無双の軍勢へ
さて、後の作業はいったん職人たちに任せ、俺たちは役場に来ていた。
役人さんに頼み込んで、すなわち俺がDOGEZAをして、マリアが上目使いでおねだりして、ある情報を得る。
それは、資源が乏しく、働き口が激減した村の情報。
散々レアメタルとか合金の材料とかを鉱山から産出し、この間とうとう領地近くの海上に7つめの油田が発見されてしまった我が愛しき領地であるからして、俺からすればそんな実感はないどころか真逆の印象なのだが
―――――――我が領地には資源が少ない………………らしい。
まぁ話を聞くに、この世界の工業レベルからして価値がある、つまり需要があるのは鉄、金、銀、銅くらいだろうしな。レアメタルとか、石油とか、利用法もわからんのだろ。
あと加工の問題もあるのか。
あ、ウチの鍛冶屋は加工に関してはあんまり問題ない。
ボール盤も電動モーター駆動のハイパワーなものになったし、各種大型の電動工具やら高熱炉やら巨大なプレス機やらもちょっと前からフル稼働してるからな。大型の砲身でも戦闘機のボディでも瞬殺で作れる。
もともと鍛冶場ってのは臭いや鉱毒、音の問題で人里離れた、ウチの領地で言えば黒の森近辺にあるのがデフォルトなので土地は使い放題、置場所を気にせずくそでか工具も作り放題よ。
あれですよ、鍛冶場が町中にあるのはアニメやゲームのなかだけですからね。まぁ現実でもあるかもしれんがそれは例外と言える。
作ったものの販売所ならともかく。
…………ただまぁやつら、真面目に鍛冶職人とか名乗れなくなってきている。
さ、そんな与太は置いといてだ。
ウチにはそんなこんなで職にあぶれたものたちが相当数居るのだ。
今、俺の目の前、いつもの鍛冶屋の前に広がる平原には、そういうものたち、
萎びて死んだ、廃村一歩前の村から男女問わずつれてきた若者たちがいる。
彼らをひととおりぐるりと睨めつけて、口を開く。
大音声で、
よく通る声を意識して、
高らかに!
「諸君らは!死人である!」
――――――――さぁ、ショータイムだ
北海油田