情報の共有
いつものようにやって来た炎の翼は例のごとく三日間滞在して帰っていった。ジョージともだいぶ打ち解けていた、一人を除いて。かたぶつ、でるひーぬ、ちゃらおって呼んでた……アンガスさんとバレットさんがすごく不憫だ……そしてどこでそんな言葉覚えた……。
洗脳されたと勘違いして襲われた夜、炎の翼から情報をもらった。
「マーク殿、ギルドよりBランク冒険者以上に出された依頼の事は聞いているだろうか? 我々もその依頼を受けたのですが、期限は無しで情報次第で報酬が変わるらしいんです。」
「色々とダグから話しは聞いているが、お前らが受けたのはどんな依頼なんだ?」
「我々が受けた魔獣の変異種で王種の発見、調査の報告なんですよ!!通常種との違いは色らしいのです、それなのにこの世界で12体居て、2体はすでに確認済みだそうで、情報に偏りがある気がしますね。詳しくわかっているのに上級冒険者のみの依頼なのか謎が多いんです。」
「その件か、今デルフィーヌが戯れてるジョージがまさにその王種と呼ばれている魔獣の一体だな。12体居るって情報をギルドに出したのもヴァンだ。しかしもう一体の方は知らないな。」
ジョージに炎の翼の三人の視線が行くとビクッと驚いて僕の背中に飛び移る。
「ウキー、ウキッキ?(じょーじ、なにかした?)」
「なにもしてないから大丈夫だよ。炎の翼の三人がジョージと同じ王種の捜索してるんだって。」
「ウキ、ウキキ、ウッキー?(じょーじ、おおさま、めずしいから?)」
「そういうことかな?ジョージみたいに仲良くなれるかもしれないからね探してるんだよ。」
僕らがそんな会話をしてる間も師匠とアンガスさんで話が進んでいた、なんでも僕達がルダボスカの町を出た日くらいにもう一体の王種が討伐されたらしい、また討伐したのが今話題沸騰中の天翔る剣だったんだとか、その王種の種類がミノタウロスだったらしい、色が銀のような色で通常の茶色とは別の色であったようだ。銀色ってのがジョージと似てるなと思った。
アンガスさんはもうひとつ不思議だと言っていたのだが。
「その天翔る剣なんですが、なぜ討伐したミノタウロスが王種とわかったのか、相手を鑑定する能力はこの世界ではないはずなのだが……天翔る剣はこれを判明させた方法を秘匿しているようなんですよ。それにマーク殿もヴァンもなぜそのジョージが王種とわかったのですか?」
「そのことか、ヴァン秘密にすること無いよな?どうしてわかったのかも教えてやれ。」
「かまいませんよ、ジョージが王種とわかったのは、皆さんも使ったことのあるステータス紙もしくはギルドに設置されている鑑定板で調べることが出来たんですよ!」
「俺っち達もたまに使うっすよ!?」
「あれって血液に反応して個人のステータスとかを表示するじゃないですか?魔獣も同じく血が通っているのでステータスとして出たんだと思います。まぁこれを知ったのも師匠にジョージの面倒を見るために説得の材料になにか伝える方法はないかって探してステータス紙を使ったんですよ。」
「そうだったのね、確かに魔獣の血なんか採取してステータス紙もしくは鑑定板で調べようなんて思わないものね。それにあれは自分の事を調べる魔導具って認識だから、知らないわけよ。」
この情報をどうするかの話に発展してしまう、魔獣も鑑定できることは今現在知られているものではない、自分の事を調べるものという固定観念ができているからだろう。冒険者にとって情報とは優位に状況を進める上で必要なこと、さらには自分の能力を大っぴらに開示してるものはほとんどいない、仕事をする上での切り札となるからだ。
もちろん冒険者ギルドには魔獣の情報をまとめた魔獣図鑑と言うものがあるのだが、それは今までの情報を元に作成されたものなので鑑定板ほど正確な情報ではないが、経験談を元に対策もたてられているのである。どちらも合わさればより正確な情報になるので僕的には教えてもいい気がするのだが……。
この話は大人に丸投げしてしまおう。それよりも気になるのが……
「討伐された王種のミノタウロスはなぜ討伐されたんですか?」
「話によると、ルダボスカ近くのダンジョンに居たらしいんだ、しかも低層と呼ばれる5階で遭遇し、いきなり襲ってきたらしい。」
「元々ミノタウロスは25階層より下に出てくる魔獣なの、そんな魔獣が駆け出しが居る階層で暴れまわったら多くの被害者が出てしまうからね。被害が少なくてよかったと思うくらいよ。」
「そうだったんですね、その状態では討伐されてしまうのも仕方ないですね。」
「ヴァンは残念そうだな、なにか理由でもあるのか?」
「それは王種はかなり頭がいいんです、ジョージを見てもらえばわかると思いますし、それにステータス詳細にも高い知性を持つって書かれてましたからね!! 王種は環境によって善にも悪にもなる存在なんです!!」
ついつい前のめりに話してしまったので冷静になるために椅子に座り直す。
そこにバレットさんが発言をする。
「ヴァンっちみたいに魔獣に対してそこまで柔軟に対応できないっすよ普通!!それに気になってたんすけど、さっきからジョーっちと会話してないっすか?」
「それ私も気になってたのよ!! それだけじゃないわ、魔法の才能だってそうよ!! 四属性ってのも15になるまで誰にも知られていなかったってのも不思議な話ね!!」
「そういわれると、ヴァンは好奇心が旺盛なんだが、常識がずれてるところもある、マーク殿を基準にしているからと思っていたがそれでは説明できない部分も出てきてしまうんだよな。」
いつかこんな感じになるとは思っていたのだが、どうしたものか……師匠に視線を向けると、目をつぶってしまった。
これは自分で判断しろって事なのだろう……。
………よし決めた!!
いつもお読みいただきありがとうございます。




