占いの館
リカール商会てで守護のペンダントに魔法を込め、本日最後になるだろう占い師のオババ様の所に向かった。
町の外れ物静かな場所にポツンとある占いの館。
「おじゃましまーす。」
扉を開け店内に入ると前回と同じように高齢のおばあちゃんが水晶に手をあて座っていた。
「へっへっへ、いらっしゃい来る頃だと思ったよ。坊やにおちびちゃん。その姿を見るに御告げ通りうまく言ったみたいだね。」
「はい、その件で本日お礼に来ました。ジョージを助けていただきありがとうございました。アリアンフロド様にもお伝えしてもらえると助かります。」
「なにも問題ないよ、アリアンフロド様はこの世界であれば見ておられる、感謝も伝わるからね。どうしてもと言うことであれば聖王国の大神殿がある、そこでアリアンフロド様に直接言いな。」
聖王国かいつか旅に出たときにでも行けたらいいな。
オババ様なら師匠のこと何かわかるかな……
「オババ様、一つお聞きしたいのですが、師匠の呪いを解く方法を知りませんか? 何でもいいんです。」
すると首を横に振る仕草をしたあと
「すまないね、坊や、雷騰マークの呪いに関して私にも分からないんだよ、アリアンフロド様であれば治すことも出来るかもしれないが、アリアンフロド様はこの世界に生きる者に直接施しをすることが出来ないんだよ。」
「オババ様のその水晶で師匠の未来を見ることも出来ないんですか?」
「そうだよ、あやつの未来を見ても無事に生きていた未来が見えないんだよ。様々な要因で未来が刻々と変わってるんだけどね。力になれなくてごめんよ。」
そういってオババ様は目をつむってしまった。
師匠の呪いの件で僕の知り合いで一番可能性があったのがオババ様だったからこれ以上の有力な情報は手に入らないだろう。
「でもね、あやつの今は充実してるみたいだよ、坊や達がやつの生きる活力になってるみたいだねぇ。昔見えた未来ではひっそりとあの森で一人寂しく最後を迎える未来も見たことがあったからね。」
思わず目を見開いてしまった。様々な未来があるのだと……
「どんな未来になるか、それは私達人間にはわからない、すべての人をいい未来に導いてあげたいものだけどね。」
「そうですね、僕はオババ様にも感謝します。師匠に僕のことを保護するように言ってもらったからこそ今があると思います。それに師匠の呪いを解く方法を諦めずに探してくれている心強い味方が居ますから。」
「そうさね、諦めないこともまた一つの道だからね。坊や達の関わる未来も見ておこうじゃないか。」
そういうと置いていた水晶に両手をかざしながら詠唱を開始するオババ様。
「ユース・リーサンデット・フラムティド・ホップティッタ」
するとオババ様の手元の水晶が輝きだし、水晶に映像が映像が流れ出す。
流れた映像は五人の影と闘う魔獣の姿、その映像がぶれると映像が変化する写し出されたのは柩だ、その側で跪いて祈っている角の映えた男性? ほの暗い部屋のような一室であることがこの映像からわかるがそれ以上の情報は読み取れなかった。
この二つの映像で終わりかと思ったのだが、そこで終わらなかった。パッパと次々に映像が切り替わる。
それはルダボスカの防壁、それを囲うように押し寄せる魔獣の影、街中の地面から出てくるゾンビ達、必死に闘う冒険者達。
切り替わった映像はルダボスカの危機を表す物だった……
「オババ様最後の映像はここルダボスカですよね?これが起こる未来なんですか?」
「そうだね、あれらの映像は坊や達に関わる未来だよ、先の未来だけどねいつ起こるかまではわからないよ、今日かもしれないしずっと先かもしれない。先の二つの映像と次々と変わった町の映像は別々の物だろうね。それに映像のまますべてが起こる訳じゃないよ、未来は変化していくんだ。今からでも出来ることをするんだね。」
「今出来ることですか……。」
まずやるべきことはタグさんに伝えることだよな、僕のランクではすぐに対応してもらえないかもしれないから、師匠を通して伝えるとしよう。
「毎回のことだけどね、今持つ力を使いこなせるようにすることだよ、まだまだ力をつけることが坊やもおちびちゃんも出来るからね。修行に励むんだね。」
「わかりました、ありがとうございます。また何かあったら来てもいいですか?」
「いつでもおいで、オババはいつでも歓迎してるよ。」
占いの館を出てるとすでに外は茜色になっていた。ギルドはこの時間依頼を終えた冒険者で溢れているだろう、受け付けに並んでもギルドマスターのダグさんに面会は無理だろうな。
小鹿亭に帰って師匠に相談しよう。
ヴァンはジョージを背に町の中を走るのだった。二日連続でご飯に間に合わなかったらエリーセが口も聞いてくれなくなりそうだからね。
いつもお読みいただきありがとうございます。
なかなか更新できずすみません、これからも更新は続けていきますのでよろしくお願いします。




