体力作りとLVアップ
倉庫にたどり着いてまず思った…汚い…汚れとか埃で汚いのではない、広さも六畳ぐらいのスペースがあるのではないだろうか?物が乱雑に置かれて?足の踏み場が無いくらいに荒れている…マークさんはこの中でいつも探し物をしているから物が見つからないんだ!勝手な想像だけどこの状態で「たしかこの辺においてあったはずなんだけどなぁ~」なんて言ってるに違いない。近いうちにここの部屋の片付けを頼まれるんだろうな、覚悟しておこう。
とりあえず必要なバケツに雑巾、箒は入り口付近にまとめてあったので、持ち出して部屋へと向かう。
窓を開けて換気をよくして、この掃除の目標を設定する、お昼までに頑張って部屋の掃除を終わらせることを目標に掃き掃除から開始する。
よく考えると病室を自分で掃除するなんてことしなかったから、新鮮な気分だ。
その後拭き掃除、上から下へ、奥から手間へと効率よくやっていく。
ついついきれいになるのが楽しくてあっという間に時間が過ぎていった。
「ヴァーン、昼飯だ~掃除終わらせて降りてこい。」
「はーい、今いきまーす!!」
凝り固まった体をうーんと伸ばす、腰とか痛くなってたけど、ちょっとスッキリした。
あまりマークさんを待たせるのも悪いからすぐに降りよう。
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「いただきまーす。」
「マークさんは僕が掃除してる間何をやっていたんですか?」
マークさんに尋ねるとヴァン用に魔獣避けの魔導具の点検をしていたとのことだった。
今時点での僕ではここら辺に出てくるモンスターにはどうやっても勝てないかららしい。万が一があっては困るからとのことだった。そんなに危ないところにマークさんは住んでいるのか…
「掃除は終わったんだよな?」
「はい、とりあえず僕が使っていいって言われた部屋の掃除は終わりました。」
「結構長めに掃除してたから、洗濯は今日はやらなくていいぞ、午後からは薪割りをしてもらう。家の裏に薪割り場があるから移動するぞ。」
裏の薪割り場にてマークさんが手本を見せてくれた、ここで暮らしてるだけあって、すべて一回できれいに薪が割れている。カーン、カーンと一定のリズムでこなしていく。
「こんな感じだっていきなりやろうとすると、怪我するから、説明しながらやってみるぞ。」
「はい。よろしくお願いします。」
「まずは丸太の前で肩幅に足を広げてやるんだ、片足を前にやるのもいいがあのやり方は初心者には難しいから、慣れてきたらやってみるといい。ちなみにヴァンは右利きでよかったよな?」
右利きなのでうなずくと、左手用のグローブを渡されたので左手にグローブを付ける。
「そしたら、左手は斧の柄の端を持って、右手は振り下ろすときに動かすから柄の真ん中くらいを握ってくれ、それを持ち上げるのが基本姿勢だな。」
言われた通りに、肩幅に足を広げ斧をもつ左手は柄の端を持ち右手を中頃にして持ち上げる。
「振り下ろす時に右手を先端に向かってスライドさせろよ、刃の部分が降りてきた時に腰を下ろすんだ、その時には左手と右手がくっついてるのが理想だな。振り下ろすときにしゃがみこんでもいいぞ。そうすることで刃の部分に体重が乗っかって力がよく伝わるんだ。失敗して空振りしたり、思うところにいかなかったときに、自分の体に当たるってことも防げるから、腰を下ろすと初心者の安心感が違うぞ!」
(薪割りは奥が深いらしい…持ち上げた状態で聞いておるのだが腕がだるくなってきてる振り下ろしてもいいだろうか?)
