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寝坊と魔力操作

 翌朝


 コンコンとノックの音で目が覚めた。寝ぼけまなこで扉の方を確認するとマークさんが扉より顔を出してこちらを見ていた。


「昨日の夜は派手に魔法を発動したみたいだな、とりあえず昼飯出来たから、起きれるなら下に降りてこいよ!」


(……お昼ができた?)


 窓の外を見ると太陽はすでに頂天を通過したあとだった…

 寝過ごしてしまったらしい…朝の日課である洗濯やれなかったな…下に降りたら謝ろう。


 ベットより起き上がり、下のリビングへと向かう。マークさんがすでにテーブルでパンにかじりついていた。


「マークさんすいませんでした。」


 バッと頭を下げる僕、しかしマークさんは気にした様子もなく話しかけてきた。


「とりあえず座って食べろよ、スープ冷めたら美味しくないだろ?」


 いつもと変わらないマークさん、僕も席について「いただきます。」してお昼を食べ出す。


「謝る必要はないさ。昨夜のあの魔力放出を感知したときに、きっとヴァンは起きてこれないだろうなと予想していたんだ。予想では夕方までと思っていたんだがな。」


「昨日の夜はクリーンの魔法をやったんですが、マークさんのようなようなクリーンではなかったんですよね。そのあとものすごくだるくなってしまって……」


「昨日も言ったように、初心者にありがちな魔力の使いすぎだな、でもあれだけの魔力を使って昼には起きれたってことは、体質か相当魔力量がヴァンはあるんだろうな。魔力は安静にしてることで回復する、特に睡眠が一番回復効率がいいって言われてるんだ。午後からは魔力操作の練習にする。」


 魔力回復についての解説をしてくれた。魔力操作と大変気になるワードもでたのだが、いつもの日課はいいのだろうか?


「でもマークさん、今日の薪割りはいいんですか?」


「この一週間しっかりやってもらったから当分は問題ない、昨日の結果で次の段階に進む予定だったからな!」



 食事を終え、魔力操作の練習をすることになった。

 僕の部屋に移動してから、椅子に座った状態で待機させられる。昨日と同じようにマークさんが背中に手を当てる格好だ。


「昨日と同じように俺の魔力を使って、ヴァンの体内で魔力を動かす。ある程度動かすことができれば、魔力操作のスキルが習得されるはずだ。」


「はい、よろしくお願いします。」


「いくぞ。」


 と声をかけられ、昨日と同じように背中に(魔力)を感じる、その熱が体内へと染み込むように入ってきた。

 染み込んだ熱が下腹部へと集まりそこでぐるぐると回る。昨日との違いはやはりその熱の動きの早さだと感じる。


「今、魔力のある部分が基本の位置だ。これからこの魔力を動かしていくらその動きもまねできるようになることが目標だな。」


 すると下腹部から右手に移動して下腹部へ戻る。この動きと同じように左手、右足、左足、頭と移動。


「次が応用だ。」


 すると下腹部にあった熱が二つに分かれ右手左手に移動し戻る。さらに両足に移動する、その後三つ、四つと分かれ各部位へと移動する。

 最後には5つに分かれると頭、両手両足の部分でとどまり回転し始める、薄く広がるように全身を熱が纏う。そして空気にとけるように熱が引いていった。


「ここまで来るのに俺は28年かかったけどな。とりあえず今日は体内で動かすことを集中して練習してみるんだ、体外に出すのは禁止な。」


 と笑っていた。

 疑問をそのままぶつけてみる。


「マークさんっていくつなんですか?」


「俺は今年43になったな。んじゃ俺は作業があるから行くが、無理はするなよ。」


 43歳…28年間で何があって、この辺境の地で暮らすようになったんだろうか……?今度時間のあるときに聞いてみよう。マークさんはすでに手を振りながら部屋を出ていった。


 マークさんが出ていったあと、魔力操作の訓練を始める。

 昨夜やったように、目をつむり自分の(魔力)感じる……一度認識しているからか昨夜よりも早い段階で下腹部に感知することができた。

 そこからはひたすら熱を動かすことを意識していく、やはりマークさんと同じように動かすことはできない、28年のベテランと初心者の僕では大きく違うのだろう。


 どれくらいの時間がたっただろうか……そこにコンコンというノックの音が聞こえてきた……目を開くと窓から見えた空は茜色に変わっていた。


「だいぶ集中していたみたいだな、どうだ?ある程度は動かせるようになったか?」


「はい、下腹部から頭、両手両足にゆっくりですが昨日よりもだいぶ早く移動することができるようになりました。けど二つに分けたりはできませんでした。」


「ヴァンそれはさすがに初日でできたら大魔法使いの俺を超える天才ってことだ。」


 ジト目でマークさん見る。


「悪かった、真面目に話すからその目をやめろ、まず二つに分けることだが、別々の魔法を使うときに必要になる技術だ。この技術は属性魔法を使うようになってから必要になるし、大抵の魔法使いがここで躓くからな。それにヴァンはまだ属性判断もしてないからわからなかったかもな。」


「その属性判断はすぐできるんですか?」


 だいぶ前のめりになりながら聞いてしまった。


「すまんが今すぐは出来んな、道具が足りない、次に街に行ったときにその道具を買ってくるからそれまで待ってくれ。」


「わかりました。」


「今後も魔力操作の訓練はしてもらうからそこまで落ち込むことはないだろう。今日の訓練の成果を見ようじゃないか。」


 マークさんは昼間と同じように背に手を当てる。


「ヴァン自分の魔力を動かして見てくれ。」


 僕は頷き、目を閉じ集中し魔力を動かす。下腹部から右手にそして下腹部を経由して左手、同じ要領で右足左足、頭と動かす。


「訓練初日でここまで動かせるようになったことに驚きだ、だがまだまだ制御が荒い印象だな。体内にある魔力をただ動かすだけでなく、物でもなんでもいい、しっかりとイメージして操作するんだ。これだけ動かせるなら生活魔法(クリーン)なら昨日のようにならずに済みそうだ。やってみるか?」


 あのだるさと倦怠感は絶対に避けたい、でもマークさんがやれるといっている、必ず成功させるんだ。


「はい、やってみます! 見ててください。」


 右手を前に突き出し、昨日の目標と同じベットに合わせる、集中して魔力を右手に移動させ唱える「クリーン」するとピカッと光り生活魔法が発動した。

 ほんの少し、だるさがあるが成功だろう! マークさんを見るとにっこり笑っている。


「うまく成功したみたいだな、まだ少し魔力量が多かったがな、そこは回数をこなして慣れていけば適量も把握できるだろう。よく頑張ったな。」


 おほめの言葉と頭をガシガシと撫でられた。少し恥ずかしかったけど、嬉しかった。


「それじゃ飯にするか。」


「はい。」


 夕飯を食べ、寝る前にほんの少し魔力操作の練習をして、自分の体にクリーンをして、その日は終了したのだった。

お読みいただきありがとうございます。


時間が作れたので投稿します。

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