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マークケインとアリゼアタッグチーム

本日2話目になります。

視点は主人公ではなくマーク視点となります。

 ※マーク視点※

 オババが呪文を唱える。


「メンミホウ、ジューソロイ、オーシャン、ヴィンゲ、アンルース」


 ヴァンの回りに魔方陣が現れ、その魔方陣から鎖が飛びだし、ヴァンの手足に巻き付く。


 静寂が訪れる……聞こえるのは心臓の音か…!?





 ……ドクン……ドクン…ドクン……ドクドクドク……



 ヴァンの体に変化が訪れる……魔力視というスキルを持っていない俺でも視えるのだ……ヴァンより溢れる薄紫色の魔力の塊が背中に冷たい汗が流れるのを感じる…


「マークよ、わしには純竜種(ドラゴン)と同じ圧を感じるんじゃが、本気で相手せにゃならんかのぉ。」


 アリゼアの言うように純竜種(Aランク相当)の魔獣と対峙しているようだ…

 さらにヴァンに変化が訪れる、顔の下から左側の目に向かって黒い紋様のような物が現れると右側の目と同じように、左目側の目も赤く染まる…


「グッ!?グギャャャャャャャャャャャャ」


 普段おとなしいヴァンからは想像もできない、獣のような叫び声があがる。


「ガァァァァァ!! ギャャャャャ!!」


 ヴァンからさらに聞くに堪えない叫び……すると影が動きだす………影がヴァンを覆った…(まゆ)のように…


 視界の端で影が動いたのを見てとっさに後ろに飛び退く、俺はかわせたが、アリゼアは腕をクロスにして影の拳をガードするがかなりの力が加わっていたのだろうアリゼアの巨体が吹き飛ばされる、館の壁をぶち抜き大穴が開いた。アリゼアをみていたのは一瞬、すぐに視線をヴァンへと戻す影の繭にヒビが入り、鎖がちぎれる…パキンッとそしてヴァンが姿を表す。



 絶句する、魔獣のような赤い瞳、肌の色が薄い紫と変化していた。


「雷纏」


 変化したヴァンを見た瞬間に特殊(ユニーク)スキルである雷魔法を使っていた。とにかく一対一の状態は不利だと判断し、アリゼアが吹き飛ばされた大穴へ高速で移動し、外へ出る。


「がぁ、わしにこんな傷を付けるとは、久々に腕がなるわい。」


 額に血が垂れているアリゼアが瓦礫の下より現れる。


「ヒール」


 これでアリゼアの出血は止まっただろう、大穴よりヴァンが姿を表す。

 なんという緊張感だろうか…ゴクリと息を呑む、俺なのかアリゼアなのかそれとも二人なのか…時が止まったのではないかと錯覚する…


 始めに動いたのはヴァンの影だ。


「アリゼア、影に気を付けろ、何かのスキルだ。」


 ヴァンより伸びた影が勢いよく槍状に突き出す。


 キンと剣でそらせる、剣に伝わる感触は鉄のように堅い。

 アリゼアも影槍を交わしながら、ヴァンへと接近していくが、体に少しずつ傷が出来ていく、しかしアリゼアは止まらない、兇獣と呼ばれたアリゼアの異名の通りに傷つくことなどお構いなしに接近し横殴りの拳がヴァンを吹き飛ばす。


 伸びていた影がなくなり攻撃が止む、バキバキとヴァンの体は木々をなぎ倒し、止まるがムクリと立ち上がり叫ぶ。


「ギャャャャャ!!」


 先ほどの一撃で止まってくれればよかったのだが…


「マークよ、わしの身体強化込みの一撃を耐えよった。お前も魔法解禁せんと、わしらがお陀仏じゃけん。」


「わかってる、俺の弟子をこのままにしておくわけにはいかないからな!「雷波動(ショックウェーブ)」 」


 雷波動の魔法はマヒ効果のある衝撃波だ、一瞬でも動きを止められれば戦況を優位に進められる。


 雷波動を放つと高速でヴァンの()()まで移動し、剣を振りかぶる。アリゼアも同じタイミングで左側のに移動して左フックの体制だ。

 示し合わせたように、数々の修羅場を共に潜り抜けた信頼があるからなせるコンビネーションであったが、ヴァンはアリゼアの左フックを受け止め、俺の振りかぶった剣の側面を叩きへし折ったのだ。

 マヒ効果のある雷波動であるが、ここでヴァンの特殊スキル健康体の状態異常無効が適応されたのである。


 目の前に闇の玉(ダークボール)が生成され至近距離で放たれる、とっさに魔力障壁を張り自分から後ろへと飛ぶ、その直後爆発が起きたかのような衝撃で後方に吹き飛ばされる、俺の後を追うようにアリゼアが投げ飛ばされてきた。

