エール
本話には未成年者の飲酒シーンが出てきます。
この世界では未成年者の飲酒は違法ではないですが、日本では法で罰せられます。お酒は二十歳になってから適度な範囲で楽しみましょう。
バイクを車に積み込み、町から出る。
途中で燃料補給を挟み、カルスルエで買ったソーセージで腹を満たす。
フリント式ライターであぶったヴァイスグルストは思いのほか旨く、英気を養うにはもってこいだったと言っておこう。
道中は特に何もなく、平和に目的地に到着した。
今日はここでエールを見繕い、昼までには町を出る予定だ。
前の町で学習した俺たちは、町の近くの茂みに車を隠して徒歩で町に入ることにする。
少しめんどいが、まぁMINAGOROSHIにするわけにもいかねーからな。
旨いエールが飲めなくなる。
金を払い、町へと入る。
ここでは特に泊まる予定も無いため宿は取らずそのまま市場まで行く。
並ぶのはソーセージや、生ハムといった豚肉の加工品の店が多い、そしてなにより目につくのがお目当ての
「エールだ。樽売りか、豪気よのぅ。」
樽で積まれたエールビールだ。
こちらにまでアルコールの香ばしい薫りが漂ってくる。
いくつか店がある中で、何件かを見て回る。
少量ずつだけ買って、町の中央にある広場の噴水に腰かける。
試し飲みをしてみたが、なるほどこれはラガーとは違うな。あっちは冷やしたのをグビグビ飲むのがベストだが、これはチビチビと舌を存分に使って味わうべきものだ。
肉を取りだし、ナイフで切りわけてみんなに配る。
つまみにはちょうどいい。
結果、肉に合う特に濃厚な味のものを買って帰ることにした。
そいつを買った店に戻り樽ごと大人買いする。
店主が顔に喜色を浮かべたのが印象的だった。
「良いのが、あって、よかった。」
マリアも酔いで顔を赤らめつつも喜んでくれる。
後で二人で飲もうな。
「これで後は昼まで観光して帰るだけですね。」
ほろ酔い加減のマイク君がそんなことを言ってくる。
俺は頷いて返事をする。目的は達成しましたからね。
「そうだな。どっかみたいとこあるか?皆は。」
希望を聞いてみると、兵士二人はもう満足なので俺たちのお供をするとのことで、マリアは服、あるいはそれに使う生地を見たいと言ってきた。
おねぇちゃん、マリアに何かしてあげたいのでちょうどよかった。
「あそこ、の、お店、気になる。」
どれどれ?えーと、そこそこ高そうな生地が店頭に並んでるな。
とはいえ金なら持ってきてる。払えないもんじゃないだろう。
うん、良し。じゃああそこにしようか。なんでも好きなものをお言い。