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影纏

 ゲニアさんが武器の調整をするということで影の『魔纏(エレメント・ポーター)』を試すのは少し待つこととなった。


 ゲニアさんの持っていたマジックバック昨日は酒樽しか出てこなかったが、さまざまな鍛冶で使う道具が出てくる、炉があるわけではないのでこれでも少ないとのことだったが、師匠の使っている剣や防具として使っているもの、金属類の装備に関してはすべてできるようだ。


 それを見学していたのだが調整している本人は納得していない様子だった。

 今回は最低限戦闘に使えるように調整すればいいと師匠に諭され、しぶしぶながら作業を終わらせ、各自がそれぞれの武器を持ち準備が整った。


 ジョージとレイは少し離れたところで待機している、もし前回の用な事が起きれば庇いきれないと判断しての措置だ。


 アリゼアさんはいつもの自然体で先頭に立ち、ゲニアさんはその横で大楯を持っている。

 その後ろに師匠、既に魔力視で見えているが雷の黄色い魔力が体内で練り上げられ、片手剣を持ち構えている。

 最後にミラーナさんは一番後ろで弓を構え、その隣には属性魔力とは少し違う暖かなオレンジ色の存在が待機している、これが精霊なのだろうか?


 そして僕はというと、武器をもったら危険ということで武器はは無し、『魔纏』の習得なので必要ない。


「ヴァン、こっちの準備は整ったぞ、何があるかわからんが今まで教えた制御をしっかりとして、『魔纏』成功させろ!!」


「はい! いきます。」


 体内で影の魔力を練り上げる、ここで風や闇だと体外へ出し魔力を魔法へと変え魔法を纏うのだが、影の魔力は同じように体外へと出たのだが、出たところが足元、自分の影に近いところからだった。出たところというよりも魔力を吸いとられた所といった方がいいように感じだ。


影纏(スキアー・ポーター)!!」


 自分の影に魔力が浸透し魔法へと変化した、そして足元の影が広がり大きな人型の影が僕を覆い被さるように体に纏わりつく。


 成功だ!!

『風纏』や『闇纏』と同じように纏った状態を維持できている。喜びもつかの間―――


「ヴァン!! 今すぐ『魔纏』を解除しろ!!」


 そう師匠の声が聞こえたときには僕にがまとっていた影と足元の影が広がり影の中へと引きずり込まれてしまった。引きずり込まれる途中元殲滅の獣は既に戦闘へと移行するところだった。


 それよりも直接頭に届いたかのようにジョージの「(ばーん!!)」と叫ぶ声が僕の中に木霊した。



 影の中


「クフフフ、ヨウヤク、コノトキガキマシタ、カンシャシマス。」


 目の前には真っ黒なシルエットだけの僕が居るのだ、今までに語りかけてきていたヴァンパイアの血の声で話しかけてきている、この世界でのみ形を保てているような、そんなあやふやな存在が……。


「コウシテ、カイワガデキル、オッホン、これで聞き取りやすくなりましたかね?」


 聞き取りずらかった言葉がはっきりと聞こえるようになったのだ。


黙り(だんまり)ですか? 聞きたいことがあればお聞きください。」


「お前は何が目的なんだ!!」


「私の目的ですか? 当初はあなたの体の乗っ取りでしたが、今は少しあなたを認めても居ます、まだまだですがね。これは私の吸血鬼(ヴァンパイア)としての本能いわば吸血衝動は破壊、力を求めるものなのです。 そしてあなたの体はこの世界において破壊そして力をつけるにはうってつけの器、さすがは神から与えられた力というべきでしょうか?」


「………。」


 その言葉に警戒し、睨み付けながら構える。しかし影は気にした様子もなく話を続ける。


「そしてあなたの師匠、マルディシオンと戦闘したと、そして呪いをかけられたと……あの話を聞いて、私は思ったのですよ……封印された吸血鬼を倒せば、私が最強だという力の証明になる……吸血衝動はそれで満たされるのではないかと、愉快だとは思いませんか?」


「師匠に呪いをかけたやつが復活するなら僕の手で倒したいさ。けど…」


「その言葉を待っていました、では力の使い方をお教えしましょう、今までの経験上あなたは直接体を使って発動した方が覚えがいいようですから、『影纏』の使い方をそれに、あなたの目の前には過去にですがこの人類の中で最強に近い者達を練習台として使うのですから相当濃い経験となるでしょう。」


「ッ!? 目の前って師匠達を殺すということか? そんなことさせるわけないだろ!!」


 即座に身体強化を施し、影に殴りかかる!

 しかし影に実体があるわけではなく拳が突き抜けてしまう。


「私はあなたであるのですから、攻撃しても何も起きませんよ、それにあの方々には利用価値がありそうですから、あなたの成長のためと言って殺すことはしませんよ、ご安心ください。」


 僕の拳の刺さった影はぐにゃぐにゃと不定形となり僕には纏わりつく。


「やはりあなたの特殊なスキルが邪魔をして完全には精神を乗っ取れなくなってしまってますねぇ、今回はこれが都合が良さそうですね。しっかりと意識があると思いますから、『影纏』しっかりと修得してくださいよ。それでは戦闘授業と参りましょう!!クフフフフ」




 この世界にヴァンが渡って種族の解放をした後すぐから、吸血鬼はヴァンに対して精神攻撃(乗っ取り)をしていたのだが、健康体のスキルによって著しく健康を阻害する行為とスキルが判断しそれを阻止していた、ヴァンの知らないところでスキルVSヴァンパイアが戦っていたのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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