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登校in空路

入学後は寮生活となるため、すぐに荷造りをしないといけなかった。

着替えのドレスや下着などの宿泊セットのようなラインナップが中心で、タンス等の家具類はあちらで用意してくれるそうだ。


寮には一人だけ従者を連れて入っても良いということなのでアンと一緒に行くことになる。



あ、あと王都を担当する統合軍にも連絡入れなきゃ。

これからは辺境伯領の本部基地よりそっちに関わることが多くなりそうだし。


少し前にも言ったが王都軍は陸空軍の戦力を保有する王都周辺が管轄の統合軍だ。

王都の近くに本部基地を持ち、そこからいくらかの前線基地を指揮している。


「HQCから王都軍HQ(本部)、これより三日ののち王都へ拠点を移す。これから世話になる。よろしくな。」


通信機から呼び掛けて挨拶すると、了解の返事が返ってきた。

これでよし。


「んー、あとはアンと俺の銃だな。いちおうボデイアーマーとかも、フル装備一色持ってくか?」


「ではそのように」


何かあったときのためにね。

アンも了承してくれたんで歩兵装備二人ぶん持ってきましょう。


そうやってリストアップした荷物を大型のリュックに纏めて、車に詰め込んで準備完了。

俺もメイドも筋力に関してはそこらのマッチョメンよりなんぼか上なので重い荷物の運搬も楽勝ですわ。


「うーし、んじゃああとは三日間のんびりしようかー。」


手をブラブラさせながら俺が言っていると、クイクイと服の裾が引っ張られた。

ん?なんだ?マリア。


「しばらく、離れるの、さびし…………。いちゃいちゃ、しよ?」


妹が首を傾げながら可愛いこといってくれたのでそれから三日は姉妹で心行くまでいちゃつきました。

はふぅ………天国。





で、やって来たぜ入学当日。


日も上りきっていない朝型、アンが車を運転して、本部基地から回してもらったC17輸送機に入れる。

こいつならここから学園まで一時間もかからずにつける。

入学式は昼前に行われ、付いた頃には受付が始まってる感じだ。

機体の後部ハッチが閉まり、滑走を始める。

ゴォォォォっと重苦しく響く音を撒き散らしながらエンジン出力はどんどん上り、速度が乗ったところで地面とサヨナラする。


独特の浮遊感を残して、俺たちは空路で王都へと向かった。


この車、また新しくなってるな。

内装とか乗り心地とかは前世で乗ったオシュコシュ社のL―ATVと同じ感じだが、見た目はBAEsystems社のヴァランクスに似ている。

ヴァランクスは旅行の時に乗ったBRVと同じく、JLTV計画に提案された車両でマリア好みの角ばった武骨なデザインをしていたはず。こっちのは細部の角度が違っちゃあいるけどな。

対してオシュコシュL―ATVはJLTVで正式に選ばれた車だ。

特殊なサスペンションシステムでとてつもない悪路走破性を誇り、この車両もそれくらいの性能があると見ていいだろう。


「ガワだけマリア好みに寄せたL―ATVってとこだな。L―ATVはスペックは良いがデザインがマリアの好みじゃなかったからな。」


「開発部を掌握しておられますね…………マリア様は。」


せやねー。なんなら俺より開発関連の決定力あるんじゃね?めっちゃくちゃ好き勝手やってるし。


「はは………あー、そうだ。空の旅だな。アンは経験あるか?」


「空挺降下訓練の際に何度かございます。」


パラシュートで飛び降りた経験ならある、と。

頼もしすぎるね。まぁ俺もその経験は何度もあるけど。


「今回はきっちり着陸してから降りるんだ、荒っぽいのはまた今度な。」


「それは残念です、せっかくパラシュートを持ってきたのに。」


二人して軽口を叩きあっていると、通信が入った


「レーダーコンタクト(に反応)。前方距離100キロにアンノウン、識別信号は…………ワイバーンが1。」


げ、邪魔物のお出ましだ。群れからはぐれたのか?そういや王都までの道のりは高山地帯の近くを通るルートだったはず。ワイバーンの生息域を掠めたか。

厄介な―――――


「第18警戒監視航空団E767、タイタン18からC17。第107戦闘航空団戦闘郡からF―22、4機小隊を護衛任務(エスコート)に付かせる。戦闘機部隊のコールサイン(識別名称)はドラゴン、ドラゴン15から18だ。

