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会話と師匠は

 その現象は5日程たって現れた。いや聞き取れるようになった?


 それに気がついたのは朝起きたときだ。


「ジョージおはよう。」


「おは、よう。」


 聞いたことない声から返事があったのだ。ジョージの口が動いていたので間違いではないだろう?


「今のはジョージの声であってる?」


 コクンとうなずき。「そー」と幼い声が聞こえてきた。

 この五日間で僕達の使う言語を理解したのだとこの時は思っていたのだが、師匠が帰ってきてからその理由が判明するのだった。


 ただ日常会話ができるわけでもない、簡単な単語、肯定と否定ぐらいなのだが大分コミニュケーションが取りやすくなった!! 一方的に僕が理解できるようになったんだ。


「いただきます。」や「ごちそうさま。」なんかも言えていた。


 訓練にも変化がいつもは椅子に座って待っていたのだが、ジョージから「いっしょに、やる」とランニングと素振りは一緒にやったのだ。もちろんジョージには鎧なんて着せてないし、鉄剣などは渡していない、以前使っていた軽い棒を持たせて遊ばせる感じだったけどね。猿の魔獣で人型ではあるが常に人のように二足歩行ではない、走るのだって手をついて走った方が早いくらいなのだから。


 魔法の練習は出来ないので、僕のはずした鎧をつけたり外したりして遊んでいた。


「ばんー、おなか、へった。」


 僕の呼び方はヴァンと呼べずにバンになってしまっているが些細なことだろう。


「ジョージ、さっき食べたばっかりじゃない? 」


「おなか、へったー!!」


 バシバシと地面を叩き抗議してくるので成長に必要なことと判断して、果物をあげると大人しく食べ出す。魔獣であろうと子供には癒されるなぁ~なんておもいながら、修行へ戻ってと過ごしたのだった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 時は遡り日蝕が起こったその日に俺はヴァンには留守を頼み、ルダボスカへと走っていた。


 占いのオババのところに行けばこの現象が何をもたらしたのかわかるだろうと、走ってる最中に太陽が完全に隠れる薄暗い闇が覆う状態へとなるが構わず走る。その闇の状態も一分も無かっただろう。そして辺りをさまざまな属性魔力が光を放ち辺りを虹に囲まれたような、そんな気分になる。次第に明るくなりいつもの日常の風景へと変わったのだが、1つ違いがあるとすれば魔力感知にはなにも反応がないと言うことだ。

 急いでいる今は大変助かることではある。


 最短で森を抜け、ルダボスカへとたどり着いたのは日蝕のあった日の三日目の夕方だった。そのときに土人形に乗ったまま入り口まで来てしまったので新人の門番を怯えさせてしまったのはご愛嬌ということで許してもらいたい。


 門番に冒険者プレートを見せ、町に入りすぐさまオババのいる館に向かったのだが、店は珍しくしまっており、灯りも着いていなかった。


 仕方なくギルドに立ち寄り受付にダグに取り次いでもらう。


「大変お待たせしました、ギルドマスター室へご案内いたします。」


 ダグの居る部屋まで案内され、室内に入るとダグとオババが居るではないか。


「おい、オババ何が起きてるか、知ってるなら教えてくれ!!」


「へっへっへ、遅いじゃないかいマーク。そう先走らなくても今から話すよ。」


「マークさん、まずは落ち着いてください。立ち話もなんですから、座ってくださいよ。」


 ダグに促され空いているソファーに座り話を聞く。


「へっへっへ、これを見てみなよ。」


「モルケル・ドロム・フォーフルートナ・サンミゲン」


 いつもの水晶が輝き映像を映し出す。

 そこに映る映像は日蝕の太陽、画面が切り替わると薄暗い森の中にぽっかりと開いた大きな穴、その穴を全体でとらえるように映像が離れていくとまるで龍の口が開いているようにも見える。また映像が切り替わると魔族らしい姿が一瞬映ったがすぐに消えてしまった。


「これはあの日起きた、闇の部分だね。大方新しいダンジョンでもできちまったんだろうさ。最後のは私にもわからんね。」


「ダグ、新たにダンジョンができたって報告は来てないのか?」


「来ていませんよ、来ていたダンジョン関連の報告としてはコルダダンジョンがようやく攻略されたと王都では祝賀ムードに包まれてるくらいですね。」


「あんたたちに見せたいのはまだあるんだから次にいくよ。」


 強引に話を持っていかれてしまうマークとダグ。


「ユース・リーサンデット・フラムティド・ホップティッタ」


 またしても水晶が輝き映像を映し出す。

 それはさまざまな魔獣だ、パッパッパと素早く切り替わるので、魔獣の種類まではその映像から読み取れなかったが、ボアやタイガー、ドラゴン、モンキー、ホースをかろうじて確認できた。

 最後に写ったのは男らしく成長したヴァンだった。


「へっへっへ、坊やは話題に事欠かないねぇ、この映像は未来、もしくは光になりうるものを映し出したんだよ。」


「魔獣とヴァンに関係があるのか? オババもっとわからないのか?」


「魔獣はどれも変異種さ、獣魔師なり、隷属させる魔法がこやつらに出来れば、力になるだろうね。そのまま成長してしまえば厄災に早変わりするだろうね。坊やは今じゃないね。成長した先になにかあるんだろうさ。」


「早く知れたことはよかったと思いましょう。冒険者には変異種がいた場合の報告をしてもらうように手配してみます。同時に獣魔師や隷属魔法の使い手を探します。」


 ダグはいうやいなやすぐに部屋から出ていってしまった。

 残された俺も立ち上がり出ていこうとすると。


「坊やには話したのかい? 日蝕がでたってことはこれから先弱っていくだろう?」


「……話してない……、……時期が来たら話すつもりだ。」


 吐き捨て、部屋を退室するのだった。


 そして三日後に自分の家に帰るとすぐさまルダボスカに戻ることになるのだがこのときはまだ知らない。

いつもお読みいただきありがとうございます。


ブックマークも着実に増えている今日この頃大変嬉しく思います。ありがとうございます(* ̄∇ ̄)ノ

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