ギルドの対応
受付嬢の案内でギルドマスター室へと向かう。
コンコン
「ギルドマスター、ヴァン様をお連れしました。」
「ありがとう、入ってもらって。」
室内からダグさんの返事を確認し、扉を開けてくれた受付嬢の人に会釈しギルドマスター室へと入ると、いつものソファーにダグさんと向かい合いって座っている師匠の姿がそこにはあった。
「ヴァン君、呼び出ししてしまってすまないね、座ってくれるかな。」
言われるがまま師匠の隣へと座る。僕とジョージが座るのを確認したタイミングで師匠が話し始めた。
「昨日ヴァンが言っていた魔獣の暴走と町を囲う影についてなんだが、オババの所に確認に行った、ヴァンが見たであろう映像が水晶に映っていたから、将来的にこの町が襲われる可能性が高い。」
師匠も同じ映像を見たようだ。
影だけだが、ルダボスカの町を囲んでいた魔獣は一万を越えているのではないだろうか……
「オババ様の占う未来、お二人が見た映像がほぼ起こってしまうでしょう、しかしいつそれが起こるのかわからないのが現状です。町を囲うほどの規模になれば何かしらの前兆があると思いますから、今日明日起こるとは思いません。ギルドの方でも信頼のおける冒険者に調査とまではいきませんが、依頼のついでに異変があれば報告してもらうように手配する予定です。」
ダグさんもギルドで出来る形で警戒をするようだ。
今のギルドの現状もダグさんは教えてくれた。
「しかし今ギルドでは高ランクの冒険者や炎の翼を含めたパーティーが出払ってしまっています……、流れの冒険者をいつ起こるかわからない、スタンピードのためにこの町にとどめておくことも難しいのが現状です。」
「それなら多少の役に立てるだろう、俺とヴァンにジョージの三人はこの町にしばらく滞在しようと思う。」
「マークさん!! それは本当ですか。」
「あぁこの町にもだいぶ世話になってるしな、危機が迫ってるなら力になるのが冒険者だろ? ただ一度俺の家に帰らせてもらう。」
「それは構いません、助かります。正直お三方が今ルダボスカの最高戦力になると思いますし。」
今後の予定が決まったようだ、ルダボスカ防衛のためにこの町で待機するようだ。
ダグさんに言われた最高戦力とはなんと甘美な響きだろうか。
ジョージも見ればほほが緩んでいた。
「師匠一度家に戻るのはどうしてでしょうか?」
「それはお前達の修行のためだな、ルダボスカに居るのならダンジョンの歩き方を教えようと思ってな。俺の全部を受け継いでもらう予定のうちの1つさ。その道具類が家に置いてあるから取りに帰る。」
今度の修行は今までの戦闘方法とは違い、ダンジョンの攻略らしい。まだまだ知らないことが多いこの世界でまた新たな挑戦が出来ること日本にいたら絶対に体験できないことに少し浮かれるのであった。
師匠が戻ってくるまでルダボスカで僕達は待っていようと最初は思っていたのだが、一緒に着いていくことにした。
以前神様と女神様に会ったときに、池へ行って魔石に魔力を込めてあげるのじゃって確か言われたと思う、これにも意味があるのだと思ったからだ。
地球の神様も女神様もなんだかんだで見守っていてくれるし助言も言ってくれる。師匠にはお願いして少し時間をもらおうと思っているのだ。
もし万が一僕らが森へと帰っているときに魔獣の大群が押し寄せてきた場合には土人形の鳥を飛ばしてもらうこととなった。ダグさんに土魔法は使えないらしく、師匠が土魔法で鳥かごから作って渡して用件は終わった。
ギルドを出て僕はリカール商会へと荷物の受け取りに、三ヶ月分を頼んでしまったのをキャンセルするかと師匠に確認すれば、ダンジョン内で泊まることもあるし、食材がダメになることはないだろうと最悪ヴェルダさんに譲って調理してもらえばいいからと言うことで、そのまま受け取りに行った。
リカール商会に到着するといつもの恰幅のいいリカールさんが待っていた。
受け取りだけなのだが、店長さんに対応してもらうのはなんだが気が引けるなと思う、受け取った際にご入り用な物はございませんか?と確認されたが思い付かなかった。
リカールさんはこちらでなにか面白いものがあればご紹介します。と謎の熱を感じたのだった。
待ち合わせの門へと向かうとすでに師匠は待っていた。
ちなみに小鹿亭へは師匠が連絡に向かっている、またすぐにこの町へと戻ってくるので部屋の確保と、長期滞在のお願いをしたようだ。
「ようやくきたか、ホントに一緒に戻るのか?」
「はい、一度池へと僕も行きたいので着いていきます。」
「まぁいいか、町の方もダグがなんとかするだろう、じゃあ一時帰宅するぞ。」
門を抜け、街道を走り、いつものように土人形で草原を駆け抜け、森へと入りジョージの特殊な感知能力を駆使して森での戦闘をさけ最短で師匠の家へと到着したのだった。
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