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三度目の因縁

 宿へ行くためにギルドから出て大通りを進むも人が多いために裏道を使うことに。


「ヴァンもういいだろう、ジョージ出してやっても混乱は起きないだろう。」


 師匠の声を聞いてローブの中から降りてきて、回りをキョロキョロと確認し後方を見つめたあと、いつものように背中にしがみついてきた。特に気にすることもなく裏道を進んでいると。


「(ばん、やっぱり、ついてきてるよ?)」


「!? ジョージどう言うこと?」


「ずっと、ついてきてるよ?」


 ふりかえるとボロボロな装備と、ローブをまとったマリシャスがこちらを見ていた。髪もボサボサで以前見たときよりも痩せており、薄汚れている。

 ツカツカと近づいて来るのに身構える。


「おい、銀頭!! 町中に魔獣なんか連れ込んで何考えてんだ!! 俺が討伐して町の危険を救ったとギルドに報告してやるから、その魔獣をこっちに寄越せ。」


 剣を抜きその目は血走っている。


「その剣をおろしてください!! この子のは獣魔の登録もしてます!! それにあなたには関係ないことじゃないですか!!」


「うるせー!! お前がここに来てから何もかもうまくいかなくなった! この疫病神が!! 魔獣もろとも死ねぇぇぇ!!」


 叫びながら剣を上段に振り上げ、斬りかかってくるマリシャス。とっさに身体強化を使い後ろに飛び退く。

 しかし筋力も弱っているのか動きが遅い、身体強化をするほどでは無かったと思うも。


「なに躱してんだよぉぉぉ!! お前さえいなければ……お前さえお前さえ、あぁぁぁぁぁ!!」


 めちゃくちゃに剣を振り回し地面や家のあちこちにぶつかり破損していく、ものすごい音がしているので裏道の住人や表通りからも人が集まりだす。


「なにを見てんだよォォォォ、みせもんじゃねぇぇぇぇ!!」


 全く回りが見えていないマリシャス、回りを危険にするのはまずいと剣を抜こうとしたところで、師匠がマリシャスに近づき左のボディーブローにより、マリシャスがくの字に曲がる。アニメの世界の用な光景に唖然とする。


「ぐがぁっ!!」


 とマリシャスは意識を失いその場に倒れ込む。しばらくすると表通りから


「どけどけ、道を開けろ!! 道を開けるんだ!!」


 町の衛兵が来たようだ。大柄な男達と門番でお馴染みのガストンさんも駆けつけてきたようで師匠と僕を見て説明を求めてきた。


「マーク殿これはどのような状況ですかな? そして倒れているのが通報のあった男ですかね?」


「この倒れてるのが突然ヴァンを狙って暴れだしたんだ! 人も集まってきたんで、気絶させたが問題あるか?」


 気絶しているマリシャスを縄で縛り、暴れださないように捕縛し、大柄な男性が担いだ。


「了解です、問題は無いでしょう、ヴァン君は彼に見覚えがあるかな?」


「冒険者ギルドで二度ほど絡まれてます……。僕は特になにもしてないんですけど……。」


「冒険者ギルドの方にも聴取にいかねばならないか、そちらの方で確認して必要であれば後日お伺いします。いつもの宿でよかったですかな?」


「あぁいつもの宿で泊まる予定だから、こちらの聴取が必要であれば、言ってくれ。」


 衛兵の人達もマリシャスを担ぎ行くと回りの野次馬も散って行く、僕たちも宿へと向かう。


「師匠、あれですね、ジョージが背中にくっついていても町の人達ほとんど気にしてませんでしたね。」


「一応手首にしてる、獣魔証があったから危害はないだろうってのと、見かけは小猿だからな。危険なものとは判断されなかったんだろう。」


「そういうものなんですかね?」


「そんなもんさ、それにあの場面であれば、剣を振るっていた小僧の方が危険度は高かったからな。この町にも獣魔師が居るし、町中に入れる魔獣には必ずその飼い主が居る、そして危害はくわえられないと皆が知ってるからだろう。」


 そんな会話をしながら、小鹿亭へと到着するといつものようにエリーセが受け付けに居た。


「あれマークさんにヴァンと……」


 エリーセは師匠から僕そしてジョージへと目をキラキラさせながら見つめてから手を伸ばしてくる。


「その子は何者!! ヴァン私に貸して! じゃなかったらちょうだい!!」


「エ、エリーセ、落ち着いて!! 貸さないし、あげないからね! ジョージは僕と契約してるの!! そしてものじゃないから!!」


「なにケチなこと言ってるのよ! ヴァンのケチー!!」


「ケチとそういうことじゃないから!! もういいから受付してよ!!」


 すると奥から肝っ玉母ちゃんことヴェルダさんの登場だ!!


「エリーセなに騒いでるんだい。夕食前なんだから厨房の方手伝っておくれよ!! マークついこないだ来たばかりじゃないかい?泊まってくのか?」


「あぁ、ヴェルダさん部屋は空いてるかな?食い扶持が増えたんで買い出しだよ。良く食べるんだこいつが。」


 師匠はジョージを指差し説明している。

 ヴェルダさんは特に気にした様子はなく、部屋の鍵をとり渡してくれた。


「いつもの部屋が空いてるから使うといいよ、いつもより泊まり客が増えてるから、夕飯の時間をずらしてくれたらいいよ!! ヴァンちゃんはその子の粗相はあんたが掃除しておくれよ!! それ以外は特に注文つけないからね。」


 いうやいなや厨房へと戻ってしまった。エリーセも女将に言われては手伝うしかないと言うことで、宿泊の日数分のお金を払って部屋へと向かう。ちなみにジョージは支払い無しでいいとサービスしてくれた。今後は獣魔が泊まれる宿なんかも調べなきゃいけないなと思うのだった。


 ゆっくりと夕食を食べ、明日に備えはやくねることに、ジョージはヴェルダさんの料理が気に入ったようすで、三回もおかわりしていた。通訳は僕なので毎回伝えるのは大変だったけどね。これは追加料金を求められてしまいました。


 明日はダグさんに紹介してもらった獣魔師の所でジョージのために色々と聞きたいと思う!!

いつもお読みいただきありがとうございます。



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