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Dea Ex Machina ~~悪役令嬢戦略譚~~  作者: 中腸腺
タスマニアン・ラプソディー
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トカゲへの葬送

騎士団が戦っているワイバーンは、翼竜とも呼ばれる比較的高位のモンスターだ。

その見た目は、腕が巨大な翼に変化した肉食恐竜といったもの。

俺が以前ぶっ殺したファイアードレイクは前足後ろ足揃った上で背中に翼が生えていたが、こいつには翼以外に前足は無い。

こいつらはまともに進化した種族なんだろうな。ファイアードレイクとか、翼がなんの器官から進化してああなったのかマジでわからんし。


大きさは7メートルくらい。

成長してロード(指導者)と呼ばれる個体になると10メートル、クラウン(王冠)級と呼ばれる、とくに大きく育ったものだと15メートルくらいになる。

今俺たちの前に居るのは通常の7メートルクラス、それが6体。

状況は明らかにモンスターに傾いていた。


騎士たちの攻撃は鉄なみの硬度の鱗に阻まれ、表皮に傷はつけられても肉まで達しない。

対してモンスターの爪や尾は、鍛えているとはいえ只の人間である騎士たちを容易く纏めて吹き飛ばす。

機動力も地をかける騎士たちの騎馬(ケルピー)と空を飛行するワイバーンでは後者が圧倒する。


それでも致命的な攻撃はなんとかかわしている辺り、騎士は良くやっているが、人間の集中力には限界がある。

このままじゃみんな死ぬなあれ。

…………あー、てか、あれだ。俺が切ったオーク、後でうちの軍のヤツに回収させようとおもって放置してたその死体を狙って集まってきたのか。あの竜ども。


ここで恩を売るのも悪くないか。

まぁ彼らがピンチなのほぼ俺のせいなんだけどね!!俺のせい(マッチポンプ)なんだけどね!!


というわけで端的にアンに命令する。


「あのうざったく飛び回る蜥蜴を殺せ。」


「承知いたしました」


彼女は即座にそれを受諾すると、肩からかけていたアサルトライフルを構える。


スカーH

メイド部隊に支給される大口径のアサルトライフルだ。

初期の頃は殺傷力が高い代わりに貫通力が低い、ホローポイントと呼ばれる弾丸を使っていたが、工作技術が上がった現在は7N10スチールコアと呼ばれる弾丸の大口径バージョンを標準装備している。

これは人体などの柔らかい目標に当たれば変形して傷を広げ、鉄板などの固い目標に当たれば中に仕込まれた硬質なスチールによってすさまじい貫通力を発揮する代物だ。

こいつなら―――――――距離100メートルから厚さ2センチの鋼の装甲をぶち抜ける。


アンは肩と頬をスカーのストックに密着させ、ハンドガードに取り付けたフォアグリップと呼ばれる、銃身と垂直に取り付けられた補助のグリップをしっかり握る。


ワイバーンの生態上、地上の騎士へ攻撃する際には滑空した後、脚による押さえつけを狙う。

その押さえつけ攻撃が回避された場合、翼竜は噛みつきによる攻撃を試みるのだ。

その間はやつらは飛ばない。だから、狙える。


アンはその数瞬の隙をついて―――――射撃。


メイドの放った7.62㎜NATO弾はワイバーンの鱗を突き破り、その命を刈り取っていく。

中りさえすれば、たかだか厚さ数㎜の鉄程度の硬度の装甲で大口径のスチールコア弾は止められない。

翼竜の体内に侵入した7.62㎜弾は変形と転倒により体組織をズタズタに切り裂いていくだろう。



やつらが騎士への攻撃のために地上にいるのは高々5秒から10秒。そこを過ぎればすぐにもう一度アタックを仕掛けるため離陸する。とはいえアンの腕ならやつらが地上にいる間に中てられる。

一体につき10発も撃ち込めばトカゲどもは面白いように地に落ちて、周囲に血を撒き散らしていく。

まぁ、騎士たちの鎧が1㎜ちょいの厚さしか無いことを考えると数㎜でも重装甲なんだろうが、その厚さでライフルを防ぎたければ装甲車両に使われる圧延鋼でも持ってくることだな。


と、いうわけでアンが何度か弾倉を交換し、撃ち続けて数分たったころにはワイバーンは全滅した。



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