危険察知と一人探索
我が家に帰ってきてからも修行の日々は続いている。
帰ってきた初日こそゆったりしたものだったが次の日からは内容にも変化が、まず全身鎧を着たランニングや素振りだが、全身鎧の変化だ!! この全身鎧なのだが今までと形はほぼ変わっていないのに重量が倍になっている。着るだけで一苦労なのだ。身体強化を常に使って対応している。
魔法の方もより実践的なものであったり、混合の魔法も使えるようにと魔力操作の訓練を中心に現在は行っている。
土人形による模擬戦闘での話を今回はしたいと思う。
こちらに帰ってきて二週間程だろうか、師匠の出す土人形は様々な魔獣の姿になるのだが、一対一だったり一対多もある、その乱戦の最中にそれは起こった。
すべての敵を眼前にとらえ戦っていたのだが、突然背中に岩弾が直撃したのだ!!
すぐに後ろを振り返ると師匠が立っていた。
「師匠!! いきなりなんですか。」
「ヴァン、戦闘の際に目に見えるだけの情報に頼りきりになってきている、お前の目は確かに他のやつらよりも情報が多いだろうだが、狡猾な魔獣は背後をとって攻撃してくるやつも出てくる。時折戦闘中に魔法攻撃を放つからそれも躱すなり弾くなりするんだ。」
「それは意味があるんでしょうか?怪我とかのおそれも……」
「危険察知の能力が習得できるぞ!いわば感覚を研ぎ澄ませろってことだ。ランクの高い者は基本的に習得してる、死と隣り合わせの冒険者には習得されやすいって特徴があるがな、まぁそれだけ修羅場を潜り抜けている証拠でもある。なに心配してんだ! 怪我しても治してやるから、死ぬことはないこの訓練で習得できるんだから恵まれてるぞ!!」
師匠の言うことだ、今後必要になるだろうし、覚えて損はないだろう。戦闘訓練に戻るのだった。
危険察知の能力を覚えたのはそれから二週間後のことだった。なんとなくだが不意な攻撃など来ることがわかるようになった。
それも師匠の攻撃のえげつなさだ最初の頃は初級の魔法だったが、あるときから中級魔法に分類されるランス系の魔法を使われたり、この辺りは魔力視によって対応できるようになるのが早かった、しかし魔力視で見ていることが分かると、ナイフを投擲してきたり、短槍を投擲してきた。魔力を帯びていないことで判断が遅れ何度も直撃した。
この訓練、戦闘をしながらなので当たるとその都度止めてくれたのだが……ある時を境に戦闘は継続することになった、不意打ちを食らっても立て直せるように、諦めずに戦うことも必要ということでそうなった。
そして単発の物に対応が出来るようになると、爆発を伴うような範囲系の魔法の不意打ちが始まったのだ、それで吹き飛ばされようと、体制が崩されようと土人形達の攻撃がやむことはなかった。
まだまだ練度は低いが習得したことで次の段階へと進むこととなった。
「ヴァン、危険察知もある程度使いこなせるようになった、今後は森の魔獣と戦闘することになる。土人形ではどうしても単調になったり、俺からの不意打ちではパターン化してやる前にばれるってこともあるだろうから、実践で学んでこい‼️」
それはこの森の魔獣との戦闘が解禁となったのだ。
「師匠は付いてきてくれるんですか?」
「何を甘えてるんだ、今それだけ戦えればこの近辺、この森の中層なら普通に戦えるはずさ! だが竜ヶ峰方面はまだダメだ!! 経験もそうだが、ヴァンよりも強い魔獣が突然現れる事もあるだろう、それと出くわして、死んでしまうよりも、暴走が起きたときに俺では対処できなくなってしまう方がよっぽど不味いそれも踏まえての一人で探索だ。」
こうして竜ヶ峰方面の探索は禁止されているがその他の方面を一人で探索することとなった。師匠もどうしようもなくなったら、上空に魔法を二発打てとのことだった。
探索が開始された、一日を通してではなく、午前中は素振りに魔法訓練お昼を食べたらいざ探索へという流れができた。
探索初日、今までも通ったことのあるルダボスカ方面へ行く北側を探索だ。
魔力感知にて反応があるか定期的に調べると反応があった。
一体のみ自分一人のみの探索の初戦にはうってつけではないだろうか?
さっそく近づいていくとダイアウルフだ!!以前に戦闘したときは影魔法を使ってだったので、今回は影を使わずに倒すとしよう。
細心の注意をはらって近づいていく、身体強化を発動し距離を詰める。向こうも気がついたようで威嚇してくる。
「グルルルル!!」
威嚇されようがすでに攻撃範囲に入っている、今回持ち出した剣を横凪ぎに一閃左の目を切り裂く。
「ギャン!」
痛みに怯むダイアウルフを通り越し、振り向き様に魔法を放つ。
「風よ、見えざる刃、敵を切れ、風刃」
見えざる刃がダイアウルフの首をはね飛ばし絶命する。
初戦にしてはよかったのではないだろうか?倒したダイアウルフから魔石を取り出し、血抜きをその場でしてしまう。
血を抜いている間に油断した……魔力感知もせずに待っていたのが悪かった、大分接近されたところから放たれたトゲがほほを掠める、危険察知がここで活躍だ! 放たれたトゲの方を見るとニードルラットが居た、血の臭いでやって来たのかもしれない。
ニードルラットはハリネズミのような姿をしているが、大きさが50センチとサイズが大きい。そして体毛として生えているトゲを飛ばし攻撃してくる。
「土よ、岩の槍にて、敵を穿て、ロックランス」
岩の槍がニードルラットをとらえ貫通、それで絶命。ニードルラットはそこまで強い魔獣ではないのだ。ダイアウルフと同じように魔石を取り出し、マジックバックへと入れる、ダイアウルフも血抜きが終わったのでマジックバックへと収納する。
この怪我から、学び撃ち取ったあとこそ気を抜かずに警戒することが必要だと。
その後も魔力感知で魔獣を見つけては戦闘した、あっという間に時間もたち、本日の探索を終了したのだった。
こうして僕の探索が開始されたのだった。
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