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王子さま

入学式だ。


ふと思い至った懸念事項を片付けようと思い行った通信。

そのおかげというかせいというか、妹からの思わぬ裏切りが発覚した。


全くかわいいやつめとか思いつつ、その事について無線で問いただした妹から

「管理、能力と、カリスマが、足りない。そのうえ、身内に、甘い」

的な指摘(煽り)を貰い、

「ハハッ、張っ倒すぞ、マイシスター。」

などと言葉を返し(じゃれあい)ながらサンタ・ベネディクト学園の門を車でくぐる。


「憲兵―――――内部監査機関、も、ないから、こうなる。」


「………“性善説で組織は動かせない“とでも言いてぇのか?」


「事実、でしょ?」


………あいつがなんの意味もなくイタズラでこういうことするとも思っちゃいなかったが、本気で心配してくれてたらしい。


「おねぇちゃんの、やり方は、暴君とか、独裁者。そういうのの、最後は―――――――。」


部下からの(・・・・・)、暗殺か?(・・・・・)


「ん、味方に後ろから撃たれて、後悔、しながら死ぬ、おねぇちゃんは、見たくない。」


はは、

あぁ………………いい女だなぁ本当に。

バカな俺を、嫌われるリスクを抱えてまで諌めようとしてくれる。本当に良い女だ。


「……ふふ。忠告いたみいります、ほんと。すぐにでも憲兵を組織しておくさ。あとはアンたちが守ってくれるだろ。」


そんなことを言うと、あいつは満足げにくふんと鼻を鳴らして通信を切った。



それはさておき校舎を上から下まで眺める。

漆喰で塗られた白亜の壁は光を反射して眩しいくらいだ。

教会と見紛うようなゴシック様式の建物は荘厳さをこれでもかと溢れさせている。


ここが、今日から俺が通うことになる学園であり、タスマニアン・ラプソティーの舞台となる場所だ。


校舎前で車を降りると、周りがざわめいた。

むふふふ。


心機一転、新たな場所で頑張るぞい!

と気合いを入れていたところ、後ろから甲高い悲鳴が聞こえてきた。

なんぞ?


「反逆者…………反逆者だ!衛兵!あいつを捕らえろ!衛兵ー!!」


騒がしいなぁと思いながら振り返ってみると、そこに居たのは第一王子だった。

あー、そういやこいつも攻略対象だったな。そりゃここに入学してるか。

しゃあねぇ、ちっと可愛がってやろう。


「ごきげんよう、殿下。私が反逆者とのことですがいったいどうされたので?いわれのない言い掛りはやめていただきたいのですが……………。」


猫を被ってそう答えると、王子さまはこちらに唾を飛ばしながら激昂する。

きたなっ。


「しらばっくれるな!貴様は俺の護衛の騎士を皆殺しにしただろうが。お前が、その手で!」


おいおい、正気かこのボーイ。


「まぁ………殿下。面白いご冗談ですわ。私はしがない1令嬢、どうして、どうして騎士さまに敵うと言うのでしょう?」


んなもんな、信じてもらえるわけねーだろ。

いくらこの世界では令嬢が軍を率いることもあるとはいえそれは男の騎士より強いことを意味しない。

もうちょい脚色することを覚えろや。王族(政治屋)の端くれだろテメー。


「…………ぐっ」


さすがに周りの目が気になってきたか、自らの言葉が眉唾だと気づいたか、王子は言葉に詰まってしまった。

馬鹿じゃんこいつ。


「じゅ、銃だ!銃をつかったんだ!こいつは!」


ふーん、まぁ、事実だけど。


「殿下…………銃は8発しか撃てませんわ、それを撃ち尽くしたら再装填まで時間がかかります。その間に切られるのは自明では?それとも殿下は護衛を八人しか連れてこられなかったなどと虚言をおっしゃりますの?いくら殿下が王太子でなくともそれは無理がありますわ。」


この世界では銃=ガーランドだ。俺たちが使うようなHKやらスカーやらなんてのは想像の埒外だろうさ。

ま、そのうち俺たちが本格的に活動し始めたらばれるだろうが、それはそれ。


「~~~~~~っ」


王子さまは顔真っ赤でプルプルしはじめた。

そろそろやめてやるか。


そんなことを考え始めたとき――――


「貴様!王子に対してなんという態度か!」


闖入者、一名。

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