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池で気分転換

 目的の池に到着した、湧き水が貯まった池なのだろう木々の間から太陽の光が漏れこの池を幻想的な世界へと変えている。

 池の底が見えるほど透き通っているので、魚もなんかも見えるほどだ。


 しかし先約が居たのだ、ディアンカ鹿の魔獣が池の水を飲んでいる、反対側なので距離があるのだが僕らの姿を見たとたん逃げていった。

 これは普通ではない、魔獣であれば人間を見つけ次第攻撃をしてくるのに逃げるという反応はおかしい……

 よくよく思い出してみればこの池過去に二度ほど来ているのだが、いずれも魔獣と遭遇しても戦闘になった記憶はない……なんとも不思議な場所だ。


 魔獣の姿も居なくなったので、池を囲うように魔獣避けの魔導具を設置していく、今日はこの池で遊ぶのだ!!気分転換に探索でもしてこいと言われたので池の中の調査と銘打ってジョージと楽しむ!!


 準備が完了したので、パンツ一丁になりいつでも飛び込めるように、ジョージは不思議そうに見つめている。


「(ばん、なんで、ぬいだ?)」


「これからあの池の中に飛び込もうと思って、ジョージは水の中に入った経験ははないよね? 絶対気持ちいいよ!!」


「土よ、この地は変容を遂げ、望む形へ具象させよ、アース・ムーヴ」


 魔法を使い地形を変える池に向かって伸びる飛び込み台のようなものを作る。

 そしてその台に向かって走りだし池の中にジャンプ!!


 バッシャーン!!と水しぶきをあげながらダイブする。浮き上がってジョージにを見て!!


「ジョージもやってみな!!気分転換するために遊ぼう!! 飛び込むときは息をしっかり吸って息を止めるんだよ! ちゃんと助けてあげるから。」


 何にでも挑戦するジョージは恐れることなく手足をついて走りだし飛び込む、ブクブクなかなか浮き上がってこないので潜って見ると、大人しく丸まってたのでジョージを抱いて浮上し救出。


「(ぷはぁー、くるしかった、きもち、いい!!)」


「ジョージ飛び込んだあとは上に向かって泳いで上がってこないと!! 息が続かないと大変だよ!!」


「(どうやるの?)」


「いつもみたいに背中に乗っててごらん?平泳ぎで池を泳ぐから。」


 前で抱っこしていたジョージが背中に移動するのを確認してから泳ぎ出す。ちっちゃいジョージが背中に乗ったところでこの世界に来て鍛えた体なら沈んだりはしないはず。

 いざ背負い平泳ぎで泳いでみれば問題なく泳ぐことができた。

 実はこれ僕が小さい頃プールでお父さんの背中に乗って流れるプールを流れた物を真似してみたのだ。一時退院出来たときにつれていってもらった唯一の記憶だ。


「ジョージこんな感じで手足を動かして水中やこうやって水面を進むんだよ。」


「(すいー♪すいー♪ばん、すごい)」


 しばらくジョージを乗せて泳いで居たが自分でも挑戦したいとのことなので浅瀬で練習する。

 平泳ぎはできなくても犬掻きで顔を出したまま泳ぐことができるようになった。


「(じょーじ、できた!! およいでる!!)」


 楽しそうに泳いでいるので、そのうちにあるものを造り出す!


「土よ、この地は変容を遂げ、望む形へ具象させよ、アース・ムーヴ」


 手前を階段状につくり、高さ二メートル程の地点から池に向かって下り坂を作る先端をちょいと上に曲げ飛び出せるような形に形成する。


 そう僕が作ってるのは自家製ウォータースライダー、最後の仕上げをする。


 この池に来る前に討伐したダイヤウルフの魔石を使うのだ。


「水よ、流体を操り、()()()()()()、すべてを押し流す、水流(ウォーターフロウ)


 ウォーターフロウの魔法は通常ここまで詠唱は長くならない、今回は定常流として扱いたかったので詠唱に加えた。


 そしてウォーターフロウの魔法を魔石に込めたのだ、これで魔力を込めれば閉じ込めた魔法が発動する。

 この方法はデルフィーヌさんに教えてもらった。普通は強力な攻撃魔法を魔石に込めピンチになったときなどに使う奥の手だそうだ。


 今は魔石も魔法も遊ぶために使うという贅沢、やろうと思う人は居ないだろうな。

 ウォータースライダーの滑り出す場所にウォーターフロウを込めた魔石をはめ込む。

 これにて準備が完了した。魔法をこれだけ使っていたのでジョージは大変気になっていたのだろう階段下に来ていた。


「ジョージ、登っておいで!!」


「(ばん、まほう、なにする?)」


「ちょっとした遊具を作ってみたんだ、楽しいと思うから一緒にやろう。」


 ウォータースライダーにはめ込んだ魔石に魔力を込めると勢いよく斜面に水が流れ出す。


「ここに座って滑るんだ、斜面と水の勢いでけっこう早いと思うんだけど、やってみないとわからないね。最初から二人で一緒に滑っちゃおうか!!」


 ジョージを前に僕が後ろで座り手すりを離すと水圧で押され、斜面に入ると滑り台の部分をあっという間に下り降り最後のかち上げ部分にその勢いのまま空中に飛び出す。

 一瞬の浮遊感から池の中にザブーンと水しぶきをあげ水中に入った。


 思ったよりもスピードが出ていたし、浮遊感も楽しめた、こんなのは向こうの世界にも無かったと思うというよりも知らないだけかもしれないが我ながらいいものができたと思う。


 浮き上がってジョージを探すと上手に犬掻きで陸を目指している。すでに二回目のウォータースライダーに向かっているようだ、ジョージを追いかけ陸に向かう。


「(ばん、はやく、はやく、うしし♪)」


 楽しかったようで何よりだその後何回もウォータースライダーを楽しんだ、二人でやったり一人づつやったりと並んでいるのは居ないので僕らだけでぐるぐるぐるぐると。

 そろそろ帰らないと夜になってしまうので帰ることに。


「ジョージそろそろ帰らないと危険な時間になるから帰るよ!!」


「(えぇ、もうちょっと、だめ?)」


「ラスト一回だよ!!それが終わったら帰るから、それにこれは残しておけばまた来たときに遊べるよ!!」


「(わかった。さいご、いく!!)」


 ジョージは一人で階段を登り滑って戻ってくる間に僕は体を拭いてヒートブロウでパンツと髪を乾かし洋服を着る。

 戻ってきたジョージも全身を乾かして、魔導具の回収を終わらせ、最短距離、魔獣は居ても無視して師匠が待つ家へと帰った。


 あのウォータースライダーに設置した魔石の回収を忘れ、そしてヴァンとジョージを見ていたものたちが居たことも彼らは気がついていない。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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