合流まであと一分。」


と、考えていると通信機から頼もしい声が聞こえてきた。

第107戦闘航空団は王国中央の基地に所属するF22戦闘機とF15E戦闘爆撃機で構成された部隊だ。

うちの航空部隊は航空団として別れており、そこから支援郡、整備郡、医療郡、戦闘郡の4つの部隊に別れる。

戦闘郡というのは直接任務を実行する部隊で、戦闘航空団所属なら戦闘機により敵に打撃を与え、爆撃航空団なら爆撃機による地上攻撃を行うのだ。

対して、第18航空団はミネルヴァに所属する領内のパトロールを任務とする航空部隊であり、彼らは普段E767などにより監視網を敷いているのだが、それだけでなく戦闘機などが出撃した際にはE767のもうひとつの機能である指揮通信能力をフルに活用したサポートも行うのだ。


今回その指揮通信任務を担うE767、タイタン18からの通信によるといまこちらに向かっているのは戦闘航空団の戦闘機部隊。

コールサイン“ドラゴン15“を小隊長とするステルス機部隊だ。


dragon(ドラゴン)15 to(から) HQC(リアーナ) escort(護衛を) start(開始する)


最強の戦闘機とまで呼ばれるF22、その群れの長たる飛行隊長から俺に通信が届く。


窓から外を見ると、四機の戦闘機(F22)がすぐそば、数十メートルと開けない近距離をダイヤモンド(四角形)編隊で飛行していた。


直後

彼は補足したワイバーンに向けてAIM120空対空ミサイルを発射する。

戦闘機の腹に備わったウェポンベイ(兵器倉)の蓋が開き、ミサイルが投棄。

即座にロケットモーターに点火して飛翔したのち、慣性航行に入る。

70キロほどの距離を飛んだそれは高性能なレーダーと動翼に誘導されて、過たずワイバーンを示すレーダー反応を消失させた。


target(目標) destroy(撃破) area(空域に) clear(敵影無し)



…………ヒューッ


圧倒的だなおい。

登場から一分かからずにワイバーンを落としちまった。

遠距離でこいつと出会ったらマジで終わるな。くわばらくわばら。


と、そんな風に自軍の戦闘機に戦いていると、あっという間に王都へとたどり着いた。


尻に振動を感じて、機体が着陸したことを知る。

しばらくしてから完全に停止し、後部ハッチが解放。そのままスロープになったそこを車で降りると、王都の立派な城壁が見えてきた。


「我々はヴァランクス(自動車)ですが、他の皆様は恐らくキャリッジ等の馬車でしょうね。」


アンがハンドルを繰りながら呟いた。

C17が上空で待機していたF22と合流し、守られながら帰投するのを見送ってから、街道を時速50キロでひた走る。

景色が後ろにかっ飛んでいくのは見てて気持ちいいねぇ。馬車じゃこんなスピード感味わえんよ。


「そうだなー、確実に目立つなこれは。

…………開発部のやつらがマリアから話聞いてフェラーリとかランボルギーニとか作ってたけど舗装もろくにされてないこんな道であんな車高低いのどう飛ばすんだよ。

出発前にそっち(スポーツカー)に乗ってけって言われたんだけどよ。」


車高低すぎて確実に下が地面に擦るだろ。吹っ飛ぶ可能性すらある。

相変わらずぶっ飛んだ仲間たちの所業に二人して苦笑をひとつ。


「学園生活の初っ端は派手に行こうじゃねぇの。」


目立ちたがりな本性が顔をもたげる。

馬車しか知らない貴族様の度肝抜いてやるよ。










F22に護衛されて空の旅…………この主人公はいったいどこの合衆国大統領ですかね?

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