ステータスとひと悶着
僕のステータス確認をするためにオババさんの館からギルドに師匠とアリゼアさんも一緒にいくことになった。
大工仕事の方は良いのかと確認したら、「わしの仕事じゃないけぇ。」と本当に暇潰しをしていただけみたいだ。師匠いわく事務仕事など細かいことが嫌いなだけだと言っていた……本部ギルドはそれで回っているのだろうか……僕が心配することではないけれど、きっと優秀な秘書もしくは副ギルドマスターがいるパターンだなこれは。
ギルドに到着する前に師匠とアリゼアさんは騒ぎになるからと裏口から入っていった。
少し時間をずらして正面入り口から入る。ギルド内はやはり喧騒に包まれている。それでも僕が入ると幾人かの視線を感じるが、同じ冒険者すぐにその視線は無くなっていた。
受付の列に並び順番を待っている、待っていると言ってもそんなに人数が並んでいるわけではない、それはこの世界のギルドは受付がそれなりに分かれているからだ、僕の並んだ場所は総合受付、他にクエスト受注所、クエスト報告所、買取所などに分かれているからだ。
こうしてあらためてギルド内を観察していると髪の毛の色なども様々だし、男性が多いが女性の数もそれなりに居るんだなと考えているとあっという間に列が消化され僕の番になった。後ろの人の貧乏ゆすりがとても気になった。
「お次の方、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「アリゼアギルドマスターに来るようにと言われたのですけれど……。」
ここに来る前にアリゼアさんが「わしに呼び出されたと、言えばええ。」ということでそのまま伝えたのだか、受付嬢の眉間にシワが寄る……ものすごく怪しまれているようだ。
「お名前とギルドプレートの提出をお願いします。」
言われた通りに首からぶら下げているプレートを外し、受付嬢に渡す。
「ヴァン・アルカードです。」
「かけ出し冒険者ですか……ただいま確認を取って参りますので少々お待ちくださいませ。」
受付嬢は立ち上がり奥の扉へと消えていった。後ろから
「チッ」
短い舌打ちが聞こえてきた、振り返ってもろくなことがないと判断し、気がつかないふりをすることに決めた。聞こえるか聞こえないかと音量で。
「Fなんかの用事なんてたいしたことねーだろ、早く終わらせろよ…。」
完全に僕のことだね……受付をせずにいきなりギルドマスター室に行くのも問題だし、これが正規の手段だし無視しよう。そこで受付嬢が奥の扉より戻ってきた、
「本日、アリゼア王都ギルドマスターの面会の予定はございませんでしたが…本当にお…」
受付嬢がしゃべってる途中で肩を捕まれ引っ張られ、バランスを崩してしまう。
「Fが、いつまでも時間使ってんじゃねーよ、さっさとどけ。」
「まだ用件が終わっていません。僕も順番を待って並んで受付に来たのですから、ランクは関係ないと思うのですが?」
「チッ、ごちゃごちゃうるせぇよ!!」
胸ぐらを捕まれる。
「ギルド内での武力行使は禁止されているはずです。マリシャスさんあなたはこれで何度目ですか?」
「チッ」っと舌打ちをして突き飛ばすように押され尻餅をついてしまう。そして睨まれ……マリシャスと呼ばれた男は「めんどくせぇな。」とギルドを出ていってしまった。……何で並んでたんだろうか?
何度目のトラブルってこのギルドの要注意人物のようだ。
気を取り直して立ち上がり、受付に戻るときに別の職員が来て受付嬢に耳打ちをしてこちらを見る。
「お怪我はありませんか? 大変申し訳ないのですが、こちらの確認ミスがあったようです。上でアリゼア王都ギルドマスターがお待ちなのようなので、ご案内いたします。」
頭を下げられ、マスター室へと案内してくれるようだ。受付嬢の後ろに付いていく……そこで気がつく、ものすごく回りから見られていることを……あんまり目立ちたくなかったのに結局目立ってしまったようだ……その視線から逃れるように上の階にあるギルドマスター室へそそくさと向かうのだった。
「Fランクが呼び出しって何があったんだ?」「マリシャスのやつに目をつけられたみたいだな。」「あいつの装備だいぶよかねーか?金持ちの息子か?」「そーいえばあいつ雷騰がギルドに来たとき後ろを歩いてなかったか?」「珍しい頭の色をしてるな」など口々に僕の事を話していた、ギルドにとってはいい話のネタになるんだろうね……ハァ
ギルド室前で受付嬢がノックをする。
「Fランク、ヴァン・アルカードをお連れしました。」
中からダグさんの声で「入っていいよ。」と返事があり、受付嬢は扉を開けてくれたので中へと入る、「失礼しました。」と受付嬢は扉を閉めた。
室内にはすでに待機している師匠とアリゼアさんがすでにソファーに座っていた。ダグさんも執務机からソファーに移動するところだった。
「坊主、ずいぶん遅かったのぉ?はよ座れ。」
「別の冒険者に絡まれまして……ハァ……」
と溜め息が出てしまった、座るよう言われたので前回と同じ師匠の隣に座る。
「それは災難でしたね。ちなみに名前などわかりますか?」
「確か受付の人はマリシャスって言ってたと思います。」
「彼ですか……最近伸び悩んでいるようで、新人や駆け出しの冒険者に絡むことが増えているんですよね。何もないとは思いますが気を付けてください。」
ダグさんそれって……フラグがたったのではないだろうか……まぁこの町では師匠と一緒にいるし問題ないだろう。
「ありがとうございます。気を付けます。」
「ヴァンとりあえずそいつは放っておいて、ステータスの確認をしてくれ。暑苦しいのが後ろに来るから、空中投影で可視化してもらってもいいか?」
?そんな機能があったのか?これを作った初代ギルドの渡り人はなんでもありだな。
「師匠どうすれば投影できるんですか?」
「いつも通り血液で鑑定板に映し出されたら、一番下だったと思うんだが、そこに項目があるから押せば空中投影できるはずだ。」
以前と同じようにチクッと指先に針で傷をつけ、鑑定板へ指先を付けると、ピカッと光りステータスが写し出されるが、とりあえず一番したの投影とある項目を触ると、ブンっと音がなった後空中に映し出された。僕のステータスは――
ヴァン・アルカード(15)
種族 ダンピール(人×ヴァンパイア)希少
LV21
スキル 言語理解 生活魔法 解体 斧術 E 剣術 E 魔力操作 C 火魔法 F 水魔法 F 風魔法 E 土魔法 F 闇魔法 D 体術 D
特殊スキル 健康体 種族特性(第一段階)
体力 C
魔力 B
筋力 C
耐久 D
器用 D
俊敏 D
知力 C
精神力 C
運 B
装備 隠蔽の指輪
制限の指輪×2
ホルスター型マジックバック
飛竜セット
鉄の剣
称号 渡り人 雷騰の弟子
お読みいただきありがとうございます。




