マリアのロマン
孤児を集めて軍人にする計画を発動して、直後。
俺はある計画を実行に移そうとしていた。
「おねぇ、ちゃん。なんで、ニヤニヤ、してる、の?」
「うむ、よくぞ聞いてくれたぞ我が妹よ。俺はな、メイド達に戦闘訓練を施そうと思っているのだ」
俺のその言葉にマリアが絶句する
あれ?なんか俺引かれてる?
違うんだ妹よ、兄はな、大抵どこにでもついてきて、かつそれが不自然にならない従者、とくに風呂とかの極々プライベートな場所に連れてっても周りから怪しまれない同性の人間を即応部隊とすることで作戦能力、瞬発的な戦闘、護衛とマルチに使える手駒を作ろうと思ってるだけで決して下心とかは―――――――――――
「おねぇさまそれはとても、とても良い案だと思いますわ、是非やりましょう、やるべきです、やるんだよあくしろよハリーハリーハリー。」
………………マリアさん?
あなたそんな口調でしたっけ?
「ど、どうした妹よ。壊れたのか?ごめんな兄ちゃんお前のこと構ってやれな「戦闘、メイ、ド、だよ……………っっ!!!?」おわっ!?」
俺の発言を遮ってマリアが叫ぶ。本当にどうしたんだ。
「ロマンだよ!おにぃ、ちゃんっっ!!戦闘メイド!ロボメイド!メイド、は、ロマン、なんだ、よ……………っ!!?」
そ、そうなのか?良くわからんが天才である妹が言うならそうなんだろう。
あと、ロボメイドは誰もつくるなんて言ってないとかは、野暮なんだろうよたぶん。
そういうことにしておこう。
うん、そうなったらなんかロマンある気がしてきたな。
よーし、じゃあお兄ちゃん。マリアのロマンのためにも頑張って計画を完遂し―――――――って、
消えた!!?
マリアが消えた!!?
あの妹どこいった!!?
……………なんか、あれだけど。まぁいい。
とりあえず父さんに相談して、何人かのメイドを自由にできるように取り計らってもらおう。
そう、なかば逃避気味に思考を打ち切って、俺は父さんの部屋に急いだ。
「お願いします!お父様!私付きのメイドを増やしてくださいませ!」
「おね、がい、おとう、さん……………!」
さて、ここは父さんの私室。俺と、消えたあとここに直行したらしく俺より先に着いていたマリアは、父さんに全力でお願いしていた。
ん?俺の口調?敬語?猫被ってんだよ言わせんなはずかちー。
と、まぁそうやって頭を下げる俺とマリア。俺としては、だいたい10人ぐらい戦闘メイドにするつもりだ。かなり非常識な人数なことは理解しているので、三つ指着いた俺達の頭は地面まであと一ミリだ。マリアよ、俺はともかくなにが君をそこまで突き動かすんだ。あれか?ロマンか?
あ、土下座、こっちの世界でも有効らしいぜ。
さすが礼節の民ジャパニーズのみなさんの最大の誠意だけはある。
と、そうやって二人で頼み込んでいると、父さんが優しい声で俺たちに話しかけてきた。
「わかった、リアーナ、マリア、お前たちがここまで頭を下げたんだ。なるべくなんとかしてみよう」
やったぜ。父さんちょろす…………
おっと、いけね.本心が。
「ありがとうございますわ、お父様。ご恩は必ず返します。」
そう礼を言うと、父さんは苦笑いを返してきた。
なんだ?
「やめてくれ、私は、君たちになにもしてやれない。忙しくて全く構ってやれなかったし、君たちに残す領地を富ませることもできなかった。無能な父親だ。」
え、えぇ~~~~
んなことないっすよ。あんなに兵た………ゲフンゲフン。若者達を集めてきてくれたじゃないですか。
それに、この領地が貧しいとか資源がないとかみんな言うけど、んなことないからね?
むしろ俺もマリアもなぜこの領地はこんなにも原油やらレアメタルやらが湯水のようにわき出てくるのか、ヴォルカヌスでも地面に埋まってんじゃねぇのかとか話してた位だからね?
まぁ、……………先述の通りそれらはこの世界じゃ使えないんですけどね。
ともかく、これで計画の目処は立った。
与えられたメイド達をビシバシ鍛え、最高の軍勢を作り上げて見せよう。