「最後は狙いだか中心から少し手前を意識しろよ、柄では薪は割れないからな、これらを踏まえてやってみてくれ。」
言われたことを意識しながら振り下ろす、ガッと真ん中より右側にかなりずれてしまいうまく割れなかった、もう一度振り上げ、振り下ろすとパカーンと今度はうまく気持ちよく薪が割れたのだ。
「二回目はよかったな、きれいに割れると気持ちいいだろ?」
「そうですね。癖になりそうです。」
と笑って答えたのだ、次の原木を準備し、振り上げ、振り下ろす。バキッ調子にのって次もと意気込んだが斧の方が折れてしまった、刃の部分ではなく柄で原木を打ち付けてしまった…手がしびれている…手前を狙いを定めるところをおろそかにしたのだ
「イタタタ……マークさんごめんなさい斧をダメにしてしまいました…」
「柄じゃ薪は割れないっていっただろ。斧は気にするな、俺もやり始めた頃何本もダメにしてるからな(笑)」
「はい、次から気をつけてやります。」
「まぁ落ち込まずに薪割り頼むぞ、回数こなして慣れることだな。とりあえずノルマとしてそこの一画にある量をやるように。これも体力作りの一貫だからな、真面目にやるんだぞ。」
マークさんは家の方に戻っていく、またなにかやるのだろう、見送ったあと僕は薪割りを再開する。
振り上げ、振り下ろし、しゃがみこむ、パカーン
振り上げ、振り下ろす、…ガッ狙いがずれてしまった。
振り上げ、振り下ろす、…パカーン……パカーン…ガッ…ガッ…パカーン…斧が重いのもあるが振り上げ、振り下ろし、腰を下ろす立ち上がり、原木を移動して振り上げ、を繰り返すのだがかなりの重労働だ…マークさんは体力作りって言ってたけど、これはかなり効果がありそうだ。掃除をしろって言われたのも、やはり意味があるのかな?雑巾がけはかがみながらやったけどあれもよく考えれば全身を使ってるような…ただのきれい好きって可能性もあるけど…
…パカーン…パカーン…パカーン………
その後ノルマって言われた分を達成する。終わった頃には夕方になっていた。全身がだるい…このまま布団に入って寝たいくらい疲れた…とりあえずマークさんに終了の報告をするために家のなかに、しかに家の中にはおらず、表に出るとちょうどマークさんも森から帰ってくるところだった。
マークさんはいい笑顔で両手を持ち上げると、そこには二羽の謎の生き物が…兎みたいだけど、羽がある…額からは角もあるのだ…
「ヴァン飯の前に、これ解体するぞ。練習だ一緒に見ながらやってもらおうと思って二匹捕まえてきたから、やるぞ。」
…この体で解体か…できれば遠慮したいけどあんな笑顔で言われたら断れないし、居候の僕は拒否権なんてないよなぁ…ちなみにあの鳥兎?何て言うんだろう?
「マークさん解体はいいんですけど、その生き物は何ですか?」
「これも魔獣の一種でヴォルパーティンガーって魔獣だな。こいつは今朝のダイヤウルフよりも攻撃的で見ての通り飛行もする、今のヴァンだったら気がつく前にやられてるかもな。」
(……この家の周辺はどうなっているのだろうか?今聞いたらダメな気がする…マークさんに闘うすべを教わってからにしよう。)
「…………」
「黙りこんでどうした?あぁ…安心しろよ魔獣避けの魔導具はちゃんと作用してるから、こいつも森の奥の竜ヶ峰って呼ばれてる山の方に棲息してるから普通はここまで来ない。それよりもこいつが今晩の飯になるから、とっとと解体済ませるぞ。」
と兎鳥一羽と解体用ナイフを渡されたのでマークさんに習いながら、解体を済ませるのだった。
この魔獣羽の部分が鳥型、胴体部分が獣型、額に角があるためさまざまな魔獣の解体の練習にいいんだとか。
解体後はマークさんに「クリーン」の魔法できれいにしてもらいました。掃除に薪割り、解体と結構頑張ったからね。
そして晩御飯は鳥兎の香草焼きになりました。薬草類も使って美味しくいただきました。
そして食後にマークさんはステータス紙を持って来た。
「一日お疲れさん、早速だが、ステータス確認してみるといい。」
言われるがままに針に指先あてその指先をステータス紙にあてるとピカッと光るそして写し出されたのは。
ヴァン・アルカード(15)
種族 人 (ダンピール(人×ヴァンパイア)希少)隠蔽中
LV3
スキル 言語理解
特殊ユニークスキル 健康体 種族特性(未解放)
装備 隠蔽の指輪
称号 渡り人
LVが3になっていたのだ。
「マークさん!!LVが二つも上がってます!!」
「それくらいだろうな、成人の平均LVの話をしただろう?」
「はい、普通の生活をしていれば10くらいまで上がるって言ってましたよね?」
「そう、ヴァンはこちらの世界に来てから、初めて色々やってもらったのが今日だろ?掃除や薪割りなんかが経験値として蓄積されてLVが上がったんだ。それなりの負荷がかかる作業だからなおさらだな。」
「続けると、もっとLVが上がるってことですか?」
「10ぐらいまでなら上がると思うぞ。これから一週間は午前中に掃除、洗濯を交互にやって、午後は薪割り夕食前に解体してみるといい。」
「わかりました。」
「一日動いて疲れたと思うから、体を休めるためにも早めに寝るんだぞ。」
マークさんは自室に行ってしまった。
僕も自室に戻ってベットに寝っ転がる。初めてのLVアップで少し興奮しているが、すぐに睡魔が襲ってきた。
一週間でこの世界な成人の平均ぐらいまで上がるといいんだけどな…
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