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土の魔法と五行の構え

 戻ってきたマークさんと一緒にお昼を食べている時に何をしていたのか聞いてみた。


「とりあえず、走れる広さの場所の確保と、魔獣避けの魔導具の設置だな。LVアップして最低限の下地ができただけだから、その強度をあげていく、武器の扱いもこれからは学んでもらうからな。」


 これから戦うための訓練も始まるし、以前気になっていたことも聞いてみることにした。


「やはりこな家の周辺は魔獣が多いんですか? 地理的には危険な方はあるんでしょうか?」


「ここの周辺は見ての通りほぼ森が広がっていて、北に2日ほど行くと町がある、南は森が切れると崖になっててその先は海になってる、西の方面は北と同じで森が広がってる西の森を抜けようとすると、4日~5日歩くと町が見えて来るんだ、最後に東だが、前にも話したと思うが森の先に竜ヶ峰って山がある。北西方面は基本的に危険度は低い、南東方面は危険な魔獣が多いから気を付けた方がいいな。特に東の竜ヶ峰は名前にあるように(ドラゴン)が山頂付近に棲息してるんだ。」


 この周辺のある程度の地理をここで知ることができた。やはり魔獣と闘えるようにならなければ不安にもなるな……


「魔獣のような危険がある森でその……魔獣避けの魔導具は効果を発揮するんでしょうか?ここ一週間ほど生活して、僕は家の周辺しか移動してないですし、敷地にダイヤウルフしか侵入してきてないので効果はあると思うんですが……」


「安心しろって、しっかりと機能してるから二日目の朝以降魔獣が入ってきていないだろ! それにあの日にちゃんと点検したし魔石の補充もしたからもう大丈夫だ。言い訳になるんだが俺しか居ないこの場所で魔物が来ても対処できるからな…魔獣避けが必要なかったんだよ。」


 ものぐさな人だとは思っていたけど…よくこんなところで一人で 生活できるよな…


「とりあえず午後の訓練しにいくぞ! ついてこい。」


 ずんずんと先に森へと入っていってしまうのであわてて追いかけるのだった。


 太陽の位置からたぶん北に進んでると思うんだけど、あまり確証はない…今歩いてる道はかなり踏み固められているように思う。すると先には学校の校庭ほどの広さがある開けた場所にたどり着いた。


「ここで訓練するぞ!」


「なぜ森の中にこんなに開けたスペースがあるんですか?」


「ヴァンが薪割りや掃除洗濯をしていたときにここに来て、魔法でこのスペースを作ったんだよ。」


 しゃがみこみ、地面をさわって確認するが、木の根が残ってる様子もなく、平な土の空き地が出来ているのだ。


「あっちの方をみてもらうとわかるが、木がものすごく密集してる場所があるだろ?」


 右の方を指差していたのでそちらを確認すると、普通の木ならあそこまで木と木の間が狭い状態で育つはずかない、更に規則正しく並んでいるのにも違和感を覚える。


土の属性魔法(アース・ムーヴ)で地面の移動をさせたんだ。もともとここに生えてた木々を押し退けて、寄せたのがあの密集した木々だな。」


 魔法とはなんとも便利なものだと思った、いつか自分も出来るのかとても興味がある。


「マークさんそのアース・ムーヴの魔法を見せてもらえませんか?」


「かまわないが、生活魔法のようにヴァンの体を使ってはできないからな?それでもいいならやるが……」


 眉間にシワを寄せているが見てみたい。


「お願いします。」


 マークさんは木の近くへと向かい両手を地面に付け、詠唱する。


「土よ、この地は変容を遂げ、望む形へ具象させよ、アース・ムーヴ」


 すると触れている地面が波打つように変化する、地面が液体に変わってしまったようなそんな印象だ。

 そして木々を押し退けて地面が広がっている、マークさんが手を離すと波が引いて、地面は平らに戻る。

 ふーっと息を吐いてこちらを見たマークさん。


「これで満足か?俺も得意な魔法ではないからしんどい、そしてヴァンやるなよ、魔力量も属性判断もしていない者がやれば、クリーンの比ではない魔力障害を起こすことがあるからだ。」


「わかりました。無理を言ってしまってごめんなさい…。」


「わかってくれればいいさ、順に俺の教えられることをヴァンにすべて託すから、まずはこの広場のランニングからだな。とりあえずこの広場の端をぐるりと10周!! 行ってこい。」


 強くなるためこの世界で旅するために必要なことと思い全力で駆け出すもすぐに息が上がる、元病人でLVも上がってはいるが持久力は成長していないようだ……なんとかノルマの10周を終わらせるがヘトヘトだ……座りこんでしまう。


「ヴァン……思ったよりも体力がないな……すこし休憩してから次の事をやるぞ。」


 体力の回復を息を整えながら瞑想する、ある程度動けるようになったので次をお願いする。


「マークさん、次は何をしますか?」


 マークさんに軽い木の棒を渡されたので受け取る。


「その木を使って剣術の構えと素振りをしてもらう五つの構えと九つの振り方を俺の動きをみて、真似してほしい。いくぞ!」


 最初の構えは中段(正眼)の構えと言われるもの、ここから唐竹割、袈裟斬り、逆袈裟斬り、右薙ぎ、左薙ぎ、右切上げ、左切上げ、逆風、刺突と九つの振り方をおこなう、軽い木の棒であるにも関わらず終わる頃には汗だくだ、マークさんは涼しい顔で同じ動きを終わらせていた。


 少々の休憩を挟み上段(火の構え)で同じ九つの動き、休憩を挟み、下段(地の構え)八相(木の構え)脇構え(金の構え)と順にやり終える頃には日が沈もうとしていた。


「よくやった今日はこれで終わりにして帰るぞ。今回で基本の型は教えた。これを毎日3セットやるんだ! 丁寧に動きの確認をしながら、体に覚えさせるんだ、3セットとは言ったが最初は無理しなくてもいい。ただ回数をこなすなら一回の丁寧の方が自分のものになるからな。それで基本の動きを元にさまざまな武器に応用ができる。」


「頑張ります!!」


「今は軽い木の棒だが、徐々に武器の重さを増して、同じ動きをしていく、軸がぶれたりしなければ、筋力もついて技にキレが出てくるはずだ。俺の弟子になったんだ、他のやつよりも強くしてやるからな!!」


 やる段階が上がれば、より強くなると言うことだ。体を動かすこともままならなかった僕にとって少しずつうまくなったり、強くなることは大変嬉しい限りだ。魔法、闘う技術に関してマークさんは真摯に向き合ってくれる、普段はものぐさだが、師匠って呼んでもいいかもね。


「頼みますよ師匠!!」


 驚いた顔をしたマークさん更に要求される。


「ヴァンもう一回言ってくれ!」


「もうお腹ペコペコなので早く帰りましょうよ。」


 すでに家のある方に歩きだす僕。後ろからは叫ぶマークさん、なにかいってるけど、僕の耳にはもう聞こえない。


 そして修行の日々が始まった。

お読みいただきありがとうございます。



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