 二人で重なるように壁にぶつかりようやく止まる、服は焦げ、あちこちと傷をおっている。


 フラフラと立ち上がる俺とアリゼア、「ヒール」をかけ、傷を癒す。


 完全に回復するまで待ってくれるわけではない、ヴァンが地を蹴りこちらに走り跳躍して右こぶしを後ろに引き殴りかかってくるがそれを受けるほど俺達も戦闘が下手ではない、ヴァンの拳が空を切り、地面に当たる……ゴゥと音と共に土煙が舞う、土煙が消えるとクモの巣状にヒビが入り地面が陥没している。


「なんちゅう、パワーをしとるんじゃ、わしを投げ飛ばすからそこそことは思おとったが、奥の手使うしかないかのぅ。」


「アリゼア待て、ヴァンの腕を見てみろ。」


 ヴァンの腕から出血があるのだ、力がありすぎて体という器が未成熟(低レベル)なため、出血という形で表れたのだろう……


「あんまり長いこと戦闘していると…ヴァンの体が持たない…アリゼア、やりたくないが電霆(でんてい)を使う。」


「わしが時間を稼ぎをしとる、じゃが奥の手を使わずにそう長くは作れんぞ。」


「わかってる、お前の奥の手を使われてもあとが困る。急ぐから頼むぞ。」


 注意深く見るとヴァンの瞳から涙が流れているのだ、ヴァンも戦っているんだ。

 アリゼアが駆けヴァンも駆ける、互いの拳がぶつかり合う、ドン、ドンと拳同士がぶつかる音ではない。


(いかづち)よ、我が望は、雷の神にして、戦神(いくさがみ)の怒り、鳴る神轟く者なり、」


 アリゼアが吹き飛ばされた、ヴァンの標的が俺になったようだ。


「ヴァン!! 俺の弟子なんだ、これくらっても、死ぬんじゃねーぞ、お前に継承させる最高の技がこれだ!!」


「電霆ッ!!」


 環境をも変化させ、空を暗く塗りつぶす、空より一筋の紫電がヴァンめがけて走る。避けること叶わず、ヴァンが地に膝をつき体からは、煙が立ちのぼる、黒焦げのヴァンは前のめりに倒れる。


 急ぎ駆けより、仰向けにして、心臓に耳を当てるとトクントクンと一定のリズムで動いているのを確認できた。


「光よ、ハイ・ヒール」


 ヴァンを光が包み込む、雷による火傷などすべて癒され肌の色ももとに戻っていた。ガシッと肩を捕まれ。


「わしにも、ハイヒールしんさい。」


「光よ、ハイ・ヒール」


 アリゼアもハイヒールで傷を癒す。どかっとその場にあぐらをかいて座った。


「しかし疲れた、割に合わない仕事じゃ、せめて不撓が居たら、わしももう少し楽ができたかもしれん。」


 と俺をにらむ。俺だって疲れたさ、こうなると分かっていればもっと仲間を頼ったさ。


「へッへッへ、坊やも大概だがあんたたちはほんとに化け物だねぇ。マーク一人じゃ厳しかったかもしれないけど、この子は強くなりそうだよ。」


「戦うた、わし達が一番わかっとる!!」


 そう戦闘センスが抜群なのだ、電霆を使った時ですらヴァンはとっさに魔力障壁を張っていた……俺の家にいた頃に一度も教えていない。唯一魔力障壁を使ったのはヴァンにダーグボールを使われたあの一度だけだ、兇獣と言われたアリゼアと肉弾戦をやってのけたのだ、さらに謎の影を操ったあのスキル……すべてを乗り越えたとき、Sランク冒険者となるんじゃないだろうか。


「マークよ、坊やのそばに居てやるんだよ、寄り添ってやれるのはあんたしかいないんだからね。」


 きびすを返し館へと歩を進めるオババ、振り返り。


「アリゼア、あんたが壊した壁の修理代、ギルドに請求しとくからね。ヒッヒッヒ。」


 なんとも抜け目ないオババだ。


 俺もアリゼアも動けるようになったのでヴァンを背負い宿へと帰るのだった。


 俺の背中で寝息をたてている我が弟子、心身ともに強くなってもらわなくてはいけないと、特に心……精神だ。今回はあの暴走状態でもなんとかなった。それはヴァンが戦闘技術を習得していないことによる結果だ、体が育ち技術を身に付け、暴走してしまったらと考えると、街や国の軍隊レベルでの対応、危険指定魔獣とし討伐をされてしまう可能性があるのだ……その責任は俺にあるだろう。しっかりと弟子を育てるということを心に決める出来事となったのだった。




お読みいただきありがとうございます。


この物語ではじめての戦闘描写になるかと思われます。どのような状態か伝わればいいなと書きましたが難しいですね。


本日PVこの作品のアクセス数がなんと、1000を越えました。皆様この作品を読んでいただきありがとうございます。稚拙な作品ではありますがこれからも半間の渡り人をよろしくお願い致します。

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