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それは完成せり

HK417というアサルトライフルを知っているだろうか。




西部開拓時代、

闘争を納めるものの名を冠した至高にして高貴な拳銃、シングルアクションアーミー。

そして自動拳銃の原点にして至高。現代の拳銃はデザインがこいつに似ていたら売れるとまで言われる、コルトM1911ガバメント

それらを作り上げたコルト社のアサルトライフル、M4をベースに

レールシステムや、強化ポリマーフレーム、

現代の銃に欠かせないシステムをいち早く採用し、産み出し、広め、MP5やソーコムそしてUSPなどの歴史に残る名銃の数々を世に送り出した最高峰の銃器メーカーであるヘッケラー&コッホが開発した、アメリカ軍第一特殊部隊デルタ作戦分遣隊―――――アメリカ陸軍最精鋭部隊(デルタフォース)――――――

の制式採用アサルトライフルでもあるHK416。

その大口径バージョンである。


まぁ、ようは。


「ロマンの塊り以外のなんだってんだ!!うぇへへへへへへへへへへへへ。」


今、俺こと辺境伯令嬢リアーナ=セレスはそのHK417(ロマンの塊)をしっかりと抱きしめ、頬擦り、つまり暴発したら即死ぬんじゃねぇかくらいの危険行為をしながらトリップしていた。


あはぁん、この硬質な肌触りが堪らないのぉぉぉほぉ。


最初に鍛冶屋で土下座してから苦節二年、ついこの間、やっとこさ給弾装置、そしてフレームを、再現できた。

試射をして動作を確認しては微調整、そしてまた試射というルーチンを満足行くまで繰り返して、今、七歳になった俺の手にはほぼ(・・)完璧な状態のHK417が握られている。

ん?なぜほぼかって?

…………バレルがね、ちょっとね。オリジナルみたいな冷間鍛造じゃないのでちと脆いんですわ……………。


しかし………………はたから見たらアサルトライフルに頬擦りする幼女なんつー酷くシュールな光景だ。

ましてやこの世界の人間からしたらこいつがなにかもわからないぶん不気味さはひとしおかも知らん。


ま、どーでもいいが。


そんなふうに周囲の目をバッサリ切り捨てて、俺はもうひとつの銃器に目を向ける。


目の前の卓上に置かれたそれは、一挺の拳銃。

フレームにピカティニーレールをつけ、武骨さとグラマラスさをあわせ持つそいつの名は、M45a1

先述のコルト社が、自社の傑作拳銃M1911をベースに、世界最強の陸上戦力たるアメリカ海兵隊向けに作り上げたピストルだ。俺の目の前にあるのは、そこからさらにいじり、フレームやグリップの素材は、その大半をガラスファイバー強化プラスチックに変えてある。こっちの世界にも石英ガラスは有ったから、そいつを溶かして不純物を取り去り、うすーく引き伸ばしてプラスチックに混ぜた。

プラスチックに関しては、まぁ運が良かったとしか言えない。

だーいぶ遠くの領地で沸き出ていた「黒くて燃える水の沼」の噂を聞き付けた俺がオヤジをお供に現地まで何日もかけて行ってみて、調査し、その沼がある土地一帯を買い取った。

もちろん、その沼というのは原油が湧き出るご機嫌な泉だったってわけだ。

石油というのはこの世界でも燃料として使用されるが、現代ほどは多く、幅広くは使われない。

権力者()の買いたいと言う意思に逆らってでも死守するほどの価値はまだない。


と、言うわけではからずも必須の資源を手に入れた俺は、炉を新造してそいつを加熱精製した。そうやって得たナフサをさらに加熱処理して、エチレンを得て、熱と光と空気で反応を起こして、プラスチック(ポリマー)に。

ここでも少し(死ぬほど)手間取ったが、なんとかなった。オヤジからは

「前々から思ってたがお嬢は錬金術師かなんかか?」

とバケモンを見るような目で言われたが。


さて、そんなこんなでガラス繊維で強化されたプラスチックを、フレームなどいろんな部分に使用して、すでに出来上がっていたブローバック機構を組み込んで、M45a1が出来上がったわけだ。


ちなみに、M45(コルト)もHK417も、全ての部品の鋳型を作り、いつでも量産できるように………ってかすでに量産して試射した物が相当数用意してある。


……………………あー、やべぇ。絶頂しそう。


これからは剣も槍も、練り上げるのに時間がかかる武技もいらない。

農民が、次の日には、指一本で騎馬をグチャグチャにできる時代の、ここが、黎明だ。












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