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ギルドでお騒がせしました。

 朝帰りのあと部屋でほんの少し仮眠をして起きると、いつものような目覚めで起きれた。夏になるとはいえ夜はそれなりに気温が下がるし、上半身裸で寝ていたら風邪を引いてもおかしくないのだが、そこは毎日の訓練、いや健康体の特殊(ユニーク)スキルが効果を発揮してくれたのだろう。

 師匠は未だに寝ているので、朝食を一人で食べに行く。


 下に降りていくとほとんどの人達は食事を終えていて、食堂にはまばらに人がいるだけ、ヴェルダさんに声をかける。


「ヴェルダさん、朝御飯ってまだもらえますか?」


「起きてこれたのかい? 簡単なのならすぐに出せるよ。」


「お恥ずかしいんですが、路上で寝てしまってまして……オールで騒いでいたわけではないんですよ……。遅くなっちゃいましたから、何でも大丈夫です。」


「アッハッハッハ、早速やらかしてるねぇ~まぁ若いうちに色々経験しなさいな。それも社会勉強だよアッハッハッハ」


 終始笑っていた。するとダンッ!!と飲み水が運ばれてきてテーブルにこぼれる……振り返ると無表情のエリーセだ。


「…………。」


 無言で調理場へと入っていった。なぜあんなにも怒っているのだろうか……


 すぐに簡単なものと言われて出てきたのは、パンに目玉焼き、肉団子それにスープをエリーセによって運ばれてきた……無言のなんとも言えない圧力を感じながら食事をすませる。


「あの…エリーセなんでそんなに怒ってるのかな?」


「怒ってなんかないわよ、それとエリーセさんでしょ?」


「えぇ…この前は堅苦しい話し方しなくていいって言ってたのに……」


「朝帰りする奴に馴れ馴れしくされる筋合いはありませーん。」


 そのあともどうして朝帰りだったのか説明すれば言い訳は聞かないわと、謝ればいいのかと謝れば違うと言われて、機嫌を直してもらうことは出来なかった……あぁじゃないこうじゃないと大分長い時間をかけたのに……。


 お昼前になり、別のお客さんも増えだしてきたので、エリーセも仕事に戻った。

 師匠はまだ寝てるようなので、ギルドに昨日の報酬などをもらいに行こうと思う。昨日やりたかったステータスのチェックもしたいからね。


 ギルドに到着する。

 昨日の報酬はどこでもらえばいいのか、入り口でキョロキョロ思案していると背中を押され危うく転ぶところだった…振り返ると前に僕に絡んできた……マル……マネ……誰だっけ?


「チッ入り口でぼさっとしてんじゃねーよ!! 銀頭!! 通行の妨げになってるのがわかんねーのかよ!! 」


 舌打ちで思い出した!!そうマリシャスだ……僕はこいつと因縁でもあるのだろうか?睨み付けると…


「なんだよその目!! 何も間違ったこといってねーだろうが、もう一度言ってやろうか? ああ? 入、り、口、の、前は邪魔なんだよ!!チッ」


 大声でわめき出す。回りも「またやってるよ。」「あの子は災難だなぁ~」「マリシャスも懲りない奴だな。」なんて声が聞こえる……三ヶ月前から何も変わってないようだ……そう思うとこの三ヶ月で大分成長したと自分では思っているので、余裕が出てきた。それが顔に出てしまったようで。


「なんだよその顔……俺の事馬鹿にしてんのか?」


 つかみかかられそうになるのをバックステップで躱すとドンっと壁はないはずなのに何かにぶつかった……するとひょいと目線が高くなるそしてこの安定感……三度目となるとさすがに気がつく。


「チッなんでグランデが出てくんだよ……しらけるわ。」


 とマリシャスは吐き出して、ギルドから出て行った……前回と今回あいつは何しにギルドに来たのだろうか?


 そんなことを考えている間も解体場へと担がれ移動中だ。「グランデ連チャンだぞ!!」「マリシャスから助けたわけじゃねーんだ。」「拉致解体パート2補習講義だ!!」と回りからちらほら聞こえる。最後の人昨日も見ていたよね?絶対!!



 そして担がれたまま解体場に入ると回りからは、「おう兄弟!!」「今日も手伝いか?」「あの歌よかったぞ!」「飲み過ぎ注意だぞ!」となんとも暖かい歓迎ムードで迎えてくれる。

 グランデさんは真ん中で下ろしてくれた。報酬かな?と思ったのだが……手渡されたのはエプロンと解体用のナイフだ。


「坊主、今日も頼んだぞ!!」


「えぇ~」


「文句言うな、助けてやっただろ。それに今日は大物が運ばれてきたから、坊主は頼りにしてるんだ! あの身体強化で頼むぞ。」


 すると7人で運んできたのは全長20メートルはあるのではないかと言う大蛇だ!!


「あれは毒大蛇(ヴェノムパイパー)って奴で牙に毒があるんだ、その毒が薬にも使われたり、皮の部分が革鎧の一部で使われたり用途は色々あるんだ。炎の翼のやつらが依頼で持ってきたんだが、これ以外にも魔獣が入ったマジックバックを置いていったんだよ。」


 屈強な男たち七人で運ぶほどの重量に防具に使われる皮となると相当な力が必要になるだろう。

 炎の翼の三人が持ってきたと、どうりで頭の一部に槍で突いたあとと焦げ目があるわけだ。バレットさんが止めを刺したのかな?


 ここで断っても仕方がないので昨日に引き続き解体の手伝いをするのだった。


 炎の翼のマジックバックからはも様々な魔獣が出てきたが、師匠のバックほどではなかったので二時間もしたらすべての解体を終えることかできた。


「坊主昼飯は食ったか?」


「いえ報酬をもらってステータスの確認をしたかったんですが、入ってすぐにグランデさんに拉致されここにいます……。」


「わかった。飯に行くぞ。プレートだけ渡せ受付で処理してもらうから。」


 プレートをグランデさんに渡し、解体場からグランデさんはギルドの表へと出て行って、数分で戻ってきた。その間にクリーンの魔法でキレイにして、エプロンや解体ナイフを別のスタッフに聞いて収納した。「もうそれヴァン君ので取っとくから、いつでも手伝い歓迎だよ!」なんて言われる始末だ。


「昼からは飲まないし、裏口から出てすぐのところにうまい店があるからそこに行くぞ!!」


 とグランデさんに連れられ、お昼ご飯を食べるのだった。驚いたことにここでは目玉焼きハンバーグが出てきたのだ。さらに王都で人気揚げ物コロッケ定食なんて書いてあるが、品薄のため売り切れごめんの看板が出ていた。


 グランデさんに聞くとここのお店は王都で修行した料理人が辺境のこの地へ来てお店を出したんだとか。ここの料理は昔の渡り人が作った料理で王都の方では限られたお店に残っているそうだ。作り方なんかは秘伝とされてるんだって。


この時もまたマリシャスはギルド入り口より少し離れたところで銀頭(ヴァン)を待っていたとか……それは誰も知らないはなし。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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