邂逅
「ほっほほほ、気持ち良さそうに寝ておるのぉ、久々の登場じゃ、出番は少ないからちと早めに起きてもらおうかの。」
パチンと指ならすと目の前で寝ていた少年、出会った頃よりもたくましく成長している事に孫を見ているようなそんな表情のおじいちゃんと目があった。
「あれ!? か、神様?」
「久しぶりじゃのぉ~よいよい皆まで言うな。死んでおらんからの。それにしても波瀾万丈な異世界生活になってしまってすまぬのぉ。」
「えぇっと確かに刺激的な毎日を過ごしています?謝らないでください、充実した日々を過ごしてますから。」
首をかしげなんとも言えない表情になっている気がする……。
「今回会いに来たのも、以前渡した封印の指輪1つが必要なくなったから会いに来たんじゃ、ほかにも会わせたいものが居るし、ジョージ君じゃったかな? 彼にも会いたかったんじゃ。あのちんまい小猿が君の背にくっついとるのが愛くるしゅうてのぉ~。」
好好爺のごとくしわしわな顔をさらにしわくちゃにして笑っていた。
さらにパチンと指をならすとお婆ちゃんとジョージがこの世界に現れた。
あのお婆ちゃんどこかで見たことがあるような……思い出せないけど……。
「ジョージ!」
ジョージは辺りをキョロキョロと見回すと神様とお婆ちゃんを見てビックリしたあとすぐさま僕に駆け寄り、背中に装備される。
「ほっほほほ、これじゃよこれ。孫とひ孫を見ているようなそんな気分じゃ。」
神様は地球の神様なはずなのに僕のことすごく気にしてくれているなと思ってしまう。
(今回は神様の隣いつもの美人秘書とは違ってお婆ちゃんなんだな……)
すると隣にいるお婆ちゃんが話しかけてきた。
「全く失礼な子だねぇ、考えてることが筒抜けなんだよこの空間は。これで満足かい?」
するとお婆ちゃんパンッと両手を叩けば絶世の美女へと変わっていた……そのただよう空気は優しさ、包容力、母性、女神であることをすべてにおいて伝えてくるようだった。
「このじぃに合わせて出てきたのは失敗だったね、私はこっちの世界の神様よ、ほっとくとこのじぃはすぐに君に干渉しようとするから大変なのよ。まったく。」
「真面目ないい子じゃわい、お主も今回は肩入れしておったじゃろ?」
「仕方ないじゃない、あのままヴァンパイアの血に好き勝手させるわけにはいかなかったんだから!!」
??二人ばかりで話が進んでしまっている。
「ほっほほほ、時間もないんじゃろ? わしらが会話するのはいつでもできるんじゃ、ヴァン君とジョージ君に話すことがあるじゃろ。」
「そうだったわね。まずあなたを半魔にしたのは私よ少し変わった体験って言ってたみたいだからその種族にしたの、まぁ私の方にも少し思惑があってそうしたんだけどね。」
とウインクしてくる女神様。
「次に種族特性の第二段階が解放されたわ、条件は色々とあったんだけど、一番影響しているのは影魔法の『魔纏』の習得ね、予定よりも早いくらいよ!! てかあなた達ってマゾなの? 毎日毎日修行修行って思わず修行僧なんて称号つけちゃったじゃない。こっちに来るときにそんな改変されないはずなのに……」
「ちょっと待ってください、解放されたってのは『影纏』が出来たことがそれにさらっと称号のことも僕が知っていいことなんですか? それにいきるのに必死なだけで、マゾではないです! ないはず……です……。」
マゾではないはずだ……確かに師匠の修行はとても辛い時間が続くこともあるし、なかなかうまくできなくて時間だけが過ぎていくこともあるそれでもやった結果が出たときなんかはとても嬉しいのだ、地球ではほとんどのことが出来ずに居たからな。
「マゾの話はどうでもいいわ、『影纏』の発動ができるようになったこと、あなたの血があなたを認めたことも1つの原因よ。使い方はあなたの方がわかっていると思うけど、第二段階の解放で怪力無双と言われた部分が使えるようになったわ。」
第二段階が怪力無双どういうことだろうか?
『影纏』ができるようになって影の魔法がより自由に使えるようになった、影の中に潜り込み別の影に移動することも今ならできるだろう……怪力の部分は該当していないような……
「まったく、体に纏った影魔法で握りつぶしたりもできるってことよ! それに影は魔法なのよ! 体を動かすためのサポートもさせることができるんだから、身体強化や硬化を影にも付与することができるの、それに纏った影自体が不定形大きさも魔力量で変えられるわ、それはこれからの訓練でしっかりとできるように頑張りなさい。……私も修行するように勧めちゃってるわね……」
女神様はより細かいことまで『影纏』の事を教えてくれた、これでより強くなることができる!!
「ほっほっほ、あまり無理はするでないぞ、転生したヴァン君の体は丈夫じゃが心にゆとりも必要じゃ、今は目的があると思うがジョージ君をつれてあの池で遊ぶのも1つじゃよ。その時に魔石に魔力をもう一度込めてあげることじゃ。ウォータースライダーのやつじゃ。」
「こらこのじぃ!!それは今じゃなくていいのよ!! 次いくわよ。」
神様にジョージと遊んだあれを見られていたようだ。確かに魔石に水魔法を込めてそのままにしてしまっていたかもしれない。もう一度込めてあげるってことはジョージのためにかな?
「その背中の王種の進化なんだけど、あれは今回特例で私が手伝ったの、本来はあなた達のこれからの目的である竜血樹の樹液がその子の進化に必要なのよ。」
「竜血樹って何かの薬になるんじゃないんですか?それをギルドからの依頼ってことで受けることになったんだと思ったんですけど……。」
「それは私の指示よ、占いのオババが居るでしょ? あの子に御告げをしてるのが私なの、あなた達が竜血樹へと行くように少しだけ関与したのよ。」
新事実発覚……女神様の隠謀が……
「そこ!!隠謀とか言わない、あなた達の事を思ってよい方向に少しだけ舵をとっただけでしょ!」
「この時間もそろそろ終わりじゃのぉ、もっと話したかったが女神様の説明が長くなってしまったからの、そうじゃ、ヴァン君の必要なくなった指輪を貸してくれんかの?」
1つ外して神様へと渡す。
手元の指輪が光るとブレスレットへと変化する。
「これはわしからのジョージ君への進化祝いじゃ。君達ならこのあとの試練も乗り越えられるじゃろ、むしろ試練よりもヴァン君の影の方が強敵じゃったからの。」
「ありがとうございます。ジョージもお礼言って。」
背中から降りると頭を地面に当てながら。
「じぃ、ありがとう。」
ジョージの様子にまたもや好好爺のごとくにっこりと微笑み。
「よきなか、よきかな。また会えるように、わしも奔走しようかのぉ。ほっほっほ」
「まったくじぃは好き勝手やるんだから……時間みたいね生きるために頑張りなさい。本当に困ったらオババを訪ねなさい、じゃあね♪」
こうして僕とジョージは現実へと引き戻されるのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヴァンとジョージが去った後
「じぃあの子に色々としすぎよ!!このあとこの世界の調整するのは私なのよ。結構大変なんだから。」
「ほっほっほ、何かしてあげたくなるんじゃ、お主だってあの月のマーク……加護が入ってるんじゃないのかのぉ」
神様のジト目とはどこに需要があるのだろうか、女神も女神でヒューヒューと音のでない口笛で誤魔化していた。
「王種の小猿にあげたブレスレットの効果は何?」
「大きいサイズじゃと街や家での生活が困るじゃろ?任意で今の小猿サイズに戻れるようになるだけじゃ。」
「まったく、甘いんだから。私もいくわね。ちゃんと仕事しなさいよ! あっちの子が言いつけにくるんだから。」
地球の神様と異世界の女神は自分の管理する世界へと戻っていくのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
ブックマークや評価していただいた方ありがとうございます。




