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マークとヴァン

魔力感知になにかが引っ掛かった北の方角、占いの館から帰って、一週間がたっていた、約束を守るために俺は常に魔力感知の魔法を発動していた、占いのオババから渡り人がこちらの世界に来る際に空間魔法に似た魔力反応があると言われていたからだ。

なんせ人里離れた場所でひっそりと余生を暮らしたいと思っていたから、モンスターなんかも頻繁に出るような辺境の地に暮らしている。


渡り人の少年の保護を頼まれたのだ、それに俺が見せられた水晶の少年は傷だらけで倒れているものだった、あれはきっと世界を渡った直後にモンスターとの戦闘になって傷ついたと俺は仮定している。

傷つく前に助け出そうと俺はすぐさま北の方角へと走り出すのだった。



数分走り続けると魔力反応のあった地点へとたどり着く、来る途中も魔力関知をしていたがモンスターらしき反応は無かった、どんなに弱いモンスターでも、人であっても微弱の魔力があるのでそれで判断ができる。

しかし渡り人の少年は水晶に映っていた傷だらけの姿で倒れていたのだった。


「ハイ・ヒール」

対応は早かった即座に光属性の回復魔術を無詠唱にて発動する。


少年の体の傷はみるみる回復していくが、気を失っているようで目を覚まさない。

近づくと呼吸はしているようなので、生きていることの確認はできた、目覚めるまで待っていることもないと判断し、この少年を背負って、家へと帰るのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

外からカーン、カーンとなにか音がすることで目を覚ました僕は思った……

まさか僕がこの台詞を思いうかべることがあるとは…


(知らない天井だ…)


入院していた時に読んだ小説にも多く使われていたよな、実際に起こるとこの感想しか出てこなかった。

まずは状況確認から、ベットの上に寝ているようだ体を起こすと若干の痛みがあった…


(たしか神様と会って説明の途中で門に吸い込まれたんだった…あのときの痛みが残っているのかな?)


手を見る…大きくなってる?顔をさわるいまいちわからないが変化もしてるようだ。鏡なんかあれば確認もできるんだけど…

と確認しているとノックと共に部屋の扉が開いたようだ。

入ってきたのは茶色のローブを着た長身の男性だった。


「おっようやく起きたみたいだな。渡り人の少年!!っておい、まじか!その瞳の色魔族の血が入ってるのか?いやしかし半分ってことは…ちょっと待っててくれ、たしかあったはずだ」


と告げて男性は部屋から出ていってしまった。


(えっと…待ってほしい、いろいろと聞きなれない言葉だけど…渡り人?魔族?神様はたしかこっちの世界でサポートしてくれる人が居るって言ってたから、先程の男性がそうなんだろう…たぶん)


それから数分ガサゴソとなにかを探している音が聞こえるが戻ってくる気配がない…

確認の続きもしたいので、部屋をキョロキョロと見回すと手鏡のようなものが目につく、立ち上がりそれに手を伸ばそうとした時に以前よりも視線が高いことにも気がついた。そして手鏡で確認する…

(誰このイケメン…しかも左目が赤く、右目は茶色のオッドアイってやつだ…髪も銀に近い、あきらかに日本に居た頃の僕じゃなくなってるな、これが転移する直前に言ってた体の改変ってやつなのかな?)


「待たせたな、もう動いても大丈夫なのか?それよりもこのリングをどの指でもいいからはめてくれるか?」


と渡された大きめのリングを左の人差し指にはめると少しピリッと反応があると指のサイズに合わせるかのようにぴったり人差し指にはまるのだった。


「あぁ、やっぱり半魔だったか、その手に持ってる鏡で顔を見てみるといい。」


言われるがまま確認をすると先程まで赤かった左目が右目と同じ茶色になっていた。


「その指輪なんだが、魔族特有の魔力を隠蔽する効果のある。まぁ今は気にすることはない、それよりも挨拶が遅れてしまったな、俺はマークケイン元冒険者で今は隠居してるマークとでも呼んでくれ、そして少年はやはり渡り人であってるかな?」


「マークさんはじめまして、僕はヴァン・アルカードです。その渡り人というのは、別世界から来たことを言うのであればそうだと思います。」

「あの、もしよかったらでいいのですが、こちらの世界のことをいろいろと教えてもらうことは出来ますか?」


「そうだな、別の世界からやって来た()()を俺達は渡り人って呼んでる、こちらの世界とは違う知識や技術を持っているってのが特徴だ、そして何より闘う技術を持っていないことがほとんどだ。ヴァンもそうなんじゃないか?」


「…はい。今までのほとんどを病院で過ごしてきたので、あまり運動も得意ではないですし、喧嘩すらしたことないです。あと別の世界から来た人達ってことは他にも渡り人がいるんですか?」


「そうか、でも今のその体を見ると十分戦えそうだけどな。今後この事は安心するといい、俺もある人に頼まれてヴァンの保護とこの世界で生きていけるようにしてやってくれって言われてるからな。」


(体は引き締まってしっかりと筋肉がついてる、入院してた頃のひょろひょろのもやしじゃないんだよね。やっぱりこの人が神様の言っていた現地のサポートの人なのか)


「もうひとつの質問だが、正確に言うなら居ただな、最後に渡り人の記録が残ってるのが…たしか80年以上前だったかな、俺もそこまで詳しいわけではないんだ。だから今この世界には渡り人はヴァンの一人だけだな。」


そんなときだお腹がくぅーなんて音が…恥ずかしい…

マークさんは笑いながら


「腹が減るってことは、元気になってる証だ!話の続きなんかは飯を食いながらにするか!ついてこい」


と部屋の外にいくので追いかけるのであった。

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