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NAISEI




注)タスマニアの軍制を変更しました。


王の常備軍は王直属騎士団と近衛騎士団→王の常備軍は近衛騎士団


現在設定しているタスマニアの軍制


王と辺境伯のみが常備軍(騎士団)を有し、戦時には各領主が傭兵を雇い入れる

国をあげての戦争であれば領主たちの雇った傭兵や徴兵した民兵を王の騎士団が束ねるとともに教会の宗教騎士団と共同で対処に当たる。



封建性的な14世紀ごろの軍制をベースにしようと思いましたが、情報が錯綜していたためある程度オリジナルな部分を入れて無理がない範囲で構成し直しました。


銃火器やカノン砲の登場でここから徐々に変化していく過渡期といった感じです。

みなさんこんにちは、私はマリア。

喋りの時と口調が違うのはご愛敬、スルーしてくれるとうれしい。


さて、私は今、領地の農民の人たちのところを訪れてる。

何をしようとして居るかというと、お察しのとおり、内政チートの基本である農業改革をしようと思って、ここに来ている。


農家の人の目の前で、私は耕作地の土を試薬に浸して、反応を見る。


…………pH5の、強めの酸性。


作物を育てるときに重要なのは、土壌の酸度―――つまり酸性の強さ。

どれだけこれが大きいかによってできるものは変わってくる。


この酸度なら、作れるのはジャガイモくらいしかない。

とはいえジャガイモは彼らが作っている麦と比べてかなり手間がかかるし、私たちが新大陸から持ち込んだ作物だからまだこちらでは馴染みがない。

なるべくなら負担が少なく効率の良い麦を作りたい。

だから


「消石灰、を、砕い、て、撒いて。

しばらく土地を、寝かす。その間ぶん、稼ぎ、が、減るけど、私が、補填する、から。」



まずは石灰を撒くことで酸性を中和しようと考えた。

石灰が馴染んで土壌のpHが6.5程度の弱酸性になるまでは土の栄養を無駄遣いさせないように何も育てさせない。

その間の賃金は投資と割りきって私のお小遣いから出させてもらうから、農民たちも文句は言ってこない。


ところで、ここら辺で行われている農法は、三分割した土地を、小麦かライ麦を育てるブース、大麦か豆などを育てるブース、何も植えずに牛などの家畜を育てて、その糞を肥料として土地を回復させるブースというふうに分け1年ごとにそれを交替、ローテーションして土地を使用する方法。


とはいえこれには問題がある



「貴方、たちの、やりかた、では、土地が回復、しきれず、痩せていく。放牧した牛の生糞だけでは、たりない。」


堆肥が少なすぎるのだ。

しかも、放牧した家畜に踏み固められて固くなった土は耕す必要がある。

そうしたら、せっかく肥料が行き渡った肥えた土がそれより下層の栄養のない土と混ざりあってしまうのだ。

だから回復しきれず徐々に土地の栄養が無くなり、肥えた土地を必要とする小麦や大麦が育たなくなる。

そこで痩せた土地でも育つライ麦を植えるのだが、このライ麦が曲者だ。


痩せた土地で育つために土地の栄養を吸収する能力が異様に高いのである。


そのため、ただでさえ養分が少なくなっていた土地は根こそぎ搾り取られ、さらに回復が難しくなる。


悪循環の完成である。


これから脱するためには一にも二にも良い肥料を大量に与えるしかない。


肥料、つまり土地の栄養となるのは窒素、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウムだ。

窒素は酸を作るのにも使うアンモニアから、カリウムは花崗岩から取れるし、リンやマグネシウムは鉱石として採掘できる。

カルシウムは家畜を潰して出た骨を砕き、処理して入手できる。

私は開発部のみんなと協力して、それらを混合したものを人工肥料として作り出していた。


これらの材料費や作成にかかるコストは領民の人たちからの税をやりくりして賄ったので、彼らには領主名義で無償提供しても特に損じゃないのでおーるおっけー。


そんなふうに伝え、もしこれらの改革の効果が不安なら彼らの土地の一部を試験農園として一時提供してもらい、実際に試して見るように打診した。


「おいおい、お嬢様よ。その間の収穫はどうすんだ?その改革とやらが成功するまでは確実に収穫が減るのに、税として麦を取られちまったら俺らの飯がなくなるぜ。」


そしたら、睨まれながらそう言われたので



「土地、を、貸してくれた人、たち、には、また収穫が、軌道に乗るまで、減税の措置を、取る。」



こう、答える。


「そしたら、貴方たち、の、食べるぶんも、賄える。それでも、ダメなら、言ってくれれば、ご飯は、食べさせて、あげる。」


ここまで言うと突っかかってきた男性は面食らったみたいで、苦い顔をして黙ってしまった。


一年か、二年か、改革が軌道に乗って収穫が安定するまでしばらくかかるだろうけど、うちにはそれまで賄えるだけの予算があるし。


ナポレオンさんも、

「行軍とは胃袋の大移動である」

って言ってたくらい軍隊にとって食料というのは大切。

だから、おねぇちゃんの為に…………おねぇちゃんの軍を維持するために領地の収穫が減ることは避けたい。

まぁ、半分以上は私の趣味もあるんだけど。

知識を実地で活用するのは楽しいのです。


とにかく、干し肉だけではダメだと言ってレーションの開発をやりはじめたことから、おねぇちゃんもそれは理解してるはずだしこれは喫緊の課題。


そんなことを考えながら、領民たちとこれからの打ち合わせをして、話がまとまったところで帰路につく。


ここまではリーコンの人にバイクで送って貰ったので帰りもバイクだ。

風邪を切りながら道を突っ切っていると


「………ん。つう、しん?」


おねぇちゃんから通信が入った。

なんだろう?用件を聞いてみる。


「あー、マリアか?実は今から旅行に行こうと思ってな。お前も来てくれると嬉しいんだが。」





!……………おねぇちゃんから旅行のお誘い。


私はすぐに


「最近、あん、まり、イチャイチャ、できなかった、し…………いく。」


と返事をし、細かい打ち合わせを済ませると運転手さんに頼んで進路を変更してもらった。










ノーフォーク式なんてもともと土地が肥えてなきゃできないもんやって上手くいくわけないですよね。

まずは肥料と酸度調整で土作らないと…………。

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