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現地人Teeee in sky

この話を入れ忘れていたので割り込んで投稿いたしました。ご迷惑をおかけします。



「ありえ、ない。F16であんな動き、不可能。」


マリアが苦々しげに言い放つ。彼女の眼前では画面内でオヤジのF16がプガチョフズコブラと呼ばれる、機首を上げつつ水平飛行する機動を披露していた。これは機体全体をエアブレーキとすることで急減速し、後ろについた敵に自分を追い越させてケツを取りかえす技だ。文章化するのは簡単だが、やるとなるとめちゃくちゃ難しく、F16ではできるわけがない代物らしい。

マリア曰く


「コブラが可能なのは、F22や、Su27系統。

重心が、後ろにない、と機首を上げてもストール(失速状態)になったとき、姿勢が、崩れる…………。」


この機動は失速状態で機首上げ状態の姿勢を保たなければならない。

ケツに重心があれば失速したときに機首は上を向いていてくれるがF16はどちらかと言えばトップヘビー、つまり機首側に重心がある。

だから失速したら問答無用で機首は下がり、姿勢が崩れる、かといって失速さず機首を上げたら普通に上昇していく。

つまり、コブラなんぞ成立しない、と。


「しか、も、F16の空気取入れ口(エアインテーク)じゃあ、あんな機動したとたんに、空気が入り込まなくなって、エンジンが止まる…………っ。」


妹にそれを指摘されて俺も、気づく。

エアインテークとはジェットエンジンに空気を送り込むための開口部だ。

F16のようにそれが垂直で固定されている場合、腹から見たらその開口部の面積はとても小さく見える。

これは、エンジンへの空気流入が極端に減ることを意味する。


先程マリアが出したF22とSu27系統はどちらもエアインテークが大きく角度をつけて斜めに開いている。

これなら腹から見ても大きく口を開けていて、コブラをかましても充分に空気を取り込めるのだろう。


「あと、あの機動を、実現する、には、機体が、本来飛べない形であることと、機体制御プログラム、が優秀な、こと………そっちは、F16は一応どちらも、クリア、してる、けど。」


機体制御をサポートするプログラムに関しては安心と信頼のメイドインマリアなのでクリアしているだろう。


ただ…………今気になることを言ったな。

F16の形じゃあ飛べないとかなんとか。


「いや、マリア、それはおかしい。オヤジはコンピュータのサポート無しでF16モドキ(XP49)を飛ばしてたぞ?」


そう、オヤジはF16と同じ形状の試作機、XP49を普通に飛ばしていた。

その事を言うと、マリアがとんでもないことをしてくれたなみたいな感じで目を見開いて溜め息をついた。

ジト目でじーっと見つめられる。え?なんで?


「ありえ、ない。」


いわく、F16のような運動能力向上(CCV)機は、運動性を高めるために本来飛べないくらい不安定な機体形状を、デジタル式のコンピュータ制御でむりやり安定させて飛ばしている。姿勢制御システムのサポート無しでは、二秒で墜ちる、と。



嘘だろ………………航空機のソフト面に関しては俺よりマリアのが詳しいけど。

あぁ、…………もしかして戦闘機の試作機がオヤジが乗ったX49まで全部墜ちてたのは…………

そもそも、F16ライク(モドキ)だと、機体が不安定すぎて、まともにとべなかったから、か?

そんなふうに水を向けると、


「空飛ぶ、棺桶。正気の沙汰じゃ、ない。」


睨まれながら言われてしまった…………。


「…………でも、オヤジはその、本来飛行不可能な機体を飛ばしたんだよな…………?」


俺が一緒に乗ったとき、マリア曰く「不安定すぎて飛行不可能な代物」をオヤジは普通に操っていた。俺のそんな呟きにマリアが考え込む。


「……………コンピューター(高速演算機)並の、演算能力と、機体と一体化したような、センチ、単位の、機体コントロール技術。

端的に、不可能。」


なるほど、つまり裏を返せば


「オヤジにはそれがあるってことか。不可能を可能にする神がかり的な操縦技術と、完璧に機体や周辺の状況を把握し、最適な動きを導き出す天性のカン(・・・・・)が。」


なんか、俺の周りのやつらが化け物すぎて俺のやってることが霞んでる気がする……………。

現地人がヤバすぎてマウント取れない転生組です

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