昇格はおまけです。
ジョージが腕輪に魔力を通すとピカッと光、筋骨隆々な戦闘猿のような姿へと変わったのだった。
その姿を見たダグさんは目を見開き固まった。
ジョージも気分をよくしたのか、両手で胸を叩くドラミングまでしていた。
魔力感知に数人がこの部屋に寄ってくるのを感じた。それと同じくしてジョージはすぐに元のサイズに戻り、僕と師匠の間に着席した。
ドンドンッ!!
「キルドマスター!!かなりの音が響きましたがなにか問題がありましたでしょうか?」
「あっ……問題ないよ、頼みたいことがあるから入ってくれ。」
ギルドマスター室で音がすれば待機していたギルド職員が来るのは必然だろう。
ダグさんの返事でドアが開き外には数名の職員が待機していた。
一人が代表して入室して来る。僕を見て、ジョージを見て、師匠を見てと警戒しながらダグさんのもとへ。
「このギルド証、Eランクのヴァン君のなんだけど、依頼報告の確認と納品物のチェックをお願い、あと鑑定板のレプリカこの部屋に持ってきてくれるかな?」
「かしこまりました。(誰か別のものを部屋に待機させますか?)」
「問題ないよ、彼はAランクのマークケインだ、先程のを頼むよ。」
最後の耳打ちして確認していたのも聞き取れてしまっていた……かなり警戒されてしまったようだ。
ギルド職員さん達はダグさんの指示で部屋を出ていく。
「突然の事で驚きましたけど、ジョージ君は戦闘猿でしたよね? 進化したと言う先程の姿を見てどうも私には戦闘猿には見えなかったのだけど……もちろん鑑定結果を見せてくれますよね?」
「それに関しても俺達も確認したかったんだ。実は家にある鑑定紙で試してみたんだが、鑑定紙に写し出された文字が解読できなかったんだ。」
そうなのだ進化したジョージのステータスを確認したかったのだけど、魔力欠乏症が落ち着いた次の日にその場にいた全員で確認する流れになったのだが、鑑定紙に写し出された文字は解読ができない物だったのだ。
「鑑定の結果次第ですが、町の中では今の小猿の姿で居てもらえると住民や他の冒険者とのトラブルも避けれるでしょう。どうしても必要であれば進化した姿でもかまいませんが……。」
「無用なトラブルは避けたいので、ジョージにはこの姿で過ごしてもらうようにします。」
「……助かります、ギルドでの獣魔の告知に領主への報告とさらに仕事が増えるところでした。」
その他細かい決まり事を決めているとコンコンと先程よりも優しいノックの音が聞こえる。
ダグさんが入室の許可を出すと僕のギルド証と鑑定板を持ってきてくれた。
「まずはギルド証のお返しです。今回の依頼でヴァン君はかなり例外にはなると思いますがDランクへと昇格です。おめでとうございます。それと指名依頼も入っていますのでこの話し合いが終わりましたら、解体場へと向かってください。」
昇格は喜べばいいはずなのだけど……ダグさんの圧が……もっと依頼をこなせと言う視線がぁ……、そして町に来たから指名依頼が来た、グランデさんを筆頭にいい人たちばかりだし持ち込む魔獣の量も多いので受けるとしよう。断れば担がれるだけだからね。
「ありがとうございます? 解体依頼は了解です。」
「先に済ませる話も終わりましたので本題です。ジョージ君のステータスを確認いたしましょう。」
「(チクッてやつ? おおきく、なる?)」
「ダグさんジョージの確認は進化した姿の方がいいですか?」
「いえ、今の姿でも問題ないはずです。 血液に含まれる個人の魔力から能力値を鑑定しているはずですから。」
ダグさんの話を聞いてソファーから降りてジョージは鑑定板に針で指した指を触れるとピカッと光りジョージのステータスが写し出される。
その瞬間に僕、師匠、ダグさんが鑑定板に同じタイミングで集まるものだから、ぶつかり合い僕とダグさんは吹き飛ばされた。師匠を見れば身体強化を使っていた。ズルい!!
「ほぉ~、これまた尖った成長をしたもだな、それにダグこんな種族俺は知らんぞ。」
気になるワードが出た!どんな種族だろう?
「マークさん投影してください!私たちにも確認できるように。」
ナイスですダグさん!!
ダグさんに言われ師匠は操作して空中に投影した。
ジョージ(0)
種族 魔獣 皇帝猿 王種
LV35
スキル 言語理解 魔力操作B 属性外魔法B 剛体術C
魔獣スキル 咆哮 頑強 超回復 統率
特殊ユニークスキル 帝王の体 銀の獣
体力 S
魔力 D
筋力 S
耐久 A
器用 C
俊敏 B
知力 B
精神力 C
運 B
装備 ヴァンの獣魔証(腕輪)
変化の腕輪
称号 生残者 人と心通わせる者 雷騰の弟子 熊の弟子 竜討伐者
とジョージのステータスが投影されているのだった。
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