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第八空母打撃群

リアーナ軍開発部製ジェラルド・R・フォード級空母の八番艦、“ハリー・S・トルーマン“それが今俺が乗っている艦の名前だ。

こいつは70以上の艦載機と、最新鋭のステルス(対レーダー)形状、近接防空システムや電磁式カタパルト(戦闘機射出装置)を備える原子力空母である。


タスマニア国王を始めとする重鎮たちを連れて、その甲板に到着した俺たちはそのスペックを朗々と歌い上げる。

カノン砲を乗っけた帆船が軍の最新鋭艦である彼らの顔は盛大に青ざめていたがんなもんしらん。


「お、あそこ。

甲板からF18が発進しますよみなさま。」


空母の甲板というものは艦橋を右端に寄せることで前後ひとつなぎになっている。これをアングルドデッキとか飛行甲板とかいうが、そこでは5機のF/A18E、block3アドバンスド・スーパーホーネット戦闘攻撃機がアフターバーナーを吹かしながら滑走に入っていた。

カタパルトの電磁力とジエットエンジンの推力、この二つの複合によってものすごい勢いで打ち出されていく大柄な機体と、竜の鳴き声を思わせるようなエンジンの咆哮は慣れないタスマニア勢にはさぞ堪えたようだ。

みんな耳を塞いで目をつぶっている。

近衛だけは目を開いて仁王立ちしているが…………冷や汗がすげーぞ、おっさん。


このアドバンスドホーネットは最新の戦闘攻撃機で、ベストセラー艦載戦闘機であるF18E、Fを改良したものだ。


大面積かつ後退角が小さい主翼や機体の中央に備えられた二枚の垂直尾翼など面影を残しつつ、エンジンや内部の電子機器類、コックピット回りの表示装置はF35と同じものに換装し、機体の背中に着脱式の(コンフォーマル)燃料タンクを積めたりステルス性向上のためミサイル類を収納する流線型のミサイルポッドを追加したりといった魔改造が施されている。

現在F18eスーパーホーネットからこいつへの改修は海軍のF18の半分まで終わっており、このトルーマンにもアドバンスド型が積まれていた。


その能力はすさまじいの一言に尽きる。

格闘であればF22を落としたこともあるスーパーホーネットの改造型だけあって低空低速域での高い空対空戦闘能力、

デカイ主翼とコンフォーマル燃料タンクによる長い航続距離、そして高い対地攻撃性能を誇る。


「艦長、兵装と編成は?」


おもむろに通信機の電源を入れ、艦橋に居る艦長へと話を振る。


「F18一機につきAGM84ハープーン対艦ミサイルを4発、AIM120中距離空対空ミサイルを2発、それを一個飛行隊(五機)で任務に当てます。

護衛にはAIM120を6発とAIM9サイドワインダーを2発搭載したF35Cを二機。」


エクセレント。


対艦ミサイルは着弾して数瞬遅れで信管を作動させることで、敵の内部で弾頭を炸裂させる。

巨大な竜とはいえ一撃で吹き飛ばせる。

それが、20発。


「艦長、問題だ。

相手の数が多くて仕留めきれなかった場合は?また、相手が潜水していた場合は?」


「前者についてはクラウドシューティングを使い、戦闘機によってロックオンした敵目標に艦隊のイージス艦からハープーンを撃ち込みます。

後者についてはイージス艦の哨戒ヘリを飛ばし、各艦の水中ソナーも合わせて潜水艦やヘリとのデータリンクによって探知します。

対処はアスロック(対潜ロケット)で。」


OK、良い判断だ。


と、そこに着信が


loose(ルーズ)35 to(から) mother(母艦)CIC(戦闘指揮所), marine(海上の) target(敵目標) all(全て) kill(破壊). area(海上に) clear(敵は無し)


出撃したF18アドバンスドホーネット飛行隊からだ。

早ぇ、30分たってねぇぞ。



まぁ、F18に積まれたハープーンの射程は100㎞を越える。

出撃してすぐにレーダー探知。

ミサイルロックオン、発射、殲滅

その結果、この早さか。


「爆音と衝撃によってしばらくソナーが使えないだろ。海中を探知することが難しくなる。下から来ないか警戒させておけ。」


海上でハープーンのデカイ爆発が起こったせいで、しばらく水中の探査に影響がある。

今下からこられたら探知しにくくなる。一応警戒を促すと各員から了解の返事が返ってきた。


まぁ、彼らは理解してるだろうけどな。一応、だ。


と、しばし間をおいてイージス艦からの通信が入った。


「探知回復……………。

ソナーコンタクト(に反応)、二体海中から来ます。距離3マイル。

アスロックにデータ(緒言)入力。


――――――fire(発射)。」


トルーマンの左隣、アーレイ・バーク級駆逐艦の前部甲板から白煙が吹き上がる。

駆逐艦に備えられたミサイル垂直発射器、通称VLSから対潜水艦用のロケットが二発ほど発射されたのだ。


アスロックと呼ばれるそれは、まっすぐ上に上がった後、パラシュートを開いてゆっくりと海竜が居る地点の近くに着水する。

衝撃によって分離した高機動の追尾機能付き魚雷が自身に備わるソナーによって自らが爆砕するべき目標を捉え――――追跡。


直撃、爆発、目標粉砕の後大きな水柱と轟音を上げて俺たちに仕事の成功を知らせてくれた。

着弾地点の海面が竜の血で赤く染まり肉片が浮き上がってくる。

わーお、グロい。王様たちがえづいてますよ。



そして、30分ほどしたあと



「…………トルーマンからHQC。

全ての目標排除を確認。実弾演習を終了します。」


「copy、最高のショーだった。さすがだ第八艦隊。」


スタンディングオベーションものの演習(ショー)は閉幕したのだった。













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