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あいさつと森へ向かう

 宿に戻り夕飯を食べ終え、食後にエリーセから倒れるまでの修行って何やったの?と聞かれ返答に困っている。

 師匠に助けを求める視線を送る…視線があったのにも関わらずエールを煽る……ここは助けてくれないらしい……どうしたものか……いつもやってる走り込みやらの話をしてみるか。


「倒れた時の話じゃないんだけど、師匠の家でやってることでもいいかな?普段は走り込みからの素振りなんだけど、この宿から冒険者ギルドまでたぶん3キロくらいだと思うんだけど、それを往復三回走った後に、さまざまな型でいろいろな切り方を確認しながら振ってるんだ。」


「普通の冒険者の人たちもヴァンみたいにやってるのかしら?」


「僕には他の冒険者事情はわからないけど、この特訓に倒れた日に属性判断をしたから、その魔法を使った魔力操作の練習も取り入れることになったんだよね!」


「ふぅーん、そういうものなのかな?でその魔法の練習ってどうやるの? ヴァン教えてよ!! 私一応火と風の魔法に適正があるみたいなのよね。小さい頃にやったときに赤と緑の蝋燭に火が残ったからさ。」


 そこで教えていいのか師匠を見ると。


「教えてあげてかまわないが、エリーセちゃん魔法に興味があったのか?」


「せっかく使えるんですから、なにかうちの宿屋で使えないかなって思ってたんですよ。」


「洗濯なんかを早く乾かせるように火と風の混合魔法の熱風(ヒートブロウ)ならできるか? でも魔力操作の熟練度も必要になるから、今すぐは難しいな。って事でヴァン風吹(ブロウ)を教えてやれ。」


「はい、エリーセ見ててね、」


 魔力を練り緑の風の魔力を生み出し、右手をつきだし、手のひらを上に向ける。


「風よ、清新な気流を生む、風吹(ブロウ)


 お店の中に一瞬風が強く吹くが、直ぐに出力を弱め、生活魔法より弱めて維持する。


「ヴァン、それは風の魔法なの? 生活魔法(微風)と何が違うの?」


「この風吹って実は師匠が考えた魔法なんだよね。」


 エリーセの目が見開き、師匠を見るが肩をすくめるだけだった、あとで聞いた話なんだけどオリジナルの魔法は門外不出として魔法使い達は表に出したがらないらしい。攻撃魔法なんかは魔獣が居る世界だから研究開発、新しい攻撃魔法は開示される機会が多いんだって。世界情勢が影響しているのだろう。


「これによって属性魔法の鍛練と魔力操作も鍛えることができるから、普通にやるよりも効率よく成長できるんだよ!」


「難しくない?大丈夫かしら?」


「攻撃魔法じゃないから大丈夫だよ! 一緒に詠唱してみる?」


「「風よ、清新な気流を生む、風吹(ブロウ)」」


 二人の手から風が吹く、僕の方は早く小さくできたけど、エリーセの方は安定せず、強くなったり、最終的には消えてしまったのだ。すると師匠が


「エリーセちゃんはもしかして、魔力操作のスキルは習得してないんじゃないかな? 魔法って独自で習得する者も居るんだけど、まず最初の壁が、魔力操作を覚えられるかで挫折してしまったりするんだよな。ちゃんとした師匠が居る方が珍しいからな。冒険者だと先輩冒険者と同じクエストをこなす中で教えてもらったりするんだ。」


「そのスキルは無いと思います。でも生活魔法はちゃんと使えますよ! 宿屋の娘ですからね!」


「エリーセそれだったら、生活魔法の魔力変換を体内で続けたら、魔力操作ができるようになるよ!」


「ヴァンみたいに倒れないようにエリーセちゃんは気を付けるんだぞ。」


 師匠はエールを呑み終えて、部屋へと戻っていった。

 エリーセは倒れたことを聞いてニヤニヤしているし……師匠も言わなくていいのに。


「ヴァンはしょっちゅう倒れてるんだね。あんまり無理はしないようにね。」


「エリーセ!! そろそろ片付けの手伝いやってちょうだい!!」


 ヴェルダさんに呼ばれたエリーセは回りのテーブルに残っていた食器などかかえて戻っていったので、僕も宛がわれた部屋に戻った。




 次の日の朝荷物をまとめ、朝ごはんを食べた。お世話になったヴェルダさんエリーセにお礼を言って宿をあとにする。

 師匠は次に3ヶ月くらい先にまた来ることを伝えていた。


 家に帰るために門へと向かうと最初に師匠と話していたガストンさんが警備していた。


「マーク殿、今回の滞在は比較的長かったんじゃないですか?」


「ギルドでアリゼアと旧交を温めたんだ。必要な買い出しも時間が掛かってしまってな。」


「そうでしたか、次はいつ頃こちらにお戻りですか?」


「3ヶ月ほど先だな! またそのときはよろしく頼む。」


「お弟子さんも身分証の作成はできましたかな?」


 首からぶら下げていた冒険者プレートを出してガストンさんに笑顔と共に見せつける。


「問題ないようだね。ではお気を付けてよき旅を。」


 街道をしばらく歩き、町から離れた所で来たときと同じように師匠が土属性の魔法を使う。


「土よ、仮初の命を宿す、獣の姿を望む、土人形(アースゴーレム)


 前回と同じようにライオン型の獣の像が現れた、そして前回と同じように吠える。声は出ていないけど……。


 乗り込み森へ向かう、街道より外れ速度が上がる。景色が流れていく。


 森に入る前、夕方まで二時間ぐらいだろうか?この時間から入ってもたいして進めないということで森の前で夜営することになったのだった。



いつもお読みいただきありがとうございます。

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