アースゴーレムのルーツ
ルダボスカギルドマスター室
ダグ・ハウレットは新しい報告を受けていた。
それは王種の討伐だ。月蝕のあと占いのオババ様がこちらに出向き、マークさんと一緒に見た水晶の変異種であると推測される。
その情報の提供は天翔る剣のパーティー更なる人気が出るだろうと予想されるので町に滞在している間は対応に終われそうだと苦労が見えている。
するとコンコンとノックする音。
「入ってくれ。」
「失礼します。」
扉から入ってきたのは総合の窓口受付嬢の子だ。
「報告書と朝方小猿ちゃんと一緒に来ていた銀髪の男の子からマスターに雷騰のマークケインからの伝言と渡されたメモなんですが……」
「どうしてこの時間にそのメモが来たのかな?」
すでに夕方から夜になる時間帯だ。
「申し訳ございません、その子もメモを渡されすぐさま帰ってしまわれ他の対応をしている間に、マスターは天翔る剣との会議に入られてしまったものですから、報告が遅くなりました。」
と頭を下げ謝罪する受付嬢タイミングが悪かったのだろう、ヴァン君も直接私にいいに来ればよかったのにと思ったのだが、Eランクの彼では門前払いになっていたかもしれないなと改めて思ったのだ。
「わかった、もう下がっていいよ、報告ありがとう。」
受付嬢が退室したのを確認し、メモを見ると表にはマークケインとあるが筆跡が明らかに違う……中には"王種は12体いるそうですよ。"と一言だけ……
よくこれで受付嬢が捨てずに私の元まで届いたのかと不思議だ。イタズラの可能性もあるというのにと。
12体のうち2体がこのルダボスカ周辺に居たことになる、国の端に位置する町で対応するには問題が大きすぎる、すぐに冒険者ギルド本部宛に報告書をまとめるダグギルドマスターの姿があった。
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師匠の家に着いたのは直線距離で二日間走り続け帰った次の日、いつものように朝食をしっかりと食べて、広場にて午前中の稽古を開始する。走り込みに、武器による素振りなど町中ではできなかったものを丁寧に確認するように汗を流した。
このとき師匠は魔導具の点検で終わったら見に来るとのことだ。
体術の訓練もしたいなと思った時にパッと閃いた。地球の空手の型をやってみようとボクシングのシャドーなんかでもいいなでもまずは型から。
型とは確か……空想の相手を想像し、目に見えない相手、すなわち自分自身と戦うことそんな感じだった気がする。
自分を目の前に想定し戦う防御する側として。
戦う相手も素手だ、すぐさま姿勢を低くして足を絡めとるように凪ぎ払ってきた、後ろに下がりながら飛んで交わす、追撃の右の拳が飛んでくるので、左腕で流すように受ける、左の大振りなフックが来るのをスウェーで交わす。
想像はできるが空手の型とは違う……向こうの世界でちょっと見ただけのものをすぐにできるほど甘くはないか……
「(ばん、なに、してるの?)」
ジョージの素朴な疑問に困ってしまう、何て説明するかな……
「う~ん、想定の自分と戦ってるって言ってわかるかな?こうやられたらこうしてとか、色々な場面に対応できるように相手を想像して対処するんだ。」
「う~ん、だれでも、いい?」
う~んは真似された気がする。頬をかく仕草だった。
「誰でもって、戦う相手のこと?」
「(そー!!)」
「いろんな相手を想像してやればいいからね。自分にできることをやるんだ!」
するとジョージは見上げるしぐさのあとぐるぐると走りながら、短い腕を振り回したりし始めた、遊んでるようにしか見えない。きっとジョージもこんな風に見えてたのかな。
しばらく見ていたのだが、なにと戦ってるのか気になり聞いてみることにした。
「ジョージ!! ジョージは今誰と戦ってるの?」
「(じゃんぼー♪)」
「えっ!? ジャンボって解体のグランデさんだよね?」
ニカッと笑ってまた戦い出した……まぁ好きにやらせておくか。
僕も体術での戦闘をイメージして戦いだす、今度は短剣を持っている、僕が武器を手放してしまったという想定だ。
しばらく僕とジョージは仮想の敵を相手に広場の真ん中で戦闘していた。
「おーい、お前らなにと戦ってるんだ?」
あまりにも集中していたようで、師匠が来たことに気がつかなかった。それよりも戦っているって見えたようでなによりだ!!
「ええっと、仮想の敵と体術で攻防をイメージして戦ってました。」
「ウキキー(じゃんぼー)」
「ああっはは、そうかそうか俺も昔はそうやって戦ったさ、ヴァンの相手は武器を持ってるやつ辺りで、ジョージは自分よりもでかい相手ってところか?」
「てかよくわかりましたね。」
「あぁ、俺も戦った記憶があるかなら妄想で。豊かな想像力は時として力を授けてくれる、そこから自分の戦闘スタイルを見つけることも可能だろう。見てろよ、空想の相手が―――――だんだんと知覚できる用になり、」
師匠が構え戦いだす、すると知覚できる用になりのところ辺りから魔力の塊が風を纏って見えるようになる、アリゼアさんだ。熊獣人の体格からの攻撃を師匠が交わす。
「これでは物足りなくなる、攻撃が当たっても実際の感触がない、するとそれを補うために考える、その結果産み出されたのは土人形の相手だ。」
魔力の変化が生じてクオリティーの低いアリゼアさんの土人形と師匠は戦い、足を払って組伏せていた。負けず嫌いがここで出たようだ。
「これまでヴァンはゴブリンやらさまざまな魔獣型の土人形と戦闘訓練をしたと思うが、元々は今お前たちがやっていた仮想の敵からの発展だったんだ。ついつい懐かしくなってしまった。」
「そうだったんですね!!午後からはジョージも含めて戦闘訓練をお願いします。」
「そうしよう、その前にそのよだれ猿の腹を満たしてからだな。」
ジョージはすでにバスケットに入っているサンドイッチ吸い寄せられていた。思わぬところでリアルな土人形の師匠のルーツを知ることになったのだった。
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