師匠の金言
どうも、§カプリコ§です。
今日の朝、気がついたのですが、昨日でこの作品を書き出して、ちょうど一ヶ月が経ちました。書きたいこと色々と書いていたらあっという間の一ヶ月でした。
日々アクセス数を見ると増えていることに嬉しく思います!!
稚拙な作品ではありますが今後もよろしくお願いします。
では37話目どうぞ( ゜∀゜)つ
平原での夜営をが終わり、朝となる朝食を素早くとり終える。ここから土人形を使って半日ほどで前回はたどり着いたので、今回もそれでいく予定だ。
「「土よ、仮初の命を宿す、獣の姿を望む、土人形」」
と師匠と同じように詠唱する。師匠は前回と同じようにライオンのような土の像が地面より形作られる。そして吠える……動作をした。毎回ゴーレムはこの動作をやるんだけど声がでないのになんでやるんだろうか?
僕も詠唱してゴーレムを呼び出す。師匠にならって大型の猫科をモチーフにチーターのようなゴーレムをイメージし作り出した。
「それはクァールにそっくりだな、巻き髭のような触覚が無いだけだな。そんなのと遭遇したら村人いや冒険者も絶望するだろうな、ハハッ」
なんでもクァールとは黒の破壊者と呼ばれ危険度で言えばドラゴンと同じかそれ以上の魔獣らしい。好奇心旺盛であるが時に残忍で狡猾でもある、人並みかそれ以上の知能を有しているらしい。師匠も昔遭遇し戦闘に発展したがなぜか見逃されたそうだ。あの時ほど死を覚悟したことはない!! と断言していた。
そんな話を聞きながら土人形達はそれぞれを乗せ草原を駆け抜けていく。
走り抜けるなか僕は師匠の熱い言葉を思い出していた。
それは遡ること二週間ほど前、炎の翼が師匠の所に来るようになって四度目の事だ。結構な頻度で修行をしに来るのだが本業は大丈夫なのかと心配したのだが、本業の冒険者の仕事も真面目に依頼をこなしていて、ギルドマスターから直接指名依頼がされることも最近はあるそうだ。
ポロっと師匠の話をしたらどんな修行をしているんだとか、もっと人をその修行場所に送り込めないかとダグギルドマスターは人が変わったように話し出したという。
修行内容は今回来たときに師匠に話してもいいか聞いていたし、この場所の事は広めないでほしいと言われているとギルドマスターに話すとものすごい落ち込みようで三人は慌ててしまったそうだ。
ダグさんってメガネして頭も七三だしエリートに見えるのに師匠の事になると抑えが度々効かなくなるよな……ダメ人間が顔を出すというか……
閑話休題
炎の翼は今回ここに来たのは前回のドラゴンともう一度戦えないかお願いしに来たとのことだった、さすがにあの規模の魔法は勘弁してほしいという事でダメだったが、その代わりにと仮想魔獣集団暴走でどうだろうかと話になり、炎の翼に僕が加わった四人対100匹で戦う事になったのだ。
「これから10分後に土人形達をこの広場に突撃させる各自準備して待っててくれ。」
師匠はいうや否や森の中へと消えていった。
「魔力感知は私がやるけど問題ないわね?」
「あぁこのメンバーだと一番範囲が広いのはデルフィーヌだから頼む。」
「スタンピードって事すから、初めに来るのは獣型が多くなるっすよね?デルフィーヌさんの感知のあと罠とか簡易のを作るっすか?」
「いや、今回罠は使わない。まず来る方向もわかっていない、街の防衛と言う目的のシチュエーションでもないからな、突発的なスタンピードという状況と考えたら、罠の準備なんかできないだろう。」
三人を中心に話し合いが行われ、僕は話を聞いて頷くばかりだった。その後も軽く打ち合わせをしていると約10分がたったところでデルフィーヌさんの魔力感知に反応があったようだ。僕も魔力感知を発動していたのですぐに気がつく。
「北より反応があった多数あるわ!!」
師匠が森へ消えた方向とは逆側から土人形達がここに向かっているようだ。
ドドッドドッっと地響きのような音が近づいてくる、戦闘の土人形が姿を表した。打ち合わせ通りに四人で詠唱する。
「「「「火よ、地表より噴き出す灼熱の壁、炎壁」」」」
土人形の前に巨大な炎の壁が出現する、かなりの速度でこちらに突っ込んできていた獣型の土人形は炎の壁へと止まれずにぶつかる。この四人でおこなえる最大火力の壁だ。炎の壁を突破できずに砂へと変わっていくものや、突破したがボロボロで戦闘不能なもの、突破してきたものもそれぞれの武器によって砂へと戻っていく。スピードの速い獣型の対処は終わった頃にやって来たのは人型の土人形だ!! これも予定通りなので各自一定の距離を保ちながら土人形に向けて駆けていく。
大小様々でゴブリンやオーク、単眼の巨人にオーガなどが現れる。
僕がまず相手するのはゴブリンだ、「風よ、見えざる刃、敵を刻め、風刃」 低空に広い範囲に向けて魔法を発動する、数匹まとめて行動不能にする。オーガなども出てきたので最近覚えた大技をお披露目だ。
「風火よ、熱せし渦巻く気流が襲う、炎竜巻!!」
僕が相手する範囲の敵が巻き込まれ、焼かれていく。砂へと戻る土人形もいれば、難を逃れこちらに向かってくるもの、単眼の巨人もそのうちの一匹だ。
残りを撃ち取るために身体強化の魔法を掛け走り出す。今回持っているのは戦斧走りながら、突き刺し、足元を引っ掻けて転ばし止めを指す。囲まれそうになれば切り伏せ、敵の数を減らしていく。サイクロプスには機動力をいかし、アキレス腱を切り体勢が崩れたところに炎弾や風弾を浴びせながら頭が下がったところで、上段からの唐竹割りで止め、砂へとサイクロプスは戻っていった。
他の炎の翼の面々もすでに戦闘を終え集まるところだった。
「だいぶ倒したけど、これで終わりかしら?」
「100体程とは言っていたが、スタンピードが起こった原因となる魔獣が居るってことであれば……Bランクぐらいのモンスターが出てきてもおかしくないだろうな。」
デルフィーヌさん、アンガスさんが話し合いをしている。終わったと判断はまだしていないようだ。すると魔力感知に一つの反応が。
全員が気がついたらしく一切に振り向くと土人形ではなく師匠の創造魔獣であろう魔獣が姿を表す。ライオンの頭とヤギの頭、蛇の尾、ヤギの胴をもち、口から火が漏れている……合成獣だろう。
「ヴァン君、デルフィーヌは水の魔法で俺とバレットの援護を!! バレットまず先に尻尾の蛇を切り落とす。手伝え!!」
「はい!!」「わかったわ。」「了解っす!!」
簡単なやり取りで役割分担し攻撃に転じる。
キマイラはライオンの顔より火球が吐き出される。そこへはデルフィーヌさんの水球がぶつかり相殺、横へ回り込むバレットさんはヤギの頭を相手に槍で応戦。アンガスさんは蛇の尻尾を切り落としていた。
僕もちゃんと仕事はしている! 水魔法の水檻という拘束魔法だまだまだ練習中で囲うような大きな檻は作れないが、前足の一点などに集中すれば行動を阻害することができる。この戦いはチーム戦、実力は僕よりも上の人が三人なら補助に徹するのがいいし、そういう指示だったからね!!
デルフィーヌさんや僕もウォーターアローなんかでチクチクと攻撃しつつ援護する。
ヤギ頭もバレットさんの槍に貫かれぐったりしている。体のあちこちは傷が焼き切られたような傷、これはアンガスさんの火装の剣技によるものだ!
数分もしないうちにキマイラは撃ち取られ、光へと変わっていった。
そこで師匠が姿を表す。
「ご苦労だった、今回はうまくいったようだな。」
「マークさんありがとうございました。」
炎の翼三人は揃って頭を下げる。
「俺からというよりはお前たち全員に冒険者の先輩からの言葉と思って聞いてほしい。」
全員の顔を見てから頷き話し出す。
「お前たちは、今後さまざまな状況を経験するだろう、出会いや別れ、戦闘においても、今回のように討伐することができたり、撤退しなければならない場合も必ずやって来る。
その正解は俺には教えることのできないだろう、それはお前たちそれぞれの選択によって変わるからだ、戦う技術心構えならなら教えてやれる。戦いのなかで熱くなるのはかまわない、心は常に冷静でいろ、でなければ選択を誤り、死に繋がる。俺はそんな冒険者を見てきた……。」
………
「敵は目の前だけでなく、自分の内にもいることを知ってほしい。今は、この訓練の時いくら失敗してもかまわない、自分の理想とする戦い方を模索し試せ。自分の体、心に刻み込め、そしてものにしろ!! これから訪れるさまざまな選択が今やっている事の答えが、いつかお前達自信の血肉となって、力をくれるはずだ、助けになってくれる。俺はそう信じてる。」
ふっと師匠は笑みをこぼし。
「説教くさくなっちまったけど、後悔するような生き方はするなよ! 話は以上だ。」
「「「「ありがとうございます。」」」」
このときばかりは全員が意志疎通できていたと思う。
こんな出来事があったのだ、回想をしているとルダボスカの防壁が見えてきた。
いつもお読みいただきありがとうございます。




