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契約

艦長に指示してしばらく船を進めると、血溜まりが見えてきた、中にはいくつかの海竜の死体が浮かんでいて、大変グロい。

甲殻が抉れて腹が破けてたり頭が吹っ飛んだりしてるが、戦闘機の対鑑ミサイルで殺したやつらだな。

この群れは見たとこ5、6体か、戦闘機部隊が撃てた数が20発だからミサイルは足りてたみたいだな。まぁ海竜自体そこまで個体数が多い訳じゃないし、誘引できたのがこんだけでも多い方か。


「死体は回収して食肉用に処理しておいてくれ。」


海竜のバーベキューだぜ!

もしくはマリネだな、どうでもいいな。


「海竜がここまで凄惨な死体に………凄まじいの。」


「対鑑ミサイルは鋼の装甲でもぶち抜いて内部から炸裂するからな。いくら強固な鱗を持った竜とはいえ生き物だ、耐えられるわけがない。」


王様は空母と戦闘機の実力を理解したようで、興味深げに見ている。


「これを売るようなことは………。」


無理ですね。

さすがにそこまであんたらに力を与えるようなことはしない。むざむざアドバンテージ(戦力的優位)をいたずらに縮めるバカがどこにいるよ。


「一応そなたも我が国の国民じゃろう。無理か?」


無理ですね。

つーか国民だからなんだよ。

国民だったら強制徴集してもいいよね?ってか?

平時から私人のものを国家が自由に接収とか文明レベル中世かよ。

あぁ、文明レベル中世だったわ、クソ野蛮人どもめ。

まぁそんなことはどーでも良いんですけどね。

強制的に奪おうとして来たら焦土にしてやるまで、それはこのジィさんも理解してんだろ。


「仕方がない、か。

かわりと言うのもなんだがライフルを安く売ってはくれんか?」


そんなことを言ってきなさった。


んん?


「ガーランドか?他のとこも製造開始しただろ?」


俺は疑問をぶつける。王様がうちが売っているライフルの値下げを交渉してくる。うちが独占してる訳じゃないし他からも買えるはずだが、なぜそんなことを頼んできた?


あ、まさか


「察しの通りじゃ、他のところで作っておるものはお主の所の物と比べて極端に質が落ちる。しばしば弾が出なくなるんじゃ」


なるほどね。

俺のとこで作ってんのも命中率を意図的に落とした設計になっているが、ジャムリングなどの致命的な故障は殆ど無いと言って良い。

この世界の技術レベルではそこまでの信頼性が出せないってことなんだろうよ。

銃の火薬は玉状に固めたものを湿気ないようにコーティングして作るのだが、コーティング処理がうまくいってないのかもな。

そもそもほかんとこはそんなもんやってないまである。


俺としてはあんまりどこかの国に肩入れすることなく中立の立場を保ちたいが、そもそも値段を吹っ掛けまくってるし値下げを演出しても良いかもしれない。


「わかった、7割の値段で売らせてもらう。最初に条約に調印してくれたオプションだ。ただし他の国には言うなよ?」


微笑みながらそんなことを宣う。

これを色んな国に言うわけですね、特別感を与えるのは貴族相手の商売の基本です。

タスマニアの首脳陣たちはホッとしたような顔をして礼を言ってきた。

なーに、礼を言われるようなことはやってないよ。

なんせ適正な値段に戻しただけだからな。



「これからも良い取引を。」


淑女の笑みに見せかけたマジキチスマイルでカーテシーをしてやる。

皆面食らってるがそれは俺を侮辱してる訳じゃないよな?

「お前、礼儀なんて知ってたのか?」とかそういう表情じゃないよな?


「あ、あぁ。これからよろしく頼む。」


王がそんなことを言ってきた。

これは、重いぞ。世界を二分する大国の王の言葉だ。



――――――――違えるなよ、王様?





こうして、本日の調印式は無事にお開きになった。


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