戦闘開始
さて、今回攻めてきたのはゴブリンが60にオークが30、計90ちょい。いやー、乙女ゲームなのにモンスターとか出るんですねぇ。ま、魔法とかもさりげなーく出てきてた世界観だったし、おかしくはない、かな?
モンスターは、人を食らい犯し冒涜する。人類の敵で、つまりは俺の敵でもある。敵は殺さにゃならん。というわけで、レッツらウォー。
「こっちの準備は終わったぞ」
オヤジが迎撃の準備完了の報告をしてくる。ここはモンスターの軍勢のまっ正面、黒の森と呼ばれる森林地帯だ。森の中に散らばった職人たちが樹上で、試射用の装置をバレルが少しだけ下方を向くように取り付けていく。こいつの紐を引いて離せば、ズドンと一発お見舞いしてやれる。
「ごくろー。あとは待ちだ。来たら紐引くだけだし、ゆっくりしてな」
さて、戦争ですよ戦争なんですよ。久々で腕がなります。
え?なんで令嬢のお前がわざわざモンスターへの対処に当たるのかって?
ははっ、ナンセンスなこと聞くなよ。領民は貴族にとっちゃ、絶対的な庇護の対象。ノブレスオブリージュってやつだな。
それこそ、前世のブルーベレーから見た難民みたいなもんだ。
それを、見捨てる?この俺が?
あり得なさすぎて反吐が出るね。
守るべきを守れ。例えそれによって、それ以外の全てを血に沈めたとしても
それが、俺のソースコード、俺を俺足らしめる
まさしく、根幹。
それだけは、例え世界を跨いだとしても、変わらない変えれない。
変えたら――――――――これまで殺してきた人間の重みで、俺は壊れる。
だってなぁ?こっちは守ることを免罪符にひと殺してんだよ。それを放棄したら、只の人殺しじゃん。罪がその全てでもって襲いかかってきやがる。殺してきたやつらの死に顔と共に。
まぁ、それで罪科が濯げるわきゃねぇし、免罪符所か気休めでしかないんだろうが、まぁ
少なくとも気は休まってるから問題ない。
だから、また銃をとれる、また人々を守れる、
また――――――――――
「――――――殺せる」
俺のボソリとした呟きに、内容までは聞き取れなかったらしく、オヤジが不思議そうな表情を浮かべた
「?まぁいい。なぁ、お嬢、なんでこいつなんだ?弓じゃいかんのか?」
え?マジで?わかんないの?試射した時あんたも驚いてたでしょ。弓になくて、こいつにあるものに。つまり、
「却下、弓だと音も閃光もないだろ」
弓は隠密性に優れるが、それは相手の攻撃が届かない場を取ったならあまり意味はない。これで相手にメイジなりアーチャーなりいたら、見つかった瞬間に攻撃が飛んでくるから弓でも意味はあるが、斥候からそんなものはいないと報告を受けている。
そんなら音と光でびびらせて追っ払った方がよかろ?
まぁ、姿を見せずに恐怖を与えるということもできるが、そっちはダメだ。なぜなら
恐怖の質が違う。
どこから撃たれるかわからないと、兵は動けない。隠れることができてるかもしれない、動いたら目立つかもしれない、そんな思考に捕らわれる。
よく、新兵がスナイパーに狙われたときになってた、そんで頭とか胸とかぶち抜かれてた。
まぁ、そうなると厄介だ。動かなくなったなら、処理するしかなく…………
「くっそ矢弾の無駄。皆殺しにするまで撃つしかなくなるから。」
と、いうわけで銃声でビビらせます。ガンガン居場所も教えます。どーせあっちから攻撃届かないし。
「と、いうわけですよ、アンダースタン?」
「アン………なに?」
オヤジがキョトンとした顔で聞き返してくる。
ちっ、俺の渾身のどや顔を返せ。
ま、内容自体は理解してんだろ。たぶん。
「……………まぁ、良い。そろそろ来るぞ。」
さて、戦争だ。モンスターと人との生存競争だ。
楽しませてくれよ?