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Dea Ex Machina ~~悪役令嬢戦略譚~~  作者: 中腸腺
ドラゴンスレイとライフルマン
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慮外の天才(マリア)と理外の怪物(レヴィアタン)



さて、今俺とマリア、そして三人のメイド(お供達)が立っているのは戦艦の甲板の上である。

こいつの外観はキング.オブ.バトルシップである、戦艦大和に酷似している。


この戦艦の名は、「レヴィアタン」


旧約聖書に登場する、海を統べる神話の怪物だ。




……………さて、このレヴィアタン、まぁ、こいつはぶっちゃけロマンの塊だ。

前にHK417を同じように表したが、HKのロマンを数値化するなら100点満点中79点くらい、こいつは10000単位でオーバーフローして測定不能になる。

そのくらいのロマン兵器だ。

始まりは、俺の何気ない一言。


「海上から、の、侵攻を、考え、て、海上戦力、ととのえない、と。」


というマリアの提言に同意した俺やオヤジ達は、どのような艦艇を揃えるかの会議を行った。

そのなかで、俺は、


「どーせならイージスヤマトとか、ミズーリとかみたいな戦艦作るか?」


マリアの耳元でそんなジョークを言い放った。

すると


「採……………用…………!」


なんと、マリアは本気の目をして食いついてきたのだ。


そうして、彼女は“ソレ“の開発をマジで始めてしまった。そりゃもう鬼気迫るくらいに大真面目に。

そうして俺の戯言から生れた、この世界の戦艦は―――――――控えめに言ってとんでもない代物だった。


大和に酷似した外見、そこから迸るロマンもさることながら、真に驚愕すべきはその性能。



オリジナルでは砲撃戦になるとアナクロな測定器から得た情報を人力で計算し、着弾を観測して修正しながら主砲や福砲を撃っていた。

しかしこいつはエイブラムスの火器管制システムをベースにした照準システムで、ご自慢の46㎝(クソデカい)三連装主砲の火力を正確に叩き込む近代化改修型だ。

それ以外の武装としては、8インチの三連装速射砲や20㎜バルカンカノンを使うファランクスに、各種ミサイルを撃ち出す、大量のVLS(ランチャー)を搭載している。

イージス艦と呼ばれるタイプの戦闘艦でVLSは150セル前後。

それに対し、このレヴィアタン(近代化大和)


―――――360セル


搭載するレーダーはspy1と呼ばれる前世地球でも最新鋭のものと同じ、パッシブフェーズドアレイレーダー。

お察しの通り、……………こいつひとつ作るのに、小銃販売で得た金の半分を食われた。


VLSの1セルにミサイルが一発積めること、そして先述の大口径主砲を搭載していることを考えると、こいつ一隻で凄まじい火力。


そしてそれらの火力を制御する火器管制装置は最新鋭のレーダーを含む、マリア(天才)がその才能と経験と労力の全てをつぎ込んで構築したプログラム。

またこれの性能がぶっ壊れている。

先述の通り、そのベースはエイブラムスのそれなのだが、マリアはそれに加えて、展開している友軍部隊のレーダー情報をリンクさせ、地平線、水平線の向こうに隠れて見えない的にも正確な火力投射を行えるシステムを組み込んだ。


その精度は凄まじく、口径46㎝のヴォルカノ(射程延長弾)を使用した砲撃試験のさいにはその射程ギリギリ、200キロ先の3×3mの的をぶち抜いた(・・・・・)


射弾観測の訓練にちょうどいいということでその光景を見学していたメイド部隊のアン曰く、


「お嬢様方の作るものが異常なのはもはや慣れてきたつもりでしたが、あれに関しては未だに自分の頭がおかしくなったのではないかと疑っています」


だそうだ。


こいつのヤバさはそれだけではない。

ハニカム構造と呼ばれる、もっとも構造体強度が出る蜂の巣型の構造で組んだBチタンの、50㎝クラスの装甲。

さらにはモジュラー工法で組まれた船体には被弾し穴が空いても液状の高分子ポリマーを吹き出してすぐにそこをふさぐ、オートメーションのダメージコントロールシステム。

各所に設置された隔壁は、進水を早期に食い止める。


圧倒的なエネルギー投射量と、精密さ、そしてなぜここまでと言うしかない念の入れようの防護システム。




この「レヴィアタン」がいかにアレな代物か、いかにその名がこいつに相応しいかが良くわかるだろう。



そういやマリアの人格は前世の俺の義妹。

ジャパニメーションファンかつ日本の兵器や文化に並々ならぬ情熱を傾けROMANなるもののために凄まじい行動力を発揮した、クソナード(オタク)だ。


俺のジョークが起爆剤になったのだろう、彼女はものすごい早さでシステムを作り上げ、職人たちにモジュラー式工法を教え込み、五か月ほどでこの戦艦(バケモノ)を完成させた。前世地球の造船所の全力の半分の期間だ


先述のとおりこのモジュラー式工法はウチではレヴィアタン以外にも、空港やドックなどの敷設等、大型の建造物をつくる際に有効活用されている。


俺の隣で甲板を歩くマリア(制作者)はとても嬉しそうだ。


「……………満足か?妹よ。」


「んっ!」


嬉しそうに、満足だと回答をよこす。

まぁ………………可愛いからよしとしておこうか。


巨大な戦艦の甲板から周囲を見回すと、ドックの中では駆逐艦と呼ばれるタイプの、対潜水艦、対空防衛、対艦と何でもこなす軍艦や、揚陸艦、そして300メートルクラスの通常動力型空母が整備を受けていた。

空母には通常動力型と原子力型があるが、さすがに原子力型は作らなかった。あれの管理は、人類にはまだ早い。

どうしても核というものにはつきまとう、廃棄物の問題を解決するためにはもう少し時間がいる。

そんかわり、原子力と違って頻繁な補給が要るしこんだけデカイ空母だと燃料大量に食うけど、ま、大したことじゃない。



「これで、戦力は整った。俺の、俺たちの軍勢だ。マリア、世界を変革するぞ」


これだけのものを揃えて、大人しくはしてはいられないしする気もない。アグレッシブに、アクティブに、戦場へ、最前線へ。


目指すのは


「目指すのは―――――世界平和。前世では誰も成し得なかったそれを、ここでやる(・・・・・)









本作オリジナル兵器の登場です。

使い古しのネタですが、やっぱ大和はロマンありますよね。

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