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それから数日、俺は例のイタリカの令嬢殿に呼び出されていた。

父親に手紙で確認を取ったところ、話をしてタスマニアからの助けを得てこいとのことだったので詳しく話すそうだ。

やっぱ政治がらみかねぇ。

つーか今さらだけどこの子タスマニアンラプソティーのライバル役だわ。

俺のとは別ルートの。

たしか第二王子さまルート入るとこの子が王子の婚約者として立ちふさがるんだ。



と、どうでも良いこと考えてる場合じゃないな。

そろそろ呼出し場所だ。


「や、待った?」


「いえ、時間より早く来られたので待ってはおりませんわ。」


目を細めて微笑んでくれる公爵令嬢さまはとてもかわいいですね。とはいえ俺にはマリアが居るので浮気する気はありませんが。


「敬語はやめようぜ。年も変わらんしあんたのが立場は上だろ?」


公爵と辺境伯だと公爵の方が微妙に偉い、父親の立場がそうであれば、俺よりこの子の方が上ということになっている、建前上は。

タスマニア(うちの国)イタリカ(あちらの国)では国力に差があるが、宗主と属国と言うわけでもないので何らかの上下は無いと思って良い。


なので、彼女にはタメ口で居てもらうことにした。肩こるよね敬語って、俺とこの子との間では意味ないし。


「ですが、これから悩みを聞いていただけるのにそこまで礼を失するわけにも…………」


あー、そういうタイプか、律儀だな。

助けていただくって言い切らずに悩みを聞いてもらうまでで止めるとこもまた謙虚だ、この子はジャパニーズか?んなわけないな。


「気にせんでくれよ、これは俺が聞きたいから聞くんだ。細かいことまで気ー使われたらこそばいくて敵わん。」


「……………わかったわ、これからは敬語は無しで。これでいい?」


おずおずと聞いてくる、まだ固さを残しているようだ。

心理的な距離を詰めたいこちらとしては敬語は邪魔臭くて敵わないが、無くしたとしてすぐ仲良くなれる訳じゃないよな。しゃあない。


えーと、たしかこの子の名前は


アデリーナ(・・・・・)、恩だのなんだのは考えるな、いいね?」


アディ、アデリーナ=スフォルツァ公爵令嬢だ。


彼女…………アディはビックリして口許に手をやる。

表情に出るタイプか、ま、こっちからしたら悪くない。貴族としてはアウトだけどな。



「なぜ名前を知ってるの?」


うん、俺はこの子の名前を聞いてなかったもんな。


「入学式の後、最初に自己紹介あったでしょ?あのときに、ね。」


「一回で覚えたの?」


不思議そーな顔。

まぁなわけないよね、他国の要人のことは調べさせて必死で暗記してただけ。

でも、真実は言わなくて良い。


「君が気になってたから?なんとなく、ね。」


気持ち悪かった?

困った顔でそうきくと、アディはフルフルと首を横に振るった。

良かった、順調に距離を詰めることができている。

アディが純粋すぎてすこし心配になるが


「じゃあ、話を聞こうか。」


「えぇ…………実はね」


そういって彼女はその身に、いや、彼女の居る領地に降りかかった災難を話し始めた。







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