質問と謎の指示
本日2話目
力をつけるって目標も定まったのはいいんだけど、もう少しステータス紙について知りたいのでマークさんに尋ねることにした。
「マークさん、質問してもいいですか?」
マークさんもうなずいてくれたので、そのまま質問する。
「ヴァンパイアや僕の種族が珍しいことはわかったのですが、その他のステータス紙の簡易版と冒険者ギルドでしたっけ?で見れる項目の違いなんか教えてほしいのですが。」
「すまん、あまりにも種族のところが問題で説明が全くできてなかったな。ステータス紙に書かれてるのから説明していく。」
と頬をポリポリとかきながら説明をしてくれた。
「まず名前と隣の数字は問題ないだろ?」
僕はうなずいて先を促す。
「てかヴァンは15なんだな、こっちの世界では15で成人、大人の仲間入りになるわけだ、成人ってことはどこかのギルドで身分証の発行もしてもらわなきゃいけないな、街や国境を越えるのに必ず必要になる、今は急ぐ必要もないし、俺の家にいる間は問題ないから後回しだな、っと話がずれたが次にLVだが、この世界の住人は生まれたときに必ずLV1から始まる、LVをあげることで様々な恩恵が得られる。力が強くなったり、早く動けたりな、手っ取り早いLV上げの方法だがモンスターを倒すことで上がっていくんだ、普段の生活のなかでもLVが上がることがあるから、すべてに意味があるってことだな。なにかここまでで質問はあるか?」
「渡り人でも身分証の発行はできるんですか?あとこの世界の15歳の平均的なLVも知りたいです。」
「渡り人でも大丈夫だ。冒険者ギルドに関してはそこまで厳しい検査はないし誰でも加入できる、身分証もその場で発行してもらえるぞ。商業ギルドは身元がはっきりしている者が条件だ、さらに信用の問題もあるから貴族や国に仕える役人の保証書も必要になるな、鍛冶ギルドもあるがあそこは登録するのに鍛冶ギルド加入者で高ランクの者に弟子入りして認められてからって手順が必要になる。無難なのは冒険者ギルドでの発行だな。」
「次にこの世界の成人の平均は10前後だ、普通の生活をしているだけならこんなもんだな。一般人なんかは生涯で最高14、15なんてことも良くあることだからな。ちなみに俺は58だ。」
とサムズアップして自慢してくる。
(問題がないならその場で発行してもらえる冒険者だな。平均10…それにもなっていない俺は…渡り人特有てことにしておこう。マークさんは一般人の約4倍…だけどあのサムズアップとニヤケ顔がすこーしイラつくからスルーしよう。)
「ありがとうございます。残りのスキル関連も教えてください。」
サムズアップした腕を下ろし、真面目な顔に戻す、スルーされたことを無かったことにしたようだ。
「次にスキルだが、言語理解は渡り人特有のスキルだな、ここに剣術や魔法、耐性、解体などが覚えることで記入されていくな。次に特殊スキルはまず持っている者がほとんどいない、貴重なスキルだ。そして通常スキルよりも強力な事がほとんどだ。健康体に種族特性、どちらも聞いたことのないものだが、危険は無いだろう。健康体を持ってるのになにか心当たりとかないか?」
顎に手を当て少し考える…
「健康体ですか…こちらの世界に来る前ですけど、僕はむこうの世界では病院で入院してることがほとんどでしたから、次があるのなら、健康な体になりたいって思ってましたね。」
マークさんは納得したようにうなずく。
「きっとそれがこの特殊スキルをヴァンが持っている理由だろうな、特殊スキルってのは強い願いや、危機が訪れたときに習得することがあるって言われてるんだ、習得できた本人たちもわからないってことが多いがな、なんせ持ってる人が少なくて調べられないからな。まぁ予測でしかないがその健康体は病気にならないとか、体力や疲労の回復が早いって効果じゃないかと思うぞ。少し特殊スキルにしては弱い気がするが大きく間違ってはいないだろう。」
「最後に称号だが、これはその人を表す者だったり、功績が記録されるみたいだな。ふたつ名もここに記録されることがあるぞ。」
このあとマークさんはこの紙とギルドで見れる鑑定板の違いを説明してくれた。
・各種項目の詳細説明が見れる。
・各能力値の閲覧、Sから始まりA、B、C、D、E、F、で表記されるらしい。
・称号の表示、非表示の選択
・マップ機能もあるらしい。ただし行ったことのある場所のみ表示されるんだって。
便利機能が満載のギルドの鑑定板、旅をしたいと思っていた僕には願ったりかなったりのマップ機能は嬉しい限りだ。
「とまぁこんな感じなんだが、ステータスを見てのとおり、LV1では厳しい、LV上げからヴァンにはやってもらおうと思うんだが…」
「はい。僕も力を付けたいですし、LV上げからお願いします!!」
力強く返事を返す。
「ヴァンはこの世界に来る前は病気で入院していたって言ってたよな?」
「はい…、ほとんどの時間をベット上で寝ていることが多かったです。」
「そうするとまずは体力作りから始めるのがいいな、渡り人はむこうの世界の体が基準になっているはずだ、寝たきりとまでは言わないが、それに近い状態のはずだからな。」
「えっ!でも僕のこの体はむこうの世界に居たときに比べたら、身長も伸びてますし、体もしっかりしてますよ?」
「ヴァンの場合は特殊スキルの効果でこちらに渡るときに変化したんだろうな。様子を見ながら、やるとしようじゃないか!」
「ということで、まずヴァンにやってもらうのは掃除と洗濯だ!薪割りなんかもやってもらうぞ!」
「マークさんそんなことなら、魔法で簡単にできちゃうじゃないですか?それのどこが体力作りになるんですか?」
「いいからいいから、まずは自分の部屋の掃除と雑巾がけからやってみろ!バケツ雑巾なんかは倉庫にあるから自由に使っていいぞ、終わったら声かけてくれ。」
マークさんは手をヒラヒラと振りながらリビングから出ていってしまったのだった。
納得はできないけど、言われたことをやりにリビングから倉庫に向かうのだった。
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