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ドラゴン戦・ヴァン

 いざ覚悟を決め、ドラゴンへと向き直るがその巨体に圧倒させられる、先程の炎の翼が戦っている姿を見ていたときとはドラゴンから感じる圧力が違う、さらに魔力視で見ている僕の目にはその魔力量……生命力に溢れたその姿が美しいとも感じた。


「始めるぞ~準備はいいか?」


「はい、お願いします。」


「グガァァァァァ!!」


 ドラゴンが吼える、戦闘開幕はやはり大きく息を吸い込むドラゴン、肺の辺りに真っ赤な魔力が溜まる。僕は身体強化を足に集中させ右側へと回り込むように走り出す。火には水と予想だて詠唱する。


「水よ、水流よ瀑布となりて壁を作る、水壁(アクアウォール)


 ドラゴンのブレスの魔力量には到底及ばないがブレスを直撃で受けるよりもいいだろう。

 ブレスが迫る僕を追いかけるようにドラゴンの顔が追従する。

 左手を突きだし水壁を出しながら走る。

 なんとか開幕ブレスをやり過ごすことが出来たが、ドラゴンはすでに次の炎弾の魔力を溜めているのが見えた。

 すぐに火球が発射される。三つの火球が迫る、1つはサイドステップでかわす、二つ目を火球の下をスライディングでかわすが、三つ目の対応が間に合わず、とっさに「アクアボール!!」と詠唱を無視し魔力量任せに水球をぶつける。

 ドンッ!! と真横に火球が地面へとぶつかり、余波で吹き飛ばされてしまう。背中から叩きつけられる。



  ……ドクン……ドクン…



(ナッテナイ……ナッテナイ…ナッテナイ…カワレ…ジャクシャニ……アイテハ……ムリ…カワレ……)


 声が聞こえる……この声解放の時と同じ感覚……ここで意識を手離してはいけない……


 奥歯を噛み締め立ち上がる。ドラゴンはその隙を見逃すわけもなく近づき尻尾による凪ぎ払いが迫る。


(トカゲ…ゴトキ……マ…ケ……アリエ…ン……チカラ……ツ……カ…ウ…トカゲ……コロス……)


 右半身に魔力が沸き上がる、すぐさま影が動きだし、無意識に詠唱をしだす。


影護(ようご)


 影が僕の形へと変形し、バレットさんを吹き飛ばした尻尾の凪ぎ払いを受け止めたのだ。そこで終らない。


影戲(えいぎ)・序・倒影(とうえい)


 尻尾を持った影がドラゴンの影へと侵食し、ドラゴンの影を背負い投げする。実態のドラゴンも同じように投げられたように地面へと叩きつける。


「ギャァァァ!!」


 絶叫が辺りに響き渡る僕の中の何かは止まらない……


(コ……ロス……トカゲ……コロス)


影牢(かげろう)


 ドラゴンの影がドラゴンを拘束する。それを阻止せんとドラゴンも暴れるが、拘束が強く動けば動くほどに体へ怪我をおっていく、ドラゴンを追い詰める。

 しかしここでドラゴンが薄くなり……茶と赤、白の光を散らしながら消えてしまう。


(フン……マダ…タリヌ……ウツワヨ……ジャクシャ……トウタ……マ…ダ……タリヌ……)


 そこで全身の魔力が抜けてしまい立っていられに前のめりに倒れこむ…


「おい!! ヴァン、大丈夫か!!」


 師匠が駆け寄り受け止めてくれる。


「はぁ…はぁ……大丈夫です…。意識をとられそうになって、はぁ……はぁ…でもなんとか耐えましたが、ドラゴンに負けるのが嫌だったように感じました……強くなれと僕の血に言われたように思います。」


「大丈夫ならいい、とりあえず魔力を回復するように安静にしていろ。」


 全身のけだるさ、魔力枯渇が影響だろう木の側まで運ばれ、木に背をかけ休ませてもらう。


 師匠は何やら考えているようだが、土属性魔法(アース・ムーヴ)でこの広場を整地していく、ドラゴンが暴れ、僕の影魔法によってドラゴンが叩きつけられた、場所が一番損壊がひどかった。




 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 それからしばらくの間休んでいると、炎の翼の三人が目を覚ました。起きてくるまでに時間があったので隠蔽の指輪はしっかりとはめている。ヘルムも外しているので初お披露目だ。


「やっと起きたみたいだな、体の調子はどうだ?」


 三人は立ち上がり体のあちこちを触ったり、体調を一通り調べたようで。


「すみません、体の異常は無いようです。やはりまだまだAランクには及びませんでした。」


「手も足もでなかったわ……。」


「ドラゴンまぢでパネェっすね!! でも悔しいっす!! 上には上があるっすねぇ~」


 三者ともに今の実力を理解し、先を見つめているんだと思った素敵な仲間でこれからも活躍していくんだろうなって僕の勘がうったえかけてる。リーダーさんがさらにこんな提案をしていた。


「マークケイン殿大変申し訳ないのだが、ここで我々にも指導をお願いできないだろうか?毎日とはいいません、定期的にここに来ますので、そのときに片手間でもいい、上を目指すために協力してほしいんです。お願いします。」


「「お願いします。」」


 三人は師匠に頭を下げてお願いしていた。


「頭をあげろ、たまになら見てやってもいい、たが条件がある。」


「言ってくれ、なんでも俺達にできることならやります。」


「遠慮なく頼むぞ、来たときにあいつの俺の弟子の対人相手になってくれ。あとは情報がほしい、こんな辺境の地だからな」


 はっはっはっと師匠は笑いながらそんなことを言っていた。


「わかりました。交渉は成立ですね。」


 と二人は固い握手をしていた。


「初めて顔見れたけど、可愛らしい顔してるのね♪」


 デルフィーヌさんのテンションが少し上がったような気がする。


「ヴァン・アルカードです、皆さんここに来たときはよろしくお願いします。」


 あらためて挨拶をしてその後は、炎の翼はここで夜営を夜が明けたらルダボスカに向かうそうだ。


 僕も師匠と家に戻り軽く食事を済ませ、ゆっくりと休むことになった。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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