろしいでしょうか?」


 冒険者プレートを渡し依頼の受付を完了させる。


「完了しましたので、このまま解体場へと向かってください。」


 まさかこんなパターンで解体場に向かうことになるとは……予想は解体場に担がれて運ばれるはずだったのに。


 まぁでもこれも僕のためになると考えて、前向きに依頼を受けるとしよう!!


 解体カウンター横を抜けて、解体場へと入っていくのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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