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宴の後で

いやー、いきなり罵倒されて混乱してた。語りの口調が猫かぶりバージョンになってましたね。


それはそれとして、宰相とお話をした結果、数日後には王からの謝罪の文書が届いた。


曰く、「そちらに対して丁重な扱いを心得るよう言い聞かせていたが、増長した王子が暴走してしまった。まことに申し訳ない。」


だそうだ。

絶対王政ならともかく封建制のこの国では王と貴族には絶対的な差はないからな。

ましてや相手が俺たちの軍勢となると、そりゃ謝罪の1つ2つよこすだろーよ。


ちなみに、顔見知りということもあり近衛騎士団の団長は直に謝りに来た。曰く「君の怖さを実感してないものが付く側を間違えた、申し訳ない。」

だそうで、それ謝罪なのか?謝罪になってんのか?


まー、まともに考えて明らかにこちらのやったことのが酷いがそれはそれ。政治ってのは綺麗事も正義も踏み潰した先にあるからな。


と、そんなことをつらつら考えていると、アンがポツリと呟いた


「王国はこの事実を隠蔽するようです。」


そりゃそうだろ、メイドと令嬢、たった二人の女にエリート部隊(近衛)が潰されたとか、自軍への信用が揺らぐようなこと広めるバカはいない。

ま、だからこそ、好都合。


「アン、王宮に潜り込ませてるオルトロスの隊員に任務を発令。隠蔽に関わる王の命令文書の奪取と実行者のピックアップ。命令文書の方は複製してコピーの方を実行者に渡して、俺たちの方で原本を保管すること。」


たぶん命令を受けたやつは受け取った文書を燃やして証拠を消すからな。

コピーの方を消してもらいオリジナルの、隠蔽工作の証拠はありがたくいただこう。

そんで、もし王国が俺たちに明確に敵対したらそれを使って

「王国は辺境伯から子息を近衛として徴兵したにも関わらず、戦死した事実すら隠蔽する、そんな相手に使える価値はあるのか?国のこの所業は騎士の名誉を貶める行為ではないのか?」

とかなんとか言って常備軍を動かせる辺境伯やら国の騎士団の反乱を扇動しよう。

王の命令書はその証拠になる、切り札だ。

あ、もちろん彼らを殺ったのは俺って証拠は隠滅しますよ。


「かしこまりました、ですが、王家の紋章で封蝋が成されているかと。どういたしますか?」


封蝋な、赤い蝋を垂らして判を押すことで、差出人の証明にすると同時に開けられたら即座にわかるようにするあれな。


んー、ぶっちゃけ表に出せないようなもんだし、そんな目立つことするかって思うけど。

もしやってたとしたら


「玉璽、どーせコピー作ってんだろ?実行者に渡すフェイクの命令書にはそれで押そう。」


偽物の手紙には偽の封蝋で乗りきろうぜ。


玉璽というのは王が封蝋のときに使う判子だ。

偽造、複製したら大罪になるが、それでもやるのが俺たちだよな。


「かしこまりました、ではそのように。」


このアンの返答からするに、マジで複製作ってたらしいな。まぁバレたらそんときか。



「っし、じゃこの話はおわりっと。そろそろ時間だし予定通り視察いくぞ。今回は本部基地の疫病対策部門(防疫部)と開発部だ」


事後処理の話し合いを終えて、俺は基地へと向かう。

本部基地は一番最初に作ったお馴染みの基地のことね。


そっから他の各基地は、


()当する地域()あるいは任()名+その統合軍の中でのなん番目か“



というふうに識別される。分かりやすいだろ?やっぱこういうのは通信のときに分かりやすくないとね。


「マジェスティのご指示通り、防疫部では現在、各種ワクチンと抗生物質の研究、開発部では人工ダイヤモンド半導体を使用したUV―LEDライトと耐弾ボディーアーマーの研究を行っております。」



うむうむ苦しゅうないぞ。みなさん頑張ってくれてるようで何よりです。

そんな感じで上機嫌に玄関に向かっていると



「おねぇ、ちゃん」


マリアが話しかけてきた。なんだ?


「ハイドレーションシステム、完成、した。」


おぉ、よくやった。マリア。


ハイドレーションシステムというのは、バックパックに水袋を入れてそっからチューブを伸ばし、手を使わずに口元まで引いたチューブを吸うだけで水分補給ができるという便利グッズだ。


俺達の工夫として、水をためる袋を軽量かつ一定の強度をもったポリマー製の二重構造にして、外側と内側の隙間を真空状態にすることで保温性を高めた。

寒冷地での任務ならぬるめの白湯を入れ、熱帯での任務なら冷たいスポーツドリンクモドキを入れる。

魔法瓶を参考にした保温機構は水を温かいまま、あるいは冷たいままで長持ちさせてくれるだろう。

スポーツドリンクですが、塩とレモン水で作りました。砂糖はほとんど入ってない感じですよ。入れると喉乾くので。


正直こいつは俺の領分(ハードウェア)な気がしなくもないが、いろいろ仕事が終わって暇してたらしいのでマリアにやってもらったのだ。

工作機械とかも揃ってる俺達からしたらそこまで難しいことじゃないしな。


あー、あれだ、このラインナップを見てくれればわかる通り、我が軍はこれから


歩兵用装備を重点的に開発していきます。







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