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入門

雑談しながら車を走らせていると、石造りの城門が見えてきた。

鉄で補強された木製の門が備えられ、その前には槍を持った兵士が二人並んでいる。


「あれは衛兵です。民間の有志で組織された町の自警団みたいなものですよ。町に入る際はお金が要りますので用意しておいてください。」


大尉君が耳打ちしてそんなことを教えてくれる。

なるほど、金か。

財布を取り出して、言われた通りに金貨を数枚用意する。


だんだん相手の顔が見える位置まで来ると、違和感に気づいた。

……………なんか警戒されてる?

槍をこっちに向けてきてんぞ。


「あー、これは、まさかとは思うが…………。」


「モンスターと間違えられて………ますね。」


運転手が俺の考えを肯定する。

うへー、やっぱしかい。

「あんまり出し惜しみせずに車でも銃でも使っちゃおう。

見られて困るもんでもないし、絡んでくるやつが居たら殺せばいいよね!」

とか思って普通にここまで来たんだけど仇になったかな?まぁいいか。

しょうがないのでいったん車から降りると、衛兵たちが驚いていた。人間がのっててビックリかね、ボーイ。


彼らは警戒を解かずにゆっくりとこちらに近づいてくる。


「何者か!」


大声での誰何。


「敵対の意思はない!私は領都からの旅人だ!傭兵をしている!」


これまた大声で運転手君が返答する。

傭兵ね、その設定でいくのね。了解。


「…………傭兵?そちらの娘は?」


あ、俺か。俺が気になるのか。

いやーん、人気ものー。って場合じゃねぇな。


「この娘は私の雇い主だ!これより遅れて兄ともう一人の雇い主も来る!」


うーん、嘘はついてないな。


衛兵たちはこちらに近づいて、槍の間合いまで距離が縮んだ。


「了解した。ここに来た目的は?」


「旅行だよ。この方が遠出をしたいと言うもんでね。エールが欲しいんだと。」


大尉(運転手)のその言葉に町の兵士は納得したような表情を見せた。


「エールか。領地からエールの有名なとこまで行くならここには旅の途中の宿泊に?」


俺たちが首肯すると、槍を持ったおっさん頷いた。ダメ押しとして金を多目に見せると途端に笑顔になって


「ここはカルスルエの町ってんだ。ここは宿が良いことでちょっと有名でな。ま、ゆっくりしてけや。坊っちゃん嬢ちゃん。」


そんな風に言ってきやがった。現金だねぇ。


しかし、宿屋の質が良いのは助かるな。

日々の疲れを癒していくとしよう。


そんなことを思いながら、俺たちは金を支払い、町へと入っていった。


あ、BRVはお留守番です。衛兵たちに預かっといてもらいましょ。

キーさえ刺してなきゃ盗まれることも無いしな。



「っふー、つかりたー。」


町にはいってすぐのところに宿を取り、荷物を下ろす。

さすがに俺と若い男の兵士を相部屋にするわけにもいかず、二部屋取ってある。

マリアが合流したら彼女に付いてきたリーコンの隊員は大尉と同室に、マリアは俺と寝るように話を決めてある。


と、寝所はそんなところとして、まずは散策だな。

置いた荷物から護身用として持ち歩いているHKをとり出し、そいつの吊り紐(スリング)を肩にかけて装備完了。

こいつには開発部謹製のホロサイトが取り付けられている。

ホロサイトというのはサイトシステム(照準装置)の一種で、透明なレンズに赤いレーザー光を当てて着弾点を赤いドットのようなマーカーで表示するのだ。

こいつを覗き込むことで素早いエイミング(照準)が可能となる。

そして、そんなアサルトライフルのお供にするのが毎度お馴染みM45ハンドガンだ。こいつについては銃身を延長し、ねじ切りをしてサプレッサーを取り付けられるようにしたこと

そしてフレームのレールに高輝度LEDのタクティカルライトを取り付けたことが変更点だ。

こいつは太もものホルスターに収納して持ち運ぶ。スカートのスリットから出し入れするので普段は隠れる感じになってちょうどいいんだよな。

あとはサイフやハンカチをサイドポーチに詰めて、右腰にはカランビットナイフで左にはカタナ。


ヨシッ準備おっけー!



……………どこの特殊部隊を相手にする気だ俺は。


まぁ、用心に越したこたぁあるまい。


そうやって無理矢理納得しながら部屋を出て、運転手君と合流する。

うーん、道中ずっとこれ(運転手)では呼びにくいな。

というわけで名前を聞こう。


「マイク、と呼んでください。」


マイクね。たぶん忘れるまで覚えとくよ。


…………あれ?そういや俺オヤジの名前より先にこの子の名前聞いた?



まぁ、しゃあないか。







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