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師匠の過去 殲滅の獣その7

「ワタシハ、コレデ消えるデショウ、アナタの魔リョクヲ糧にフッカツ、10年、オマエの力がウシナワレ、死ぬ! ソノ恐怖ヲ味わえ、ギャハハハハ」


 そう言葉を残しマルディシオンは黒い霧となり、消えたのだった。

 マークの胸に赤黒い痣を残して……


 殲滅の獣はマルディシオンに辛勝することが出来たが、奴の残した言葉、復活と10年力が失われ、死ぬと不吉な言葉を残し消滅したように見えるが、嘘を言っているようには見えなかったと最後に心臓を貫かれたマークは思った。


 マークに駆け寄り抱きつくミラーナ。


「生きてるのよね? マーク……。」


「あぁ生きてるみたい……だな……ミラーナ、苦しいから離してくれるか…。」


「ごめんなさい。」


 マークの状態も確かに心配ではあるが、アリゼア、ゲニア、アーディとみな辛うじて息はあるが何があるかわからない状況だ。

 なにより優先されるのはここからの脱出だろう。

 ミラーナ以外まともに動けるものは居ない、そのミラーナも魔力枯渇寸前まで精霊魔法を使い、ひどい魔力酔いを引き起こしていた。


 それでもミラーナはそれぞれにポーションを使い皆の回復を促していた。


 しばらくすると転移の魔方陣が浮かび上がった。

 これでここからの脱出も可能となった。


 マルディシオンとの戦闘中ボスの間に展開されていた転移の魔方陣が消えていた。

 転移の魔方陣が展開され、この間から出ない限り魔獣は出現しないので、しばらく休んでからここから脱出することになった。

 各メンバーは体力と魔力の回復に勤めるのだった。



 ようやく動けるようになった殲滅の獣はマークの確認をしていた。


「なにより皆無事で良かったな……」


「それよりもマーク、あなたのその胸の痣は治らないの?」


「これな、さっきからヒールやハイヒールを試したんだが消えなかった。色々試したんだがな……」


「やつは最後になにか言うとらんかったか? 」


「やつは復活すると言っていた、10年、俺の力が失われ……死ぬと、その恐怖を味わえだとよ。」


「そのような魔法、拝聴したことがないでござるが……、拙者が未熟ゆえ……知らぬだけかもしれぬが。」


「10年で復活するっちゅうことは止める手立てもあるかもしれんのぉ、まずはマークのその状態を調べる必要があるじゃろう?」


「まずはそれを確認するためにここから帰えるでぇ。」


 マークがどのような状態なのか今現状ではわからない、ここにいても状況は変わらないため、転移の魔方陣へと歩を進めた。


 浮遊感を感じ目を開けると太陽の光が五人を照らす。


 アリゼアとゲニアに支えられアーディは歩き、マークもミラーナに肩を借りダンジョンをあとにした。


 最寄りのギルドを目指し歩く殲滅の獣を見た住人たちがその姿を見て、歓声を上げることができなかった、装備されていた防具や使っていた武器、五人全員がボロボロなのだ……それほど過酷な試験だったのかと……いつも見るキラキラとした英雄たちの姿はその時ばかりは影も形もなかった。


 ギルドへと入った五人は報告よりも先に鑑定室へと向かった。

 鑑定室へと入っていく五人を見てギルド内は静寂が包んだ。


 鑑定室へと入室し、マークが鑑定板に血液を付着させる。


 マークケイン (35)


 種族 人種


 LV72


 スキル 生活魔法 解体 体力回復 魔力回復


 武術 剣術A 槍術B 体術A 斧術B 棒術B 杖術C 盾術C


 魔法 魔力操作S 火魔法B 水魔法A 風魔法A 土魔法B 光魔法B 属性外魔法A


 特殊(ユニーク)スキル 雷魔法 探求心


 といつもと変わらないスキルを見て違いがないか読み進めていく。

 ステータスなどはわからなかった、しかし称号欄の所に今まで無かった項目が追加されていた。


 その称号は呪われた体という者だった。

 詳細を調べると


 呪われた体


 特殊スキル呪魔法によって死の宣刻(せんこく)を受けたものに与えられる称号。

 この死の宣刻は使い手の込める魔力練度によって変化する。

 使い手の強い怨念が込められており、徐々に力を失っていく、そして死へと向かう。

 また失われた力により起こる現象は様々である。


 という説明が記された鑑定板をアリゼアは殴り付ける。


「マークが何をしたというんじゃ、どうにかならんのか!!」


「魔法なら、なにかしら解除する方法があるはずよ。」


「10年と言っておったんじゃな? マークそれまでにお前さんの呪いを解くしかないじゃろう。」


「拙者達の力であればまとまって探すより、個人で探す方が効率が良いのではござらんか? マーク殿は失われてはいけない存在。」


 アリゼア、ミラーナ、ゲニア、アーディの順にすでにマークを助け出すと、共に旅した仲間がそれぞれの思いを口にする。


「お前達……こんなところで心折れる俺達じゃないよな……すまないが力を貸してほしい、なんでもいい、情報を集めてほしいこの体を治す方法を見つけたい、お前たちと…もっと旅をしたい、冒険をしたい。」


 マークの目からは涙が溢れていた、これほど突然死を突きつけられるとは思っても見なかった、そして仲間達の存在が何よりも心強かった。


「わし達殲滅の獣はいっぺん解散じゃ、マークを助けるために探すんじゃ、手がかりを!!」


「「「おう!」」」


 この日Sランク昇格の結果報告に来たと思われた殲滅の獣は突然の解散宣言をギルドへと伝えたのだった。


 解散の理由は終ぞ語られる事はなかった。


 殲滅の獣は各々が情報を求め世界各地へと旅だった。




いつもお読みいただきありがとうございます。


ついに100話となりました、この作品を書き始めて3ヶ月あっという間で夢中で書いて、ああしたい、こうしたいと妄想しながら書き上げております。


これからもヴァン君の成長を書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。



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