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異世界例に漏れず

 師匠はすでに飲み会の準備で忙しいようだ。


「師匠、お昼は適当に屋台で食べます、リカール商会で食材と、ギルドに解体を依頼する他何かありますか?」


「それで構わない、そして夜は俺帰らないだろうから、ヴェルダさんに夕飯いらんと伝えといてくれ。」


「わかりました!!」


 これで明日一日はフリーになるな、ギルドでなにか依頼を受けるのもありだろう、いつまでも駆け出しやルーキーといわれるランクに居るのもどうなんだってはなしだ。


 とりあえず買い出しやらをすべて済ませてしまおう。


 下の食堂に行く、その前に受付でエリーセに捕まった。


「ヴァンにジョージはこのあと出掛けるの?」


「師匠に言われた買い出しとギルドによって、ここで夜ご飯食べる予定!!」


「やった!! お母さーん!! ヴァンが買い出しついでにしてきてくれるって!!」


 いつそんなことを言った!?ヴェルダさんが食堂からエプロンで手を拭きながら出てきた。


「ヴァン助かるよ、買ってきてほしいのはこのメモにあるから、買ってきておくれ、明日の朝食に出したりするものだから前回の酒樽みたいに急いで持って来なくても大丈夫だよ!」


 あれよあれよと小鹿亭の買い出しまで決定してしまった……メモを受けとる。

 エリーセめいつか覚えてろ!!


「ヴェルダさん、買い出しの件は了解しました。夜ご飯師匠はいらないそうです。」


「あいよ、んじゃよろしくね。」


 ヴェルダさんは食堂へと戻っていった。

 エリーセはウインクしてごまかしてくるし、ため息しながら宿を出るのだった。


「ヴァン、ジョージ君いってらっしゃーい♪」


 エリーセにヒラヒラと手を振って居た。


 屋台で賑わうメインストリートとでも言う道をジョージを背に装備し歩いていく、気になった串焼きやスープなんかはその都度買い込み食べながら歩いた、ジョージの鼻はいいらしく味の良し悪しがわかるようで、僕が興味を持って寄った店では。


「(じょーじ、それいらない。)」


 と言われた店があった、そこの串焼きは味が悪かった。原因としては血抜きが不十分だったのだろう臭みが残っていたのだ。


 ジョージに店を選ばせると美味しく感じた。美食家として成長しないことを祈る、なんでも残さずに食べてくれるのがいいと思う。

 でもこれからは屋台巡りのときはジョージの直感を信じて選ぼうと思う。


 昼食の買い食いを済ませ、到着したリカール商会、チリンチリンとベルがなる。前回と同じように奥から店員さんがやって来た。


「いらっしゃいませ、ヴァン様とお見受けします。お間違いないでしょうか?」


「はい、そうです。」


「店長を呼んで参りますので、店内ご覧になってお待ちください。」


 入るなり、僕の確認をして来た、そして店長さんを呼ぶとはこのお店には今回が三回目なのでなぜこのような待遇なのか……今は考えてもわからないので店内を見て回る、これと言って欲しいものはほとんどなかった。


 すると恰幅のよいおじさんが現れた。


「ヴァン様、本日ご来店誠にありがとうございます。」


 と綺麗なお辞儀で対応してくれる。


「前回のご依頼でした、闇属性の魔法に関連する本と魔獣に関連する本を取り寄せることが完了しました。こちらへどうぞ。」


 レジカウンターの方へと案内される。

 おじさんの言う本は上等な箱に厳重に管理されていた。


「店員さん、その話の前にこのメモの物と前回と同じように三ヶ月分くらいの食材をお願いしに来ました。」


「これはこれは、少し先走ってしまったようです。」


 ポケットよりハンカチを取り出し、汗を拭いている。

 メモを受け取り確認して、隣に居た従業員さんに渡し準備してくださいと依頼していた。


「先ほどのメモは小鹿亭ですよね?準備いたしますので少々お待ちください。三ヶ月分の食材なのですが、前回と同じでよかったでしょうか?」


「ありがとうございます。前回より少し増やしてもらえると助かります。」


「期日なのですが、明日までに準備して見せましょう。ではこちらの箱の中をご確認ください。」


 厳重に箱に詰められていた蓋を開けるとそこには二冊の本が入っていた。黒い何かの革に赤の文字で闇の魔法を綴るとかかれたものと茶色い革の本には魔獣私が出会った特徴と書かれているので日記かなにかだろうか?


 どちらも言語理解で表紙に書かれている文字が違っても読めるのは助かるな。


「まずこちらの黒の本ですが、闇属性の魔法についてかかれたものになります、帝国より取り寄せましたため帝国文字になります。もうひとつの茶色い本はヘリテリウムで広く使われている文字になりますのでマーク殿でも読めるかと思われますが。本をお求めになられましたのである程度読めるとは思いますが、大丈夫でしょうか?」


「どちらも読むことは大丈夫だと思います。ちなみに金額は……」


「その年で大変博識なのですね、お師匠様の指導の賜物ですかな? 金額ですが、闇属性の魔法本が大金貨1枚と金貨5枚、茶の魔獣の本が金貨8枚になりますので大金貨二枚と金貨3枚になります。小鹿亭の方は大銀貨7枚になりますね。」


 やはり異世界の本と言うのは高いな……便利な魔法があるからきっとそういった技術がなかなか発展しないのだろう……買えるだけのお金は持っているので支払いをしてこの分の金額は解体とは別でギルドの依頼をしてお金を返済する形にしよう。


「わかりました、お金です確認してください。」


 終われた金額を支払い、二冊の本をマジックバックに入れる。


「食材なんですが、明後日引き取りに来る形でもいいでしょうか?」


「こちらはかまいません、お代も先払いではなくそのときの支払いでかまいません。他にご入り用な物はありますか?」


 前回とは少し対応が違ったが後払いでいいとは信用されているととらえていいだろうか?

 欲しいと思っていた物も手に入ったので今回は満足だ。薬草などの本もあるのだろうか?でも本は高いので別の機会にしよう。


「今のところは先ほどの二冊をしっかり読みたいので大丈夫です、なにかあったらまたお願いします。」


「かしこまりました、それでは二日後お待ちしております。」


 店内をあとにし、ギルドへと向かう、その時も前回と同じようにおじさんと店員さんが入り口まで来てのお見送りしてくれたのだった。



 ~~~~~~~~~~~

 ヴァンの去ったあとのリカール商会


「やはり私の目は間違っていなかった……あのお客様からは幸運……いえ、金の匂いがしますからね。皆さんマークケイン様同様ヴァン様も今後とも丁重におもてなしするようにお願いしますよ。 今後もリカール商会と長い付き合いとなることでしょう。」


 商会に居る店員すべてに伝えられたのだった。


「さてさてお次は何をお求めになりますかね、それにしても帝国語にて書かれている闇の本も読めるとは何者なのでしょうか? 商会のリストにも今まで乗ったことはありませんでしたけれど……謎の多い方も面白いですからね、今後が楽しみです。」


 リカール商会独自の情報網があるのだ、お金持ちの貴族などはもちろん、冒険者の有望株なども調査されている、すべてはお金を持っている人達を相手に要望に答え、儲けを出す。先行投資もいとわないリカール商会、リカール商会はお金は嘘をつかないお金がすべてであると。

いつもお読みいただきありがとうございます。


先日誤字報告をしていただきました、ありがとうございます。

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