和気藹々
あー、そうだ。良いこと思い付いた。
需品科と武器弾薬科を輸送軍に組み込んじまおう。
物資輸送と備品及び物資管理、配給は切っても切り離せない関係にある。
ならなるべく同じ指揮系統に組み込んだ方がスムーズにロジスティクスができるというものだ。
試験的に運用してみて、効果を確かめたら編成を弄ろうと思い、本部にその旨を連絡すると、あちらでも準備を行っておくと返ってきた。
「編成を考えるのはめんどいけど楽しいな。指揮官クラスの役得ってやつだ。」
車の中でそんなことを話す。
「あははっ。本当に楽しそうですね。自分なんかは編成業務は面倒くさいと思ってしまいます。」
今しゃべったのは、視察に引き続き今回の旅でも運転手を勤める兵士くん。
彼は機械化歩兵の一個中隊を率いる、陸軍大尉の階級を持つ。
機械化歩兵というのは簡単に言えば部隊に車両を配備して機動力を上げた歩兵のことだ。うちの歩兵は基本的にはこれ。
例外と言えばパラシュートやヘリにより空から侵攻する空挺や空中機動部隊か?
こいつはその機械化歩兵部隊の隊長であり、普段から乗りなれてるらしく彼の運転は乗り心地が良い。
「妹さんには連絡は入れられましたか?」
「おー。入れたよー、次の町で合流しようってよ。今バイクでこっち向かってるらしい。」
今回の旅行にはマリアも着いてくる。
おそらくこちらの方が先に着くので合流ポイントで待ち、合流後はマリアが乗ってきたバイクを俺たちの車に積み込んでマリアもこちらに同乗する予定だ。
「あれ?マリアさんってバイク乗れたんですか?」
大尉君が聞いてくる。
まぁマリアはインドアなイメージあるしな。バイク乗り回してたらギャップすごいか。
それはそれで可愛いけど、でも
「んや、バイクは苦手らしい。だから今回はリーコンのやつに乗っけてもらうってさ。」
「あぁ、なるほど。」
あいつ、運転は苦手なんだよなぁ、イメージ通り。
だから2ケツで誰かに乗せてきてもらうしかない。
あ、ちなみにリーコンは海兵隊の偵察部隊だ。
威力偵察や敵地侵入など様々な手段で対象の情報を得ることを主任務とし、危険な任務に従事するだけあって特殊部隊並みの連度を誇る。
偵察にはオフロードバイクも用いられ、今回マリアを運んでくれるのはそういったものの扱いに長けた隊員だ。
「まぁ道中の護衛も兼ねてなんだろうし、マリアもPPKピストルくらいは持ってる。心配は無い。」
盗賊とか狼とか、街道に出そうなやつは振りきるにも皆殺しにするにも余裕ですわ。
それからも雑談を続けて、俺たちは合流予定の町の門前までたどり着いた。