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魔力視と魔力感知

 夜営はいつも通りテントを張り、師匠が魔獣避けの魔導具を辺りに設置している、料理は僕がやることになっているといっても、町で買っていた干し肉なんかを食べるだけなんだけどね。

 一応スープは作ったよ、買った野菜を入れた簡単スープだけど……


 夜寝る前に久々に体内で魔力を動かす訓練をして気がついたのだが、以前よりも明らかに動かせるスピードが上がったのと、二つ、三つに分けて動かすことも出来た。やはり魔力操作がFからCまで上がったことがかなり影響しているようだ。


 寝ている間に盗賊がとか魔獣がとかそんな状況があるわけでもなく、朝を迎える。残り物のスープとパンを浸しながら食べ、いざ森へ!!


「今日はヴァンを先頭に森を進もうと思う。これも訓練の一部だからな、気配を感じる訓練とでも言えばいい、隠蔽の指輪も外して構わん。自分の持てる力を使いこなせるようにしていこう。進路に関してはずれたり、違う場所に向かったときは俺が声をかけるから。」


「師匠、僕が先頭でも構わないのですが、魔獣の危険度は平気なんですか?もし他の冒険者とばったり会ってしまったら、半魔のことがばれてしまうリスクがありますが……」


「魔獣は森の中層まではEの魔獣がほとんどだたまに出てくるDランクにさえ気を付ければ大丈夫だろう。他の……冒険者はこの森には居ないだろう。……たぶん……」


 たぶんと不安な言葉が聞こえてきたが、隠蔽の指輪を外しながら森へと入る。持てる力を使ってといわれたので魔力視を意識する、その光景に立ち止まってしまう。


「どうしたヴァン?魔獣は近くにいないぞ。」


「すみません、木々にも魔力が宿っているんだなと魔力視で見える風景が、キラキラしていて、まるで世界が違うんです。あと師匠の黄色の魔力が波紋のように広がって行ったようにも見えました。」


 魔力適正の洞窟のような幻想的な光景とまではいかないが、今まで見ていた景色とは違ったのだ。


「魔力視を持つ人達しかわからないからなその感覚は、俺から広がる魔力は魔力感知の魔法を発動している時に現れる現象だな。」


 師匠は顎に手をあて考えている。


「先に魔力感知を覚えさせるか……ヴァン魔力が見えているからよりイメージしやすいだろう。本来は気配感知を覚えてから魔力感知に移行するんだが、まず生物であれば必ず魔力を保有している、力が強いものほど、魔力が強く感じられるんだ! その事は何となくわかるか?」


「わかります。今見えている光景がそれかと。草木よりも明らかに師匠から漏れている魔力の方が力強いですから。」


「それだけわかればあとはどうやるかだが、魔力操作はたしかCになってたよな?ということは以前出来なかった体内で二つの魔力を動かすことは出来そうか?」


「はい、昨日の夜に三つまでなら動かせるようになってました。」


「よしそれならいつも通り先にヴァンの体を使ってやるのが手っ取り早いな。」


 いつものように師匠は僕の背中に手を当て魔力を下腹部まで移動する。すぐさま二つに魔力を分ける、今回は大小の二つ、大きい魔力を下腹部にとどまらせ、小さい方の魔力を上へと移動し、大きい魔力へぶつける……。

 すると大きい魔力の塊が弾け全方向360度、体をすり抜け黄色の魔力(師匠の色)が波紋のように広がっていく、その魔力がどんどん広がりどれくらいの距離かはわからないが、別の魔力にぶつかった。


「今別の魔力にぶつかっただろう?それがなんなのかは訓練次第でわかるようになる。ちなみにさっきの別の魔力は獣系の魔獣だろうな。今の使い方を踏まえてやってみろ!ただし探す標的は俺。使いはじめはあんな広範囲に魔力感知を使うことはできない。せいぜい10メートルがいいところだからな。」


 師匠の手が離れたので、目をつぶり、魔力を下腹部で大小二つの魔力を練る、波紋のイメージは水道から垂れる水滴とその下に桶がおいてあるイメージでしてみるか……

 師匠の気配もいつの間にか無くなっている。見つけてみろってことだろう。


 大きな魔力()小さな魔力(水滴)を落とす。

 師匠とは違いゆっくりとじわじわ広がる感じだった……魔力感知の波紋が消えるかと言うときに別の魔力にぶつかった。

 左前方45度くらいに体内で感じたことのある、師匠の魔力だ。


 その方向に進んでみると8メートルくらいの木の裏に師匠が居た。魔力感知に成功した。


「ヴァンあの速度だと先に相手に気がつかれてしまうから、今後の課題として広がる速度をあげるのと、動きながらでもやれるようにすることだな。範囲に関しては慣れもあるから帰る間はひたすら練習だ。」


 それから進む度に魔力感知を発動し回りに魔獣が居ないのかをやりながら進んだ。その都度止まってやるものだからほとんど進んでいない……歩きながらやろうとして魔力をぶつけるのに失敗し、魔力に集中しすぎて根っこに足を引っ掻け転んだりとさんざんな状況だ……


 そんなこんなでお昼になってしまったので少し開けたスペースを見つけ、昼食にしている。動きながら別のことをするのはものすごく大変だ……例えるなら……屈伸しながら右手で三角、左手で四角を書くようなそんな感じだろうか……ものすごく疲れた……


「最初にしてはできてる方だ。初日で完璧に覚えられたら、この世界の魔法使い達の努力がって話だからな。ちなみになんだがヴァンの魔力の色は何色に見えるんだ?」


「えっと、僕のは薄い紫の波紋が広がる感じです。」


「やっぱりその色なのか、解放したときにヴァンから溢れ出た魔力の色が薄い紫だったんだ。それだと六属性に該当しないんだよな……影魔法の影響か、それとも魔族、ヴァンパイアの方の影響か?謎だらけだなヴァンの体は!!」


 ははっと笑っている師匠……魔力視を持っているのは稀って言うからここからばれることはないだろう。たぶん……



 昼を終えてからもひたすらに魔力感知をしながらゆっくりと進んだ、午前中よりも効果範囲が広がったと思うが、全然進むことができず、夜を迎えた。

 魔獣らしき反応が引っ掛かることがあるのだが、なぜか僕達から離れていってしまう。魔導具の効果でそうなのかと思っていたのだが、違ったらしい師匠いわく。


「ヴァンの魔力感知の魔法は濃いんだ、FやEランクの魔獣は臆病なものが居る、ヴァンの魔力感知を敏感に察知して逃げてるんだろうな。なにせこの森の奥には相当強力な魔獣が出てくる、そういった魔獣と勘違いしてるのかもな。」


 こんなことを言われたのだ何かしらの助言なんだろう。薄く伸ばす明日はそれを意識してみよう。


 そこから二日間僕が先頭で中層までたどり着いた。魔力視で見える景色も木々の魔力の色が少し濃くなったように感じた。


 そこからは師匠を先頭に森をダッシュだった、行きと同じようにくねくねと道なき道をひたすらに走った、師匠に放されないように、その後ろ姿を見ていて魔力が全身を包み込んだ状態だったり、足元にだけ集まることがあることに気がついた。

 これも聞いたら、身体強化の魔法になるらしい。家に帰ったら教えて修行するといわれたのでその場では教えてもらえなかった。


 一日と半日ようやく我が家(師匠の家)に到着するのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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