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ジョージ無双と別れ

 竜血樹跡地が近くなってきたところで異臭が漂い始めていた。

 前回来たときはこのような腐ったような異臭はしていなかったので十中八九討伐したことリザードマン達がゾンビ化してしまったのだと思われる。


 跡地に近づけば近づくほどに臭いはきつくなっていく、跡地が確認できるところにはリザードマンゾンビが徘徊していた……体のあちこちが腐っているのだが、その足取りなどはしっかりとしていた。


 このゾンビたちこの跡地の中心に集まっている、これは跡地を囲うように設置していた魔獣避けの魔導具が効果を発揮しているようで跡地から出ることができなくなっていたようだ……


 結果として腐った体からの瘴気を回りに撒き散らさなくてよかったと思うことにした。


「(バン、こいつらジョージが倒してもいい?)」


 そこで考える、ゾンビ化してしまった魔獣は元のランクから1段階落ちる、ゾンビになる前のリザードマンの討伐ランクはBランク、今跡地にいるリザードマンゾンビ達はCランクと道中遭遇した魔獣と比べても同等だ。

 これもゾンビ化することによって知能が低下し、ただ襲ってくる魔獣となる、痛みなどには鈍感になるようで欠損しようが何があっても襲ってくるという厄介さは出てくるそうだ。


「ゾンビ化してしまった魔獣と戦うのは初めてだから、危険と思ったらすぐに加勢するって条件でなら僕はいいよ、レイもそれでいいかな?」


「……汚いから、私ははじめから遠距離からの援護希望。」


 レイも問題ないがはっきりというので苦笑いしてしまった。


「ということだから、ジョージに任せるよ。」


 敬礼し、そのまま突っ込むのかと思われたら手招きして跡地から離れていくジョージ、あとを追うと近くにあった木を根元から抱きつくと一瞬赤いオーラが出るとバキバキとへし折ってしまった……どれだけの力がついたのだろうか……

 この音でリザードマンゾンビ達がこちらに来る気配はない。



 そのへし折った木を担いで跡地へと進みジョージが吠える。

 中央部で徘徊していたリザードマンゾンビ達がジョージめがけて走り出した。ゾンビ化しても走れるようだ。


 ジョージは手に持つへし折った木をリザードマンゾンビに向けて投擲。ブンっとものすごい音で飛んでいく木にリザードマンゾンビ達が吹き飛ばされる。


 当たる際にビチャっと水分が多い部分に当たったのだろうあまり聞きたくない音が聞こえる……木の投擲だけで半数以上のリザードマンゾンビが体をバラバラにし動かなくなった。


 ゾンビ化した魔獣だが欠損しても襲ってくると言ったが、体の大部分がバラバラになったり、無くなると動かなくなる、頭部への攻撃もまた有効だ、心臓部の魔石を抜き取ることでも動かなくなるので、討伐方法は火力でごり押しこれが手っ取り早いのだ。


 投擲後すぐさまジョージはリザードマンゾンビの方へと駆け寄る、両手で別々の個体の頭部を鷲づかみにし握力だけで破壊するジョージ、グシャと飛び散る液体を気にすることなく両手のゾンビを近くの敵に投擲し、吹き飛ばす。


 そこからのジョージは止まらなかった、殴り、蹴り、投げ飛ばし、まったくリザードマンゾンビを寄せ付けずに蹂躙していく、小柄だった頃とは違いたくましい体を十分に使い戦闘していく。


 ゾンビでなければジョージに恐怖し魔獣であっても逃げ出すであろうこの状況に僕もレイも戦闘には参加せず傍観していた。


 今後はこの身体能力のジョージとの組手も行うだろう、どのように対処し、戦うか想像し脳内で組み立てる、僕も体術の訓練はしていたがより高みを目指さなければ、ジョージの訓練にならないかもしれない。

 そんなことを思って見ていたらまだまだ強くならないとという気持ちが高まってきた、このジョージの戦闘を見て刺激を受け気持ちが高揚しているのだろう、そして僕の相棒がこれほどまでの成長を遂げたことに僕も自然と嬉しさが沸き上がってくるのだった。


 すべてのリザードマンゾンビが動かなくなった、ジョージはこちらへと戻ってくる……銀の毛が美しいジョージも今は……汚れきっているそして何より臭いがきつい……


生活魔法(クリーン)生活魔法(クリーン)


 ジョージにクリーンの生活魔法を重ね掛けし、綺麗にする。


「(バン、レイ、終わった!余裕だね。ウキッキッキ)」


 あれだけ暴れまわったのに息ひとつ乱れることなく笑っているジョージ。


「ご苦労様、あとはゾンビたちの後始末だけだね。」

「……おつかれ。後始末はヴァンに任せる。私はテント、魔導具の回収する。」


 あっレイのやつそそくさとやりたくないから逃げたな仕方ないが一ヶ所に集めるか……


 ジョージはリザードマンゾンビと思われる残骸をポイポイ投げて中央に集めていく……そのたびに液体が体に付くのでジョージは集めたらもう一度クリーンで綺麗にしないとな……


 どうにかしてさわらずに集められないかと……そして土魔法のアースムーヴで広場の中心に集めることにした。


「土よ、この地は変容を遂げ、望む形へと具象させよ、アースムーヴ」


 地面が波打つように変化し中央に向かって傾斜をつけ、蟻地獄のようにリザードマンゾンビ達を地面にのせ中央に移動する。


 集まったのを確認し平らに戻すとジョージが投擲した木を持ってきてもらい水魔法で水分を抜き取り、乾燥させ燃料とする。

 斧を取り出し適当な大きさに処理し、薪へと変えていく。


 ゾンビ達を囲うように薪を組み合わせ、火魔法で燃やす。


 ゾンビ化した魔獣の魔石は魔力がほぼ残っておらず、補充することも魔法を込めることもできないので使い道がなくなるそうだ。なので一緒に焼き払ってしまう。


 処理を終え。これで竜血樹の女神様からの試練は終了することが出来た。試練だったかどうかはなんとも言えないがジョージの進化というイベントが終了した。


 そこから二日間で師匠の家へと戻った。

 師匠へゾンビ化していたことを報告し、五人で過ごす最後の夜を迎えた。


 次の日ミラーナさんとレイは先に出発したアリゼアさんとゲニアさんと同じく師匠の呪いを解くためにまた世界中を旅して探すそうだ。


 ミラーナさんはここから離れるようなことはするなと師匠に何度も言っていた。

 呪いの解呪の方法が見つかっても見つからなくてもここに殲滅の獣のメンバーが二年後に戻ってくるということになっているそうだ。

 僕たち三人が竜血樹の採取に行っている間に、決まったことだという。


「レイ、ありがとう色々と助かった。」


 そういって手を差し出すとレイも握り返して。


「……ヴァンは少し抜けてるところがあるから心配。また戻ってくる。……つよくなって……」


 最後の方は聞こえなかったけどレイには取り乱した時に助けられた。本当に感謝だ。

 ジョージも僕と同じようにレイとミラーナさんと握手して別れとなった。


 また師匠の元で修行の日々か始まった。

いつもお読みいただきありがとうございます。


次は今まで出てきた登場人物達の事を簡単にですが、掲載しようかと思っています。

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