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ダグさんへのお願い

 足早にギルドに向かうが、門のところで列ができていた影響は町の中でも起きていた。


 町中も人、人、人とお祭りでもやっているのではないかと思う程の喧騒に包まれている。


 人々を縫ってギルドへと到着した。建物の中から聞こえる声は扉越しにも外に聞こえてくる。

 そしてギルドの扉を開けるとムワッとした熱気と町中をはるかに越える喧騒がする、喧騒というよりも騒音レベルに感じる。


 受け付け方面を見るが並んでいる様子はなく、併設されている酒場の方に人がごった返している様子だ。


 ローブの中のジョージは器用に足だけで僕に絡まりついて手は耳を塞いでいた。

 ダグさんに用事なのでEランクの僕よりも師匠が受付嬢に話した方が早いということで。僕は人の少ない場所を探し待っていた。

 ふと視線を感じたが気のせいだろう。これだけ人がいるのだから誰かしら僕を見ることもあるかもしれない。


 しばらく待っていると師匠が呼びに来た。


「ダグなんだが、今天翔る剣(あまかけるつるぎ)と話しているそうなんだが、終わるまで別室で待たせてもらえることになったから、そっちで待っていよう。」


 二階にある談話室へと案内された。

 受付嬢が退出したのを見て師匠が頷いたので。


「ジョージもう出てきて大丈夫だよ。」


 そこでようやくジョージもローブの中から出てソファへと座った。


「(ばん、つかれたー、うるさかった、おなかすいた。)」


「あぁ僕もそれは思うよ! ご苦労様。お腹すいたのはどうしようか……もう少し我慢できるかな?」


「俺が何かもらってくるさ。ジョージはなんでも食べれたよな? 」


「いいんですか?」


「ジョージのそばにはヴァンが居てやる方がいいだろ?」


 部屋を出て行ってしまった。


「(ばん、さっき、いやなかんじ、した?)」


「嫌な感じ?そういえば視線を感じたような気がするけど……気のせいじゃないかな?」


「(うーん、そうかなぁ)」


「もしなにかあっても今は師匠と一緒だし、大丈夫だよ。」


 しばらくたつとコンコン「入るぞ。」とお盆に飲み物と料理をのせた師匠が部屋へと入ってきた。

 匂いにつられてジョージがそわそわしている、かなりお腹が減っているようだ。


 簡単に食べれるハンバーガーのような物をジョージはあっという間に食べ終えてしまった。最初の頃の飲み込むような食べ方でなくしっかりよく噛んでたから良しとしよう。ジョージは自分のぶんだけで足りず師匠のを物欲しそうに見つめ、食べかけだったが、もらって食べていた。


 食事も済ませ緊張もほぐれたジョージはこの談話室内を歩き回っては触ったりと探索して居た。するとジョージは突然走ってきて僕に抱きつき、すぐにローブにくるまった。

 外から小走りにこちらにくる気配を感じた。コンコンとノックする音がなったのでジョージは気配を感じて慌てていたようだ。


「ダグ・ハウレットです、マークさん入りますよ。」


 優雅に一礼して入ってきたダグギルドマスター。


「大変お待たせして申し訳ありませんね、私もギルドマスターをやっているのでそこそこ忙しいのですよ。」


「すまんな、俺が毎回アポもなく来てるんだ、そっちに非はないさ。ダグに相談事があって今回は来たんだ。占いのオババの件で早速の情報……いや問題を持ってきた……。」


「相談事? それに月蝕の件ですか? どのような案件なんでしょうか? 新たに発生したダンジョンでも見つけましたか?」


「ダンジョンではないんだ、ヴァン、ジョージをダグに見せてやってくれ。」


「わかりました。ジョージ出てきていいよ。」


 ローブにくるまって隠れていたジョージが顔を出す、ダグギルドマスターと目があったのだろうすぐに僕にくっついて影から覗くようにダグギルドマスターを見ている。


「えーと……ヴァン君その魔獣はどうしたのでしょうか?というより獣魔登録はしていないんですよね?」


 僕に聞いたあとに師匠に向けても確認をとって師匠は頷いていた。


「ジョージは日蝕の日に助けたんです!! 師匠にお願いしてどうにか一緒に居られるようにお願いしたんです! 獣魔登録の件もダグさんならどうにかできるんじゃないかってそれで今日来ました。」


 ダグさんは目をつぶり沈黙してしまう。ここでたたみかけるように話を続ける。


「ダグさん、ジョージなんですが人間の会話を理解しています。さらに戦闘猿(バトルコング)の王種とステータスに出ています。」


「ッ!?それは本当ですか?王種とは占いのオババさんが言っていた変異種になるんじゃないですか? それよりもなぜわかったんですかマークさん?」


「本当だ、俺は家に帰ったらジョージがいてな、ヴァンとジョージは俺を説得するために、ステータス紙でジョージのステータスの確認をして居たんだよ。そこで王種であることがわかった、さらに言えば会話を理解しているのも、言語理解のスキルを持っていることもそのステータス紙に乗っていたからヴァンの言っていることは正しいんだ。」


「そういうことですか、その魔獣のステータスの確認をさせてもらうことは可能でしょうか?」


「ジョージこの間のチクッってやつなんだけど、やってくれるかな?」


「ウキッ(わかった)」


「ありがとう。ダグさんステータス紙大丈夫だそうです。」


「今ので会話もしているんですか?私にはウキッってしか聞こえてませんけど……」


「ダグ、俺もだから会話できるのはヴァンだけだろうな。他にわかるとしたら居るかわからない渡り人ぐらいだろうな。」


「ステータス紙を持ってきますのでお待ちください。」


 ダグさんは部屋を出てステータス紙を持ってきてくれた。


「それではお願いします。」


 師匠の家にある物と同じステータス紙なのでジョージにステータスの表示をお願いするのだった。


いつもお読みいただきありがとうございます